「良いデザインの家」とは、見た目も間取りも、省エネ・省コストにつながる住宅性能も、トータルに考えデザインされた家。Replanでは「美しく暮らす 東北のデザイン住宅2023」の発刊に合わせて、そんな家づくりに取り組む東北の住まいのつくり手の声をお届けしていきます。今回は、青森県八戸市を拠点に注文住宅を手がけるホリウチ アーキテクツの堀内 将人さんです。
いい住まいの様相を解く
地域、場所、外観、内観、機能、空間…。住まいの様相としてお施主様に何を求められ、建築家は何を思考し提供するのか。この課題に日々取り組んでいます。
地域の環境を読み、地域の歴史と風土を感じ、場所性と景観を解き、お施主様が住まう意味を知る。普遍の外観、美しい内観、合理的な機能、そして心地よい空間を提案する。これらの様相を一つの建築にまとめ、一組のご家族に、無二の作品として住まいを提供する。住宅作家の仕事は「一組のご家族のための・一つのいい住まいの提供」、この一点に尽きると考えています。
地域環境を読み解く住まい
青森県八戸市の気象と温熱環境は、少々特異です。冬の外気温はマイナス15℃に達しますが冬晴れの日が多く、冬季間の日射が得られやすい地域であり、夏は季節風やませの影響で湿った風の涼しい日々が続きます。八戸地域で住宅の計画を進めるとき、この少々特異な気象と温熱環境への配慮は欠かせない設計条件となります。
この住まいが立っているのは、八戸市中心部に近い市街地。設計者として、プライベートな屋外空間をご家族で楽しめる地域型環境住宅を提案しました。中央に配されたコートガーデンは、各室へ冬の陽射しと夏の涼しさを届け、さらには樹木の成長や四季の移ろいなど時の流れを楽しめる豊かなゾーンとしています。
同時に、コンクリート壁を計画全体に配置することによる強さと美しさを兼ね備えた住空間を提案しました。コンクリート打ち放し仕上げの無骨で美しい表情の壁は、強度とともに蓄熱と輻射熱による保温効果も得られ、室内温熱環境を優しく整えてくれます。
「驚くほど心地いい住まいです。いい作品を手に入れました」。完成から半年が過ぎた頃、ご夫妻からそんな言葉をいただくことができました。
■建築DATA
青森県八戸市・Kさん宅
家族構成／夫婦40代、子ども4人
構造規模／混構造・平屋建て
延床面積／255㎡（約77坪）
設計／（株）ホリウチ アーキテクツ 堀内 将人
施工／小幡建設工業（株）
写真／堀内 将人
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