「長期優良住宅」の費用面での長期的メリットとは?

公開日:2025.11.19 最終更新日時:2025.11.14

Replanが教える家づくりに必要な基本、あれこれ。

今、国は「省エネ・脱炭素への対応」「巨大地震に備えた耐震性の確保」「国民の健康促進(=社会保障費の抑制)」「住宅の長寿命化による資産価値の向上」などを目的に、住宅の高性能化を制度的に推し進めています。

今回はその中で2009年から制度として続いている「長期優良住宅」の長期視点でのメリットについて、CFPの有田 宏さんに教えていただきました。

「長期優良住宅」とは?

「長期優良住宅」とは、長期にわたって良好な状態で使用できるように、国が定めた基準に基づいて設計・建築された耐震性や断熱性など高い性能を持つ住宅のことです。

定期的な点検やメンテナンスを前提とした計画が必須で、初期費用もかかりますが、認定されると税制優遇や補助金などの面で一般的な高性能住宅以上のメリットがあります。

また長期的な視点で見ても費用の面でメリットが考えられます。ただし認定には時間や手間がかかるので、設計段階から建築会社と綿密に打ち合わせをしておく必要があります。

メリット①
高性能化による省エネ・省コスト

断熱・気密性能を確保して住宅を高性能化することにより、一年を通して快適な室内環境を得られるとともに、暖冷房に必要なエネルギーが少なくなって、月々の光熱費の節約につながります。

メリット②
余分な維持費を減らせて、割高で売却できる可能性がある

定期的な点検やメンテナンスにより建物自体が長持ちして、長期的に見たときの維持費を減らすことが期待できます。またこれは資産価値を保つことにもつながります。将来売却する必要が出た場合に、市場の標準価格よりも高く売却できることも考えられます。

メリット③
地震保険料が割引になることも

 

長期優良住宅の認定には「耐震等級2以上」という条件をクリアする必要があります。耐震性を高めることで、震災時のダメージ=出費の削減につながることがあり得ます。長期優良住宅だと、地震保険の保険料の割引が適用されます。

メリット④
「フラット35S」でさらに金利が優遇

住宅金融支援機構の「フラット35」は現在、住宅性能が一定の基準に達していないと利用できませんが、長期優良住宅に認定されるような高い基準を満たした住宅の場合、「フラット35S」として金利が通常よりもさらに0.25%~0.75%引き下げられます(2025年現在)。

メリット⑤
税制面で、さまざまな優遇措置が適用される

長期優良住宅をはじめ、国が定める省エネ性能を満たしている住宅は、住宅ローン控除などの減税措置が受けられます。そのほかにも固定資産税や不動産取得税などで減税措置が講じられていますし、国や各自治体で多くの助成措置が用意されています(下表参照)。

なお、減税に関わる制度の多くは時限立法で内容が変更になる可能性もあるので、ご自身でも税制改正や助成措置などについて日ごろから情報収集をしておくことが大切です。

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