ダイニングは家の中でも、家族が一緒に過ごす時間が長い大切な場所です。LDKの中心にレイアウトされることも多いため、住まい手の好みやこだわりを強く反映させやすいスペースでもあります。
なかでも取材中についつい目を引かれるのが、ダイニングの照明。お施主さんご自身が手を尽くして探し出した、こだわりのペンダントライトを吊るしているお宅が多く見られ、インテリアとしてもとても魅力的です。そこで今回は、ダイニングで使うペンダントライトの基本と、設置する際の3つのポイントをご紹介しましょう。
ダイニングの照明の定番「ペンダントライト」とは?
ペンダントライトは、コードやチェーンで天井から吊り下げるタイプの照明器具で、空間の視界に入りやすい位置に設置されます。今はダウンライトや建築化照明が多用される傾向が強いので、ペンダントライトのデザインがインテリアの印象を左右するといっても過言ではありません。

その意味で、ペンダントライト選びでは、デザインやフォルム、サイズ感が重要なポイントです。印象的な大ぶりの照明の1灯吊りはもちろん、小型ペンダントライトを複数使う多灯吊りも人気です。
ダイニングのペンダントライト設置
3つのポイント
ポイント① ダイニングの使い方に合わせたランプ選び
先日の記事「部屋ごとに賢く使い分け!電球の種類と光のタイプ」でも少し触れましたが、ダイニングの照明の大切な役割は「テーブルの上を明るく照らし、料理をより美味しくみせること」です。そのため、温かみのある電球色のランプが好んで使われます。
ただ最近は食事をする以外にも、子どもがの宿題や親のリモートワーク、ミシンがけなどの家事作業など、ダイニングの使われ方が多様化しています。そのようなニーズに応えるのが、あかりの色を変えられるLED照明です。
食事以外にもダイニングを使うご家庭では、食事のときは「電球色」、勉強や作業のときは「昼白色」とシーンに合わせて色を変えられる照明器具・ランプにしておくと、とても使いやすく便利です。
ポイント② 「設置位置」と「テーブルからの高さ」
設置位置は「ダイニングテーブルの真ん中」が基本
ダイニングのペンダントライトは、どこを基準に設置すればいいのか?基本は「ダイニングテーブルの真ん中」です。ダイニングテーブル全体にあかりが届くようにする必要がありますし、中央からずれていると空間としての見栄えもよくありません。1灯であればテーブルの中央に、複数灯であれば、テーブルの短手の中央線上で、長手に平行になるように並べます。


テーブルからの高さの目安は「70cm前後」
テーブルから照明までの高さは「70cm前後」が標準です。
□ 立ち座りのときにペンダントライトに頭がぶつからないか
□ 食事中に光源が目に入ってまぶしくないか
□ 光が必要な範囲に届いているか
を必ずチェックしましょう。
照明器具を高めにすると、より広範囲を照らせる一方で、手元は暗くなります。照明器具の購入時にコードを所定の長さに調整しておけるのが理想ですが、難しい場合は長めにしておいて、コードリールやコードアジャスターで長さを調整するという手もあります。


今は吊り元のフランジ(シーリング用カバー)に、コードを収納できるタイプも多いので、テーブル位置を変更した時は、フランジからコードを引き出し、妥当な位置までコードを振って、コードハンガー(※)に掛けて固定します。
※コードハンガーの取り付けには天井下地が必要で、ペンダントの重量に対しての制限もあります。落下すると危険なので、確認しましょう。

<ダイニングのペンダントライト>
1灯・2灯・3灯の場合の寸法の目安
図・解説:アリエルプラン・インテリア設計室
「ダクトレール」で照明の位置を調整しやすく
照明計画の段階でダイニングテーブルの位置を決めきれない、リノベーションで既存の配線を利用する場合などは、コードハンガーやペンダントサポーターといった補助器具のほかダクトレールを使うと、テーブルの真ん中に照明が来るよう調整できます。

特にダクトレールは、ペンダントライトの数を増やすことも、間隔を調整することも容易。ペンダントライトで視界を遮りたくない場合や、照明器具の存在感を軽減したいときは、ダクトレールに小型のスポットライトを付けるとテーブル面だけが明るいドラマチックな演出ができます。

ポイント③ 光の見え方と方向
ダイニングの照明として使えるペンダントライトの種類はさまざまですが、注目すべきは光の「見え方」と「方向」で、これはシェードをつける・つけない、またシェードの素材よって特徴が異なります。
サイズについては基本的に、シェードが大きいものほど大きな口金の電球や、複数個の電球に対応している傾向があり、明るさを確保しやすいです。シェードが小さいと使える電球のサイズが小さくなり、照らす範囲も小さくなるので、「明るさの確保」と「インテリアとしてのバランス」には注意が必要です。
■裸電球・クリアガラスのシェードの場合
電球そのままを生かしたり、クリアガラスのシェードを付けたりした場合、光はすべての方向に等しく拡散します。そのため、ダイニングテーブルというよりは、ダイニング空間全体を照らす効果がより強くなります。
■ガラス・布・紙のシェードの場合
光を和らげながら透過するのは、ミルクガラスや色付きガラスのシェードや、布や紙のシェードです。ダイニングテーブルには電球そのままの光が落ち、壁や天井にはシェードの模様や凹凸を反映したおもしろい陰影が見えたり、質感そのままの柔らかい光が照らし出されたりします。また、木でもヤコブソンランプのように薄く削いだ材を用いたシェードは、温かみのある光を透過します。
■金属・陶器・木のシェードの場合
スチールや真鍮、アルミなどの金属や、陶器、木など、光を透過しない素材でつくられたシェードは、ダイニングテーブルに光を集約して照らします。かたちによっては上部が空いていて、テーブルと天井を照らし出すものもありますが、テーブルまわりと周辺の空間の明るさのコントラストをよりはっきりとさせるのが、このタイプのシェードの大きな特徴といえるでしょう。
ダイニングでペンダントライトを使うことをお考えの皆さんは、まずこの3つのポイントをしっかり押さえて照明計画を考え、お気に入りを探してみてはいかがでしょうか。
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(監修/アリエルプラン・インテリア設計室 文/Replan編集部)