「良いデザインの家」とは、見た目も間取りも、省エネ・省コストにつながる住宅性能も、トータルに考えデザインされた家。Replanでは「美しく暮らす 東北のデザイン住宅2024」の発刊に合わせて、そんな家づくりに取り組む東北の住まいのつくり手の声をお届けしていきます。今回は、宮城県を拠点に東北一円で注文住宅を手がける建築工房DADAの渡辺 恭兵さんです。
ちゃんと考え、きちんとつくる
DADAでは、当たり前のように思われる「ちゃんと考え、きちんとつくる」をキャッチフレーズに、デザイン・機能・コストのバランスを考慮し環境にも配慮した、お客様が楽しくて幸せになる住宅をつくっていくことを心がけています。そのため、DADAの家には決まったスタイルがありません。なぜなら、理想の家は家族ごとに違うからです。
常識やカタチにとらわれず、家族の個性や感性を取り入れた暮らしを自由に発想していき、一つひとつの家族に合った家づくりをすることが大切であると私たちは考えています。固定観念にとらわれる必要はありません。楽しく幸せに暮らせる家づくりをしましょう。
松島湾ありきの住宅設計
Mさんのお住まいの計画地は、松島湾にほど近い小高い丘の上に位置していました。土地探しからお手伝いしていて、海が見える土地を何ヵ所か候補にしていました。この敷地も松島湾が望める好立地。家全体の計画はこの松島湾を住まいの一部としてどう取り込めるかが焦点になりました。
2階からの眺望が良さそうなのは現地調査時に感じていたので、メインの空間を2階に計画しました。また、隣家からの視線を避けて、松島湾に正対できるように敷地に対して角度をもたせてレイアウトしています。敷地の使い方としては無駄が多くなりますが、暮らし心地の良さを優先しました。
1階にはご要望のガレージを配置しました。アウトドア用品が多いご家族のために大容量の外部収納も完備。玄関を通らず、住戸内に直接アクセスできます。玄関ドアを開けると、長い廊下の先に植栽を眺めながら楽しめる階段室があります。
そのほか1階はご家族のプライベートな空間を配置。物干し空間でもあるランドリーは、2階の脱衣室からシューターで洗濯物を落とす仕組みで家事の手間を省きました。
2階はワンルーム空間で、松島湾に向かって天井が高くなるように設計。壁のないガラスによって構成された開口部は、眺望と採光の確保を両立しています。BBQが好きなご家族のための専用テラスも大きな特徴です。
■建築DATA
宮城県松島町・Mさん宅
家族構成／夫婦30代、子ども2人
構造規模／木造・2階建て
延床面積／161.46㎡（約48坪）
設計／（株）建築工房DADA 渡辺 恭兵
施工／Earth Home Engineer（株）
写真／フォトスタジオ・モノリス