みなさんは、家を建てるとしたら何階建てをイメージしますか。根強い人気の「平屋」、床の高さを巧みに組み合わせた「スキップフロア」、上へ上へと面積を広げた「3階建て」など、住宅にはさまざまな形があります。
その中でも今回フォーカスしたいのは、3階建て住宅。3階建てというと、「土地が狭いから高くした」といった印象が強いかもしれませんが、3階建てにする理由はそれだけとは限りません。土地の高低差や暮らし方・使い方を考慮したら3階建てがぴったりというケースもあるのです。これから紹介する個性のある4事例の3階建て住宅にも、さまざまな間取りの工夫やアイデアが隠れているので、要注目です!
※掲載方法の都合上、図面の縮尺は一定ではありませんので、ご了承ください。
狭い土地をフル活用した
車3台を収納できる家
間口7.9m、奥行き18.2mの南北に細長い形で、3方が隣家に囲まれた住宅街の小さめの土地。そんな中、「車3台を格納でき、他人の視線を気にせずに外部環境に開かれ、居心地のいい家」という希望を実現した3階建て住宅です。
1階には車庫と坪庭、物置・納戸と、とにかく収納を重視。2階にLDKを配置し、中央には最上階まで続く吹き抜けを設けています。ピアノ室や屋外テラスがあり、外のように明るく開放的な空間で、楽器や植物に囲まれながら食事をとることができます。3階は、水まわりと居室のプライベートスペース。地面からの高さに応じた配置とすることで、外と内、家族の気配が段階的に感じられる構成構成となっています。
![土地のメリットである北側に抜ける眺望を最大限に生かす大開口を設け、抜群の開放感を持つ住まい](https://www.replan.ne.jp/wp-content/uploads/2019/11/302a725253100f7437b09aff7dabe696-e1572597941450.jpg)
![敷地の裏手にある坪庭から2〜3階を見上げる。2階テラスでは、植物を育てたり食事をしたり。壁に囲まれているため、周囲の視線は気にならない](https://www.replan.ne.jp/wp-content/uploads/2019/11/25999-01-05.jpg)
![最大で車3台を収納できる全長15mのガレージ。キャンプなどのアウトドア用品の収納・整理のほか、日用品などの保管にも重宝。右手のドアからも玄関にアクセス可能](https://www.replan.ne.jp/wp-content/uploads/2019/11/25999-01-03.jpg)
![1階から階段を上がるとまず広間に出る。正面の北向きの窓、そして、上部の吹き抜けに設けた天窓から射す光が白をベースに仕上げた空間に広がる](https://www.replan.ne.jp/wp-content/uploads/2019/11/25999-01-07-e1572598393450.jpg)
![2階、細長い建物の中間にある吹き抜けは、開閉可能な天窓で採光と通風を確保した](https://www.replan.ne.jp/wp-content/uploads/2019/11/c944a7f460f79ffe1677a349fe76ac82.jpg)
![3階にある子ども部屋は床をフローリングに。北側の安定した採光と遠くまで見渡せる抜群の開放感、そして眼下には線路が](https://www.replan.ne.jp/wp-content/uploads/2019/11/25999-01-15.jpg)
景色を贅沢に楽しめる
傾斜地を上手に生かした住まい
羊蹄山がきれいに見える場所を探して手に入れた、580坪以上の広大な土地。その土地の傾斜をうまく使いつつ、除雪の負担は最小限にするために、大きな屋根付きのアプローチを設けた3階建てのお住まいです。
15畳分ほどの大屋根のアプローチは、公道までの除雪の距離が短くなるとともに、雪や雨の日だけではなく、陽射しの強い季節にも使い勝手のよいスペースとなっています。2階のリビングにある10枚の窓が並ぶ東側の大開口からは、まるで絵画を切り取ったように羊蹄山が楽しめます。土地の形状を合理的に活用した、個性ある形の住宅です。
![](https://www.replan.ne.jp/wp-content/uploads/2019/11/35393-01-05-min.jpg)
![気持ちよく風が通る3階の主寝室。3階には主寝室+ウォークインクローゼット、子ども部屋というシンプルな構成](https://www.replan.ne.jp/wp-content/uploads/2019/11/35393-01-07-min.jpg)
![明るく陽が射すダイニング。階段下スペースは愛犬のおうちになっている。反対側は、掃除機など背の高い物を収納できる物置として存分に有効活用している](https://www.replan.ne.jp/wp-content/uploads/2019/11/35393-01-02-min.jpg)
3階建てで実現した
職住一体型の住まい
フランチャイズの店舗を営むご家族のためにつくられた、RC造・3階建ての事務所併用住宅です。仕事上、北側道路から南側の荷捌き所まで通じる歩車兼用の通路が不可欠だったので、1階にはその通路と、2つの事務室、倉庫などが配置されています。
ご本人と、娘夫婦と孫という家族構成のため、リビングは2階と3階の2ヵ所。間口が狭くて南北に細長い敷地だったので、リビングはどちらも日射を考慮し、南側に配置されています。2階の応接室兼リビングの隣に配したダイニング・キッチンが、ご家族の団らんの場です。3階はテラスに対して大きく開かれていて、自然光が階下に注ぎ込みます。仕事場としての使い勝手と暮らしの心地よさが、バランスよく調和している住まいです。
![シャープなラインがひときわ目を引く壁式RC造・3階建て。1階は店舗と事務所、2階と3階が住居で構成されている](https://www.replan.ne.jp/wp-content/uploads/2019/11/37184-01-07-min.jpg)
![1階に設けた歩車兼用の通路(通り庭)は、北側道路から南側の荷捌き所(物置)へと通じる。通路(通り庭)の中央には縦の抜けがあり、光や風、雨や雪を通す](https://www.replan.ne.jp/wp-content/uploads/2019/11/37184-01-05-min.jpg)
![吹き抜けいっぱいに設けた大迫力のカーテンウォールで、応接室兼リビングは明るく伸びやかな空間に。吹き抜け最上部の外倒し窓が重力換気を促し、室内に外気を呼び込む](https://www.replan.ne.jp/wp-content/uploads/2019/11/37184-01-13-min.jpg)
![1階から空まで抜けた中庭のおかげで、建物全体が呼吸する快適な暮らしに。細長い建物の中にあって、中心部分に光をもたらす効果も](https://www.replan.ne.jp/wp-content/uploads/2019/11/37184-01-19-min.jpg)
![建物の細長い形状を利用してデザインされた広いテラス。部分的に屋根もあるので、季節や天候を問わず多目的に使いやすい](https://www.replan.ne.jp/wp-content/uploads/2019/11/37184-01-17-min.jpg)
お互いに程よい距離感を保てる
3階建ての広々二世帯住宅
元々、築40年を超える二世帯住宅だった家を建て替えし、3世代6人家族でもゆったりと暮らせる広々とした二世帯住宅の事例です。
世帯ごとの居住空間を心地よく過ごせるよう、お互いの存在がストレスなく感じられる空間構成が意識されていて、玄関ドアはそれぞれ分けていますが、室内では階段で両世帯がつながっています。1階は親世帯、2階は子世帯と、平屋感覚での使い方がベースとなっていて、家族数の多い子世帯は、予備室や納戸を設えたコンパクトな3階を活用するプランとなっています。
![中央の一部分が3階となっている。窓は多くても、すべてトリプルガラスなので高断熱](https://www.replan.ne.jp/wp-content/uploads/2019/11/35805-02-01-min.jpg)
![玄関ドアは世帯ごとに分けている。正面に見えるのが親世帯で、右側にあるのが子世帯](https://www.replan.ne.jp/wp-content/uploads/2019/11/35805-02-02-min.jpg)
![大きな窓から踊り場に光が降り注ぐ。壁は3階天井までエコカラット仕様。この階段が外からも見えるようにデザインした](https://www.replan.ne.jp/wp-content/uploads/2019/11/35805-01-08-min.jpg)
このように3階建ての住宅には、3階だからこその使い方や魅力があるように思えます。みなさんも「3階建ては無理」と最初から決めつけるのではなく、敷地の条件なども含めて、選択の幅を少し広げてみると、また違う形で家づくりが動き出すかもしれませんよ。
(文/Replan編集部)