住空間をイメージしやすいインテリア空間に多種多様な薪ストーブが置かれ、機種選びの視野を広げてくれる札幌の薪ストーブ専門店「神楽ストーブ」。コンパクトな店内には、道内のここでしか見ることのできない貴重な薪ストーブをはじめ、同店ならではの新鮮な魅力が詰まっています。

ドイツの薪ストーブメーカー「IRON DOG(アイアンドッグ)」。左から最小モデル「Nº01」、日本のユーザーの希望に応えるために登場したニューモデル「Nº07」、ドイツの彫刻家がデザインした「Nº05」

ブラックアウトをきっかけに、
薪ストーブの必要性を実感

株式会社リーテックの代表取締役・大橋 晋さんが「神楽ストーブ」を札幌にオープンしたのは、胆振東部地震でブラックアウトを経験したことがきっかけでした。「弊社の札幌支店を利用して薪ストーブ屋をオープンしませんか?と打診を受けて、ちょうど検討している最中のことでした。電気の供給が止まり、光のない町の中を歩きながら、もしこれが真冬だったら果たしてどうなっていたのだろうと考えたのです」と大橋さんは振り返ります。

スイッチひとつで事足りる暮らしは確かに便利だけれど、災害などの非常事態においては、厳しい冬の寒さの前では何ひとつ太刀打ちできないのではないか。「薪ストーブの必然性、可能性が自分の中で加速していくのを感じました」と、薪ストーブ事業への参入を決意。話を持ちかけてくれた旭川の神楽ストーブから、屋号を引き継ぐ形で、2019年に薪ストーブ輸入販売会社エープラスの正規ディーラー店として、札幌にショールームをオープンしました。

木製扉が目を引く玄関まわり。外に置かれた薪棚がお店の目印に
木製扉が目を引く玄関まわり。外に置かれた薪棚がお店の目印に

「弊社は住宅のリフォームや家具のリペア、西洋漆喰の販売をメインとする会社です。資源を大切にし、環境に配慮するという理念はもともと根付いていたので、薪ストーブはうちが扱うべき商材だろうという思いもありました」と話す大橋さんは、旭川本社の事務所内にも薪ストーブを導入。当初は扱いに戸惑っていた薪ストーブ初心者のスタッフも、今ではすっかり炎の魅力に惹き込まれたそうです。「仕事に行き詰まったら炎を眺めて気分をリセットしたり、終業後にみんなでピザを焼いて楽しんだり。炎のある職場を満喫していますよ」。

神楽ストーブを運営する(株)リーテックの代表取締役・大橋 晋さん。炎のもたらす豊かさは職場でも有効で、スタッフとストーブを囲むひとときが何よりの楽しみ
店内の一角に設けられた打ち合わせスペースは、リビングのような居心地の良さ

小さな店内に、個性あふれる魅力的な
薪ストーブを厳選してラインナップ

自社で取り扱う西洋漆喰の塗壁で仕上げたショールーム内は、コンパクトながら洗練された雰囲気。鋳物製のIRON DOG(アイアンドッグ)シリーズや、鋼板ストーブのHWAM(ワム)シリーズなど、高性能な薪ストーブがずらりと並んでいます。

店内には実演機を含む7台の薪ストーブを設置
店内には実演機を含む7台の薪ストーブを設置

中でも注目は、IRON DOGの「Nº05」。ドイツの彫刻家がデザインしたというこの薪ストーブは、芸術品といっても過言ではない美しさで存在感を放っています。「鋳物でこれだけの繊細な彫刻を実現できるのは、IRON DOGならでは。実演機として道内で設置しているのは、今のところ当ショールームだけです」と大橋さんも胸を張ります。

神楽ストーブ自慢の実演機、アイアンドッグ「Nº05」。ドイツの彫刻家がデザインし、ひとつひとつ手で仕上げられたという逸品。側面には、「Hurraxdax(愉楽への旅立ち)」という印象的な言葉がさまざまな言語で刻まれている
神楽ストーブ自慢の実演機、IRON DOG「Nº05」。ドイツの彫刻家がデザインし、ひとつひとつ手で仕上げられたという逸品。側面には、「Hurraxdax(愉楽への旅立ち)」という印象的な言葉がさまざまな言語で刻まれている

薪ストーブは優秀な暖房機器であるとともに、空間を彩る大切なインテリアでもあります。いわゆるログハウス風の住まいにあるイメージが強いですが、現代の住宅にもしっくりとなじむことが、このショールームに来るとよくわかります。

また機器としての機能も年々進化しています。例えばHWAMの薪ストーブは、スマートフォンと連動して操作することができ、薪ストーブの扱いが不安な女性にも人気。直に触ったり、話を聞いたりすることで、薪ストーブがより一層私たちにとって身近な設備になっていることが実感できます。

Hwamの薪ストーブ。右からサイドとトップに蓄熱性の高いサイドストーンを採用した「4660m」、スマートな円筒形デザインの「3630m」、フォルムの美しさが際立つ「4640m」。いずれもスマートフォンに専用アプリをダウンロードし、連動させることが可能
HWAMの薪ストーブ。右からサイドとトップに蓄熱性の高いサイドストーンを採用した「4660m」、スマートな円筒形デザインの「3630m」、フォルムの美しさが際立つ「4640m」。いずれもスマートフォンに専用アプリをダウンロードし、連動させることが可能
HWAM「3630m」はフロントガラスとサイドガラスの3方面から揺らぐ炎を鑑賞できる
HWAM「4660m」はサイドとトップに採用した木目のような模様が美しいサンドストーンが魅力

大橋さんは、薪ストーブを設置したことで家族がリビングに集まるようになったという話をお客さんからよく耳にするそう。「大切なのは、薪ストーブで何がしたいか、ということです。料理をしたい、炎を楽しみたい、でもなるべく手間をかけたくない。薪ストーブに求めるものは人それぞれですので、お客様と会話をしながら、思い描くライフスタイルに沿った薪ストーブ選びのお手伝いをしています」。


ポイント1
リペアで培った技術力を生かした提案

神楽ストーブを運営する(株)リーテックは、住宅のリペアで培った技術力を生かした提案が特徴です。豊かな薪ストーブライフの実現は、確かな安全性があってこそ成り立つもの。安心・安全で、末長く使えるための丁寧で確実な施工と、薪ストーブの取り扱いのアドバイスを、経験も知識も豊富なスタッフが対応します。

毎年シーズンが終わると煙突掃除やメンテナンスに伺うなど、アフターフォローにも力を入れています。薪ストーブ導入に不安を感じている方でも、安心して薪ストーブライフを始められそうです。

神楽ストーブは、母体となる(株)リーテックの隣に併設。住宅の専門家である同社スタッフが施工からアフターフォローまでを一手に引き受ける

ポイント2
モダン建築と薪ストーブのマッチングを体感

西洋漆喰の塗り壁で仕上げたショールームは、現代のモダンな住宅に薪ストーブがマッチすることを改めて実感させてくれます。大橋さんいわく「漆喰の塗り壁は、防臭効果と調湿効果があるので、薪ストーブにもぴったりなんですよ」。

実演機の背景の塗り壁は、赤茶色のカラーリングが印象的で、彫刻デザインが施されたアイアンドッグの「Nº05」がよく映えます。「HWAMは本体のつくりが二重構造でストーブの側面や背面が高熱になりにくいため、そもそも炉壁が不要で、塗り壁でもまったく問題ありません」。西洋漆喰と薪ストーブの組み合わせもまた魅力的です。

ポイント3
厳選されたアイテムをじっくり吟味

神楽ストーブのショールームはコンパクト。だからこそ展示品の薪ストーブや、関連アクセサリーなどは、薪ストーブ愛の強いスタッフが厳選した逸品だらけ。料理を楽しむためのストウブ鍋やピザショベル、ピザストーン、炎のある暮らしをより一層楽しめる屋内外で使用可能なグラビティキャンドルなど、気になるアイテムが盛りだくさんです。

丸みのあるコンパクトなフォルムやハンドルデザインが柔らかな印象を与えるアイアンドッグ「Nº01」。コンパクトながらも必要十分な出力を発揮するハイパワーが魅力
丸みのあるコンパクトなフォルムやハンドルデザインがやわらかな印象を与えるアイアンドッグ「Nº01」。コンパクトながらも必要十分な出力を発揮するハイパワーが魅力
「Nº01」は、燃焼室の奥に犬のイラストが刻印されている
フロント扉の内側についているエンブレムなど、ちょっとした遊び心が楽しい

家で過ごす時間が増えた今、暮らしに遊びを取り入れたいと考える人は少なくないでしょう。大橋さんは「最近では少しずつですが、新築時に薪ストーブを導入する若い方も増えてきている感があります。暮らしを楽しむのに薪ストーブは最適ですし、サスティナビリティの観点からも存在が見直されてきています」と、薪ストーブを取り巻く未来に期待を寄せています。

想像よりも手軽で、暮らしにフィットする薪ストーブ。「現代建築にマッチする店づくり」がテーマの神楽ストーブのショールームは、私たちと薪ストーブの距離を縮めてくれます。ここに来れば、あなたのこれからの暮らしを彩る薪ストーブに出会えるかもしれませんよ。

レンガをあしらった看板や、レトロなブラケットライトが薪ストーブ店らしい温かみを演出