家の個性を演出する「木+ガルバリウム鋼板」の外観デザイン集」という記事では、異素材の外壁材の組み合わせによる外観デザインのバリエーションについてご紹介しましたが、リプランの取材先では、天然素材ならではの風合いが魅力の「木外壁(板張り)」を採用した「木の家」が一定数あります。しかもよく見ると、張り方にもいくつかのバリエーションが…!そこで今回は、リプランの取材先で出会った、ぜひ家づくりの参考にしたい「木の家の外観デザイン」を張り方のバリエーションとともにいくつかご紹介します。


一般住宅で最もスタンダードな「横張り」

木外壁で最もスタンダードなのは、横方向かに板を並べて張る方法。洋風建築でよく見られるこの「横張り」は、主に上から段々になるように板を張り付ける方法(通称:下見板張り・鎧張り)を用います。メリハリやリズムをつくり出す外壁面の段々は横に広がりを持つため、安定感がある佇まいを演出できるのが特徴です。

カラマツを横張りにし、カーポートも造作で一体化させた住まい。原材料の生地をそのまま生かした素地仕上げで、経年変化が楽しめる
カラマツを横張りにし、カーポートも造作で一体化させた住まい。原材料の生地をそのまま生かした素地仕上げで、経年変化が楽しめる
道南スギ横張りの外観が森の中にひっそりと佇むような雰囲気を生み出している
道南スギ横張りの外観が森の中にひっそりと佇むような雰囲気を生み出している

複雑な外観デザインにも対応しやすい「縦張り」

一方、昔ながらの和風建築にも多く見られる「縦張り」は、ストライプが入ったようなスタイリッシュさがデザイン。外壁面がフラットになるので、「横張り」よりスッキリとした印象に仕上がります。多角形や曲線など角度を生かした複雑な施工ができるのも「縦張り」の特徴で、デザインの自由度の幅がぐっと広がります。

サーモウッドぼ羽目板で包んだ外観が周囲の緑に溶け込む。開口部やのアプローチの複雑な形が印象的
サーモウッド羽目板で包んだ外観が周囲の緑に溶け込む。開口部やのアプローチの複雑な形が印象的
特徴的なカーブのデザインが目を引く住まい。1階と2階の壁の厚さの差は、2階部分に施した付加断熱によるもの
特徴的なカーブのデザインが目を引く住まい。1階と2階の壁の厚さの差は、2階部分に施した付加断熱によるもの

横張り・縦張りのミックス&色づかいで個性を表現

同じ木の外壁でも、板の幅や張り方、仕上げの色によって、外観の印象は大きく変わります。組み合わせは比較的自由自在で、階ごとに横張りと縦張りをミックスして組み合わせたり、東西南北の面で張り分けたりできます。色は、リプランの取材先では、木の本来の素材感を生かした周辺環境になじむ仕上げをよく見ますが、北欧や欧米のような好みの色を塗って仕上げるデザインもいいでしょう。組み合わせ次第で、オリジナリティーあふれる外観デザインを実現できます。

縦張りと横張りの道南スギがモザイク模様を描くデザイン。この正方形は、4畳半を1単位とする間取り構成によるもの
縦張りと横張りの道南スギがモザイク模様を描くデザイン。この正方形は、4畳半を1単位とする間取り構成を反映している
外壁の板は屋根の形や全体のフォルムとのバランスを見て、1階は横、2階は縦に配置。すべて道南スギだが、並べ方によって経年変化に違いが出る
外壁材は屋根の形や全体のフォルムとのバランスから、1階は横張り、2階は縦張りで構成。すべて道南スギだが、張り方によって経年変化に違いが出ている
道南スギの短材を短材を縦に下見張りした外観。縦張りと横張り、両方のデザインの特徴が生かされている
道南スギの短材を縦に下見張りした外観。縦張りと横張り、両方のデザインの特徴が生かされている
退色や腐食を防ぐ木酢液で加工したカラマツ無垢板を縦張りにした住まい。交互に繰り返す黒と黄色が外観に軽やかなリズムを与える
退色や腐食を防ぐ木酢液で加工したカラマツ無垢板を縦張りにした住まい。交互に繰り返す黒と黄色が外観に軽やかなリズムを与える
自然界の中にある色を使い、周辺環境と調和することを意識。緑と土をイメージした色でスギ材に塗装を施した
自然界の中にある色を使い、周辺環境と調和することを意識した外観デザイン。外壁材は、緑と土をイメージした色でスギ材に塗装を施したもの


木の外壁には、天然素材ならではの本物の風合いが備わっています。定期的にメンテナンスは必要ですが、年月を重なるほどに素材感が味わい深くなり、美しい経年変化を楽しめるのも木の外壁ならではの大きな魅力。素材にこだわり、温かみのあるデザインを求める方は、ぜひ仕上げ方も含め、木の外壁を検討してみてはいかがでしょうか。

(文/Replan編集部)