「厚い壁の窓デザイン」〜Q1.0住宅の窓設計ノウハウ(1/4)

窓の変遷

東北〜北海道の窓は二重窓が一般的でした。すべての窓が引き違い窓で、外側はアルミ製サッシ、内側は木製サッシの二重構成になっていたのです。窓の開閉に、二回建具を引かなければならずとても使いにくいばかりか、窓から外を眺めるとサッシの枠が重なってすっきり見えなかったり、外側のガラスやアルミサッシに大量な結露が発生し、それが凍って大きな氷ができたりしました。やがて内側のサッシもアルミになり、その後樹脂製サッシになって結露は軽減されたのですが、相変わらず使いにくくスマートとはいえない窓でした。欧米の住宅のようにペアガラスのすっきりした窓を使いたくても、ペアガラスは高価でサッシも特注になり、普通は使うことができませんでした。

しかし、私たちが高断熱住宅を建て始めた頃から、こうしたペアガラスを使った樹脂製のサッシが発売され、当初は高価でしたがその後急速に普及するとともに価格も下がり、しかも引き違いではない外開きやすべり出し窓が使えるようになり、住宅のデザインが大きく変わりました。南側の大きな引き違いの掃き出し窓がはめ殺しと外開きの連窓に変わって、窓の下に小壁を設けてそこに温水暖房パネルを配置することにより、窓から下りてくる冷気を防ぐことができるようになり、高断熱住宅の快適性を向上させてくれました。今から30年以上前のことです。その後まもなくLow-Eペアガラスが登場し、これが高断熱住宅の標準になりました。室内からガラスを通して逃げる放射熱を、ガラスの内面に特殊な膜をコーティングすることによって反射させ熱損失を少なくし、トリプルガラスと同等の性能を実現しました。

ガラスをつくるには大きな設備投資が必要で、日本では大手のガラスメーカー3社がその市場を独占してきました。日本の多くの工業製品はメーカーが違っても同じような製品がつくられています。Low-Eペアガラスも、各メーカーで同じようなもので、それを組み込んだサッシも性能は似たようなもの。販売力でシェアが決まるというような状況が続きました。

 

ArLow-Eペアガラスの登場

十数年前から、私たちは省エネ性能を高めたQ1.0住宅をつくり始めました。北方型の住宅として国の定めた省エネ基準適合住宅よりも暖房費が半分以下で済む住宅です。断熱材の厚さを2倍にするには工事費が高くつきすぎますから、住宅の気密性を高めて熱交換換気を採用する。開口部の性能を方位別に検討して、南の窓から入る太陽熱をうまく利用する。断熱の厚さもある程度厚くする。という手法で建設を進めてきました。これまでQ1.0住宅相当の住宅は北海道で1000棟以上建設されています。

ここで登場したのがArLow-Eペアガラスです。ペアガラスの空気層にアルゴンガスを封入すると、熱損失が約25%少なくなるのです。さらに空気層の厚さを12mmから16mmにすると、さらに10%も少なくなります。これを使ってトリプルガラスをつくると、Low-E膜を1面か2面か、アルゴンガスが1層か2層かで変わりますがさらに性能が上がり、Low-Eペアガラスの1/2〜1/3にも熱損失が少なくなるのです。最近はアルゴンガスよりさらに性能が上がるクリプトンガスを封入した製品も使えるようになりました。