「家を建てるなら、平屋がいいなあ」って思ったことありませんか?私たちが取材でお話をうかがうと、平屋は「敷地がある程度広くないと建てられない」とか「坪単価が高い」とか、そんなイメージが強いようで、いざ平屋を建てようと思うと条件がけっこうシビア、と感じている方も多いようです。

でもReplanで紹介したいくつもの「平屋」を見ると、条件が限られているようでいて、そのプランは敷地条件や周辺環境、家族が願う暮らしのかたちなどによってさまざま。例えば街なかにある広さの限られた敷地でも、条件や環境を読み解き、ひとつひとつ丁寧に計画・工夫していけば、思いがけず快適な平屋が実現できるかもしれないのです。

そこでこれから3回に分けて、異なる条件下で建てられた、さまざまな工夫とアイデアがぎゅっと詰まった多様なプランをご紹介します。

※掲載方法の都合上、図面の縮尺は一定ではありませんので、ご了承ください。

 

地形や眺望を織り込んだ
高低差のあるワンルーム空間

延床面積/90.94㎡(約27坪)
家族構成/夫婦30

仙台市内の擁壁の上に建つ、眺めの良い平屋。擁壁は東日本大震災後に築造されたもので、基礎が干渉しないようセットバックすれば建築が可能だったといいます。そこで、「見晴らしの良い丘に立つ感覚」を、ワンルーム空間で実現すべくプランニング。四角形と三角形に、高低差を組み合わせた変化に富む平屋の間取りが生まれました。

point.1
外に対して扇状に開ける空間とゆるやかな高低差が、「丘の上に立つ感覚」をより強く演出
point.2
水まわりと寝室、収納スペースをコンパクトにまとめて、ゆったりとした広さのLDKを実現
緩やかなステップでつながるLDK空間
緩やかなステップでつながるLDK空間。大きな窓から街並みを一望できる
小高い擁壁までもが家の一部のようにデザインされた外観
外観は、小高い擁壁までもが家の一部のようにデザインされている


設計/Ginga architects 
■施工/(株)
T-plan 
Replan東北 vol.59 掲載


天窓で、外からの視線を

かわしつつ明るい室内に

延床面積/74.00㎡(約22坪)
家族構成/夫婦40代、子ども1

「豊かな空間で快適な暮らしができれば、小さくても良い」というお施主さんの明確な考えのもと建てられた、「住宅街に建つ小屋」がコンセプトの住まい。シンプルな長方形の中に、各部屋が機能的に配置されています。住宅街の中の敷地ということもあり、壁に大きな窓を設ける代わりに天窓を多用することで、採光とプライバシーを確保。目指していた「豊かな空間での快適な暮らし」が実現しました。

point.1
敷地条件から壁には大きな窓を付けず、代わりに天窓を多用して採光や通風に配慮
point.2
屋外に物置を設けられないことから、玄関土間を広くして薪ストーブや自転車を置けるようにした
天窓のある平屋LDK
マツ材張りで美しく仕上げた天井には、天窓を多用。大きな窓がなくても明るく、外からの視線も気にならない
煙突と三角屋根が、住宅街にあってひときわ目を引く山小屋風の外観
煙突と三角屋根が、住宅街にあってひときわ目を引く山小屋風の外観

設計/ミズタニテツヒロ建築設計 
■施工/田島緑地前川コルポラッション(株)  
Replan北海道 vol.117 掲載


真ん中リビング・ダイニング。

土間空間がぐるりと囲む

延床面積/107.23㎡(約32坪)(風除室含む)
家族構成/夫婦30代・40代、子ども2

「自然に恵まれた環境でゆったりとした気持ちで過ごせること」「子どもがのびのびできること」「家族が仲良く暮らせること」というご家族の要望をかたちにした平屋の住まい。アイヌ民族の家「チセ」をモチーフにした間取りは、「家族」が家の中心になるようリビングを真ん中に据え、そのまわりをぐるりと囲むように各部屋の機能を配置しています。大きな一室空間で、自由で可変的な使い方ができる、このご家族が願う暮らしにぴったりの間取りです。

point.1
「家族」が家の中心になるようにと、リビング・ダイニングを家の中央に、その他のスペースを周りを囲む土間に配置
point.2
長さ3m、奥行き90cmのアイランド型カウンターに、食洗機・洗面台・洗濯機を組み込み、家事動線をコンパクトに
チセのような家の居間
家の真ん中が、家族の団らんの場。家の中のどこにいても、家族の気配が感じられる
のびのびと暮らせる自然豊かな環境に建つ平屋の住まい
のびのびと暮らせる自然豊かな環境に建つ平屋の住まい。道産トドマツの板張りの外観が、景観に馴染む

設計/アトリエサノ  
■施工/(株)丸繁 赤坂建築  
Replan北海道 vol.116 掲載


19坪の中に広がる

ミニマムな暮らしの場

延床面積/62.49㎡(約19坪) 
■家族構成/夫婦30

以前は農家の方が暮らしていたという土地での新築。写真でみると敷地が広そうですが、実はかなり限られた広さの中に建てる必要がありました。ミニマムな暮らしを望むご夫妻のために、先人の暮らしの痕跡と周囲の環境や方位を考えてつくられたのは、19坪の小さな家。外箱の中に、水まわりなどを集約した小さな内箱を入れ子にしたシンプルな構成ながら、回遊動線や高低差などを空間に織り込むことで、狭小ながらものびやかさを感じられる住まいです。

point.1
回遊動線やロフト、段差など空間に変化を持たせたことで、狭小ながらも伸びやかさが感じられる

point.2
外箱と内箱の間の「余白」を、リビングや寝室などの暮らしの場としてプランニング

「外箱」と「内箱」の間に生まれた余白をつかった無駄のない空間デザイン
「外箱」と「内箱」の間に生まれた余白をつかった無駄のない空間デザインは、ご夫妻の暮らしぶりから生み出された
道南スギの羽目板で仕上げたシンプルなかたちの外観
道南スギの羽目板で仕上げたシンプルなかたちの外観が、周囲の景色と調和する

設計/KAWANOJI 一級建築士事務所
施工/(株)橋本川島コーポレーション
Replan北海道 vol.114 掲載

今回は4事例をご紹介しましたが、いずれも「平屋でこんなふうに暮らしたい」という想いや願いがはっきりしています。そのうえで、その暮らしを叶えるためのプランを、敷地や周辺環境に合わせて実現していることが垣間見えたのではないでしょうか。

ということで、9/28発売のReplan北海道 vol.122の巻頭特集はまさに「平屋の間取り」。本誌と併せて「平屋の間取り」にぜひご注目ください!

(文/Replan編集部)

こちらもあわせてご覧ください↓
・家族の数だけ、かたちがある。平屋の間取り vol.2
・家族の数だけ、かたちがある。平屋の間取り vol.3