間取り図と一緒に紹介。私が手がけた「キッチンリフォームの成功例」
Replanが教える家づくりに必要な基本、あれこれ。
目次
- リフォーム希望が多い「キッチン」
- リフォームのきっかけは「お子さんの独立」
- リフォーム前のキッチンの悩みや不満
- ■収納
- ■レイアウト・作業動線
- 新しいキッチンへの要望
- ■収納
- ■レイアウト・作業動線
- ■設備・仕様
- Yさん宅のリフォームの進め方
- 設計士さんや大工さんと連携
- 工期は4ヵ月の長丁場!その間は仮住まいに
- いよいよ完成!リフォーム後の改善ポイント
- ■改善ポイント① L型キッチン → I型キッチンに変更
- ダイニングとキッチンの行き来がスムーズに
- キッチンが明るく気持ちのいい空間に
- ■改善ポイント② 使いやすい収納計画
- 配膳にも収納にも使える「アイランドカウンター」
- 収納上手になれる「キッチン背面の壁面収納」
- ■改善ポイント③ 作業効率の良い動線とレイアウト
- ユーティリティへの動線を確保
- 動線が良くなって、ご主人もキッチンに立つように!
リフォームやリノベーションでは住まいのさまざまな部位や部屋に手を入れますが、設備の老朽化や使い勝手の悪さなど、特に「直したい!」という希望が多いのが「キッチン」です。
今回は、インテリアコーディネーターの本間純子さんに、ご自身が手がけたキッチンリフォームの「成功実例」について、詳しくお話いただきます。

リフォーム希望が多い「キッチン」
食事の準備をしたり、食器や調理器具を片付けたり、キッチンは私たちの日常に欠かせない住まいの機能です。だからこそ、設備機器の老朽化や扉などの不具合が重なると、優先的にリフォームを検討することになります。

以前私が手がけた案件の一つに、お施主様の満足度がとても高かったキッチンリフォームの例があります。ご予算にゆとりがあったこともあり、個人的にも「お施主様の希望をうまく引き出せて良い結果につながった」という実感があります。
そこで今回は、L型キッチンをI型キッチンに入れ替えて、快適に生まれ変わったそのキッチンリフォームのストーリーをご紹介したいと思います。
リフォームのきっかけは「お子さんの独立」
札幌市にお住まいのYさんご夫妻がリフォームを考えた一番のきっかけは、「お子さんの独立」でした。子育てを卒業しての夫婦2人暮らし。当然家での生活スタイルが変化しますので、これを機に住まい全体を見直して、キッチンもリフォームすることにしました。
リフォーム前のキッチンの悩みや不満
リフォームを進めるにあたっては、まず「現状のいいところ」「現状の悩みや不満」「リフォームでの要望」をヒアリングします。広くておしゃれなキッチンでしたが、お話を聞くと悩みや不満がいろいろと出てきました。

■収納
● ウォールキャビネットの上のほうの収納棚は、高くて手が届きにくい
● フロアキャビネットは扉タイプで、奥の物が取り出しにくい
● L型キッチンのコーナー下収納は、しまうのも取り出すのも不便
● 収納が足りない
■レイアウト・作業動線
● IHクッキングヒーターの下にオーブンレンジがあって作業しにくい
● ユーティリティへの戸の前に、精米器や炊飯器、電気ポットなどを置くキャビネットがせり出していて、出入りがしにくい
● 調理家電の置き場所が微妙で作業動線が悪く、効率的に動けない
新しいキッチンへの要望
リフォームで新しくするキッチンへの要望は、主に以下のようなものでした。
■収納
● 収納スペースはたくさんほしい
● 使い勝手がいい収納にしたい
■レイアウト・作業動線
● L型→I型に変更したい
● 配膳の準備ができるスペースがほしい
● キッチンの窓から見える風景は気に入っているので生かしたい
● 増えてしまった調理家電の置き場所がほしい
■設備・仕様
● 食洗機は比較的新しいのでこのまま使いたい。位置も今と同じシンクの右側下が便利
● オーブンレンジはミーレの製品に買い替えたい
● 水切りカゴは置きたくない
● キッチンの壁はキッチンパネルではなくタイルがいい
● キッチン扉の面材が気に入っているので再利用したい →ユーティリティで再利用
Yさん宅のリフォームの進め方
設計士さんや大工さんと連携
ご予算や家の構造などを踏まえながら、できる限り悩みや不満は解消し、要望を反映させる。それがリフォームやリノベーションでは重要になります。
このケースでは、間仕切り壁や天井にも工事が及ぶため、住宅を支える柱や梁の耐力まで考えながら進める必要がありました。そのため、
●設計士さん →設計(間取りの検討)と空間デザインの提案
●インテリアコーディネーター(本間) →照明や設備、カーテン、内装仕上げ材等の提案
とそれぞれに役割を分担し、大工さんと相談しながら工事を進めて行きました。今回の工事は「壁の位置変更」や、「開き扉から引き戸への建具変更」などが含まれ、微妙なサイズ調整も必要でした。設計士さん、大工さん、コーディネーターが、建物の現状と提案内容の情報を共有できたことで、作業がスムーズに進みました。
工期は4ヵ月の長丁場!その間は仮住まいに
Yさん宅のリフォームはかなり大がかりだったこともあって工期が4ヵ月と長く、住みながらの工事が難しいケースでした。
そのため近くのご実家に仮住まいし、毎朝8時頃に鍵を開けに来て、夕方18時頃に施錠に来るという日々が続きました。これはかなり大変だったと思います。
ただ工事を手がけた工務店は新築時からのお付き合いでしたので、信頼関係のもとでリフォームが進められたと感じています。
ひとことメモ
住みながらのリフォームは工事関係者が出入りして落ち着かず、音や粉じんなども問題もあって長期間だとストレスに。仮住まいをする場合は、引っ越し並みに荷物の移動があります。どちらにしても体力も気力も必要です。時間にも心にもゆとりを持って進めたいところです。
いよいよ完成!リフォーム後の改善ポイント
■改善ポイント① L型キッチン → I型キッチンに変更
ダイニングとキッチンの行き来がスムーズに
L型の形状によってこれまでキッチンとダイニングを区切っていたカウンターとウォールキャビネットが撤去されたことで、ダイニングとキッチンの行き来がかなりスムーズになりました。

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キッチンが明るく気持ちのいい空間に
またウォールキャビネットを撤去したことで、ダイニングの窓からの光がキッチンの奥まで届くようになりましたし、キッチンバックタイルの白や扉面材のアイボリーが明度を上げる力になったようで、ダイニングもキッチンもとても明るい印象で気持ちがいい空間になりました。
■改善ポイント② 使いやすい収納計画
配膳にも収納にも使える「アイランドカウンター」
Yさん宅のリフォームでとても良かったアイデアの一つが、配膳や作業に使えて、収納スペースにもなる「アイランドカウンター」です。本体はキッチンセットと同じ面材でメーカーにオーダーし、炊飯器と精米器を置くためのワゴンはメーカーの面材を用いて別途大工さんに製作してもらいました。

置き場所に悩むことが多いゴミ箱も「ダストボックスワゴン」としてアイランドカウンター下に組み込まれています。シンクの背面にゴミ箱があるレイアウトになって、料理中でも使いやすい仕様です。
食器棚側に面する奥行きの浅い棚は、瓶類、缶類のストックにちょうど良い寸法。一列並べで、扉を開くとストックがすべて把握できます。デッドスペースがなくて機能的なアイランドカウンターで、収納やレイアウト、作業スペースと複数の問題を解決できました。
収納上手になれる「キッチン背面の壁面収納」

キッチン背面の収納も、リフォームで見直しました。IHクッキングの下にあって使いにくかったオーブンレンジや、増えてしまって置き場所に困っていた調理家電を置けるカウンターを組み込んで、設置スペースを確保。使い勝手を考慮して、
・床上85㎝高 →引き出し収納
・床上85㎝〜140㎝高 →家電収納スペース
・床上140㎝高以上 →開き扉収納(中は可動棚)
と、いう設計に。
開き扉収納は、床からの高さが140㎝以上で奥行きが60㎝もあるため、奥に入った物の出し入れが容易ではありません。そこでYさん宅では、片手で持てて入っているものが分かりやすいケースを奥さまがオンラインショップで見つけて購入。完成後に訪問して拝見すると、美しくて使いやすい見事な整理整頓状況でした。
■改善ポイント③ 作業効率の良い動線とレイアウト
ユーティリティへの動線を確保
収納計画を見直して、引き戸の前にせり出していたキャビネットを撤去したことで、ユーティリティへのスムーズな動線を確保。物を抱えた状態でもストレスなく行き来ができるようになりました。
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動線が良くなって、ご主人もキッチンに立つように!
アイランドカウンターの魅力は「回遊動線」ができること。キッチンセット側からもキッチン収納側からも「冷蔵庫へ行く」「ユーティリティへ行く」が可能になりました。リフォームをしてから、ご主人が自らキッチンに来て晩酌の用意をするようになったそう。これも、Yさん宅のキッチンリフォームの大きな効果ですね。

古びて汚れが気になっていたものが、新しいきれいなものに変わったり、日常のちょっとした不具合が解消されたりするだけでも、日々の気持ちや暮らしやすさはずいぶんと変わるものです。
不具合や故障をきっかけに、必要に迫られて行うリフォームやリノベーションは、準備する時間が十分の取れずに満足度が低くなりがち。そうなる前に、良い相談相手を見つけ、しっかり準備して、長持ちするリフォーム・リノベーションを実現したところです。
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