安心で快適な薪ストーブライフを送るために大事なこと。それは、ストーブ本体と煙突のメンテナンスです。薪ストーブを使わない夏の間は、メンテナンスの絶好のタイミング。しかも、北海道リンクアップの代表、唐牛宏さんによると、メンテナンス時に出る灰や煤の様子から、薪の状態やストーブの焚き方の良し悪しがわかるのだそう。今回はそんなメンテナンスについて、唐牛さんにお話を伺いました。

 

薪ストーブと煙突のメンテナンスは、その年の気候にもよりますが、だいたい、5月の連休明けから10月いっぱいまでをめどに行います。メンテナンスの頻度は、「そのお宅が薪ストーブをメイン暖房として使っているか、サブ暖房として補助的に使っているか」、「どのくらいの量の薪を燃やしているか」など個々の条件によって異なりますが、私たちは薪8㎥をメンテナンスの一つの目安にしています。そうすると、メイン暖房として使っている場合は、だいたい年に1回のメンテナンスが必要ということになります。

メンテナンスでは、薪ストーブ本体と煙突を掃除します。煙突掃除は命綱をつけて、屋根に上がって行います。煙突の先端には、陣笠(じんがさ)というパーツが取り付けられています。薪ストーブの煙は炉内から出て、上に行けば行くほど温度が下がり、燃えきれなかった不純物(=煤など)が塊になって、煙突のてっぺんにある陣笠にたまります。メンテナンスでは、この陣笠を外してクリーニングするとともに、煙突掃除用のブラシで煙突内にこびりついた煤をきれいにします。

煙突のスタイルは、このように大きく分けて2つ。左写真のてっぺんに付いた円柱のパーツが陣笠。右写真では煙突の上部に付いた金物が、陣笠と同じ役割を果たす
陣笠を外して、ブラシでクリーニング

メンテナンスに伺ってストーブの中や陣笠まわりを見ると、薪ストーブの焚き方の良し悪しがすぐにわかります。「焚き方に良いとか悪いとかあるの?」と思う方もいるかもしれませんが、これははっきりと違いがあるんです。とてもいい焚き方をしている家の煙突や陣笠は、煤のつき方も少なめで、ブラシで掃除すると比較的すぐにきれいになります。

下の写真のお宅は、札幌で一番ストーブを焚いているのではないか、というほどのヘビーユーザー。それでも上手に焚いていれば、煙突内や陣笠の煤のつき方はこれぐらいで済み、年に一回のメンテナンスで良い状態を保つことができます。

左写真がクリーニング前、右写真がクリーニング後。薪ストーブを上手に使っていると、煙突の中の煤のつき方も少なくて、クリーニングもスムーズにできる
上の煙突写真と同じ、焚き方が上手な家のクリーニング前の陣笠
クリーニングすると、こんなにきれいに。すでに5、6年使い込んでいるものの、良い状態を保っている

でも、焚き方が良くないと、煙突まわりにはこのように、煤のかたまりがたくさん出てしまいます。煤や灰の状態もまったく違います。

煙突の口まわりや中の方にも、煤がこびりついて固まっている。これは何か問題がある証

 焚き方が良くなくて薪が燃えきらず、不純物がたくさん混じると炭のような黒色のかたまりになります。もっとひどいと黒光りするタールが溜まっていることも。タールはそれ自体が高温になって発火する恐れがあるので、そうなるととても危険です。一方で薪の焚き方が良くてしっかり燃えきっていると、煤は茶色のきめ細かいパウダーになります。これなら完璧。ストーブや煙突の傷みも少なく、安心して長く使っていくことができます。

煙突の口まわりや中の方にも、煤がこびりついて固まっている。これは何か問題がある証

薪ストーブを上手に焚くポイントは、

・薪を十分に乾燥させること
・最初の火入れのときは、薪を数本使って一気に燃やし、炉内と煙突の温度をしっかりと上げること
・炉内を酸欠状態にしないこと

この3つです。

特に薪の乾燥が十分でないと、燃やしたときに水分が出て温度が十分に上がらず、煤などの不純物が発生する大きな原因になります。ストーブに使う薪の含水率(木が含む水分量のこと)の目安は20%。特に、水分は薪の中心部分に多く溜まっていて、樹皮がついたままだとなかなか外へ出て行きません。そもそも薪を割るのは、中心部分の水分をしっかり乾燥させるためです。少し細めの丸太でも、しっかり割ること。そして雨を避けた風通しの良い屋外で、少なくとも半年以上は風に当てて乾かしましょう。

薪ストーブは、正しい施工で正しく使い、定期的なメンテナンスをしていれば、安心で、心豊かな暮らしをもたらしてくれる暖房器具です。メンテナンスで煤の状態をチェックして、薪の乾燥方法や日頃の薪ストーブの使い方を見直してみてはいかがでしょうか。