「100年住宅の断熱性能と断熱工法はどうあるべきか」(1/4)

100年住宅とは、100年住み続けられる住宅とは限らない

現代の100年住宅は、江戸~明治時代の古い民家のように代々にわたって100年以上も住み続ける住宅ではありません。躯体の木材は100年以上保つと思いますが、屋根、外壁材、開口部材などの建材の寿命はもっと短いのです。また現代の生活を支えているキッチン、サニタリーなどの部材も同様です。また住宅に住む人も、建設から30~50年ぐらいで寿命を迎えることでしょう。子どもたちが同居しているとは限りませんから、その住宅を誰かが購入して大規模改修をしてまた、30~50年住み続けていくことが多くなります。

100年先のことは誰も分かりませんが、住み手の寿命が尽きる約40年先をイメージしながら、その住宅の備えるべき省エネ性能を考えることにすると、少しイメージしやすくなります。この間、冬暖かく、夏は涼しい快適な生活を確保したいが、エネルギー価格は2~3倍に上がることは十分にあり得ると考えることは不自然ではありません。そうなっても、できるならば快適な暮らしをなんとか保持したいと考えるのではないでしょうか。

40年でも先のことは分からないと思えば、可能な限り省エネ性能の高い住宅をつくるしかないことになってしまいます。

住宅の省エネ性能はUA値では測れない

省エネ性能の高い住宅とは、当然のことですが、暖冷房のエネルギー消費が少ない住宅を言います。住宅をどのように暖冷房するかで変わってきますが、私たちは、快適に暮らせるように家全体を冬は20℃、夏は27℃に暖冷房する設定で計算をしています。贅沢と感じる方もおられると思いますが、省エネ設計を上手に高いレベルで行うと、今までの暖房エネルギーからははるかに少ないエネルギーで済みます。

この暖冷房エネルギーの計算が、あまり簡単ではないため、国の平成11年の次世代省エネ基準では、Q値(住宅の熱損失係数W/㎡K)で、平成25年基準からはUA値(外皮平均熱貫流率W/㎡K)で、一定の数値以下とするように定められました。しかし、Q値では熱交換換気の採用や開口部から日射がどれだけ入るかによって大きく暖房エネルギーが変わり、UA値では、Q値と同じことが起こると同時に、凹凸の多い設計では外皮面積が大きくなるにもかかわらず、UA値があまり変わらないため、さらに暖房エネルギーが増えることも起こります。

私たちは、工務店や設計事務所が設計の段階から暖房エネルギーを簡単に計算できるように、20年前からQPEXというプログラムを作成し、改良を重ねてきています。今では暖冷房エネルギーをはじめとしていろいろな計算ができるようになっています。新住協の会員には無償で配布し、設計の段階で使うよう指導しています。このプログラムを使っていると、どのようにすれば住宅の省エネ性能が高くなるかを習得することができるのです。