vol.012/ゼロ・エネルギーハウスをもう一度考える

公開日:2019.3.15 最終更新日時:2021.5.25

 

ZEH仕様ギリギリでは採択されない!

こうした急激な高断熱化の背景には、ZEH補助金への応募件数が増えたために、かなり高性能な物件でないと採択されなくなったことが挙げられます。図2に、ZEH補助金の採択フローを示します。ZEHの設計では断熱性能を表すUA値とともに、1次エネルギーの削減率を表すR’値(アールダッシュ)をできるだけ大きくすることが求められます。

図2 ゼロ・エネルギーハウス(ZEH)の補助金ゲットは簡単ではない
ZEH補助金は、1次エネルギー消費量削減率のポイントが大きい物件から採択されます。最近の応募急増で、採択されるのはポイントが大きい物件に限られます。採択を有利にするため、外皮を断熱強化してZEHのUA規定から2割削減した物件が増えています。

2020年には、平成28年に策定されたH28年省エネ基準が義務化されます。設計者は地域や住宅の床面積に応じて、消費するであろう設計1次エネルギーの上限である「基準値」を下回る必要があります。この基準値からどれだけ1次エネを削減できたかを表しているのが、先のR’値になります。このR’値には太陽光発電の創エネ効果は含まれないため、断熱性能と高効率設備で省エネをがんばる必要があります。

経産省ZEHでは、前述の通りUA値は図1左のように最低仕様が決まっています。1次エネルギーは基準値から20%削減することが必須なので、R’値は少なくとも20%以上になります。補助金への応募が多い場合にはこのR’値のパーセントの数字がポイントとして、ポイントが大きい物件から採用されることになります。

このため、ZEH申請物件は最低でも20ポイントあるわけですが、最近ではこの最低仕様で採用されることは不可能です。先の第5次・第6次で採択されるためには、40ポイントは必要だったのではないかと言われています。

 
経産省ZEHでもっとも重要なのは、1次エネルギーの消費量をPV発電量以下にすることです。最近では採択の競争 が厳しくなったために、UA値を2割減らして断熱のボーナスポイントをもらうことが必須になってきています。

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