せっかくの家づくりなのに、思い描いたとおりの空間がつくれないのは、悲しいですよね。その点、注文住宅は妥協することなく、憧れを形にできるのが大きな魅力。熟練の職人が一からつくり上げる造作の数々は空間にぴたりとハマり、より住まい手らしさがにじみ出る家を完成させてくれます。今回は特に造作の希望が多い「キッチン」の造作アイデアについてご紹介します。


造作キッチンのアイデア事例1
必要に応じてアップデートする可変的なキッチン空間

リノベーションで、公園の開放感をダイナミックに引き込む独立したキッチン棟を増築した住まい。キッチンは使い勝手の良いステンレスと木を組み合わせて造作しています。キッチン下の造作収納は、調理器具の数や大きさ、所有する調味料の数など、実際にキッチンを使用したあとに発注したもので、今後も機能を増やしたり、収納を増設できる可変的な空間を実現しました。

テーブルを囲むようにキッチンを囲み、会話や料理を楽しむアクティブな場所となるように、多方向からアクセスできるアイランド型キッチンを選択
日常使い以外のさまざまなシーンも想定して、シンクは2槽式に。蛇口も2つにしている。IHクッキングヒーターも対面に設置するなど、用途の幅を広げた。食洗機は両側からアクセスできるように、キッチンの側面に設置
土壁とカバのフローリングのダイニングと、RC造のキッチン棟。異なる素材を段差がつないでいる。キッチン棟には、公園に突き出した位置に造作のベンチも設置した

造作キッチンのアイデア事例2
作業性と収納力に富んだ正方形のアイランドキッチン

シンクとIHクッキングヒーターを対角に設置した正方形のアイランド型キッチンです。調理と水仕事の動線がぶつからないので、家族が同時に作業ができ、余白は作業スペースとして使えます。キッチンの面材は構造用合板で、造作の棚やレンジフードも合板で覆い、統一感を演出しました。4面がすべて収納になっていて、食器や調理器具はもちろん、ハンカチや子どもたちの工作道具などもキッチンに収納しています。

扉を開けると、すぐにキッチンが見える。十字型の中心にキッチンを設置しているため、住まいのあらゆる方向からのアクセスが可能
ワークトップは使いやすいステンレス製。持っている調理器具や食器に合わせて、そのすべてが適材適所に収納できるように収納を造作した
コンパクトなのに作業スペースがたっぷりあって使いやすい。IHクッキングヒーター背面の冷蔵庫や調理家電、ゴミ箱もすっぽりと収まる棚も造作

造作キッチンのアイデア事例3
分離型で効率の良さを追求。高級感も備えた大人スタイル

ゲストが多く、誰もが気軽に立てるコンドミニアムのようなオープンキッチンという希望を叶えた、分離型スタイルの造作キッチンです。アイランドにシンクを、L型の壁付けにコンロを設置。振り返るだけなので作業動線が短く効率的です。壁付け側にはパーティーシンクも備えています。メイン素材は高級感と耐久性を併せ持つセラミックを採用。アイランドキッチンの面材はモールテックス仕上げで上質な雰囲気を演出しています。

作業台のスペースを二つに分けることができるので、複数人が同時に調理することも可能。アイランドキッチンは、ハイチェアを置いてカウンターとしても活用できる
ワインやビールを冷やしたり、軽く手洗いをしたり。メインのキッチンシンクと別に設けたパーティーシンク
ワインやビールを冷やしたり、軽く手洗いをしたり。メインのキッチンシンクと別に設けたパーティーシンク
キッチンは隠す収納を徹底し、ゴミ箱も壁付け側にビルトイン。生活感を省き、スッキリかつスタイリッシュな空間を維持させる

造作キッチンのアイデア事例4
完全造作仕様のキッチンを家のつくりに添わせて配置

大開口に向けて斜めの壁に並行して設置されたキッチンが特徴的な住まい。室内の雰囲気に合わせ木でつくられたキッチンは、天板をステンレスにし機能性を高めました。キッチンから玄関につながるプライベート用通路の左右の壁に大容量の食品庫と壁面収納を造作し、空間を有効活用しています。

プライベート用の通路からキッチンへの動線上に、キッチン機能を持たせた
プライベート用の通路からキッチンへの動線上に、キッチン機能を持たせた
キッチンスペースの奥にはワークスペースも設けてある
キッチンの奥にはワークスペースも設けてある
ダイニングとリビングを区切る斜めにかかる階段と並ぶキッチン
ダイニングとリビングを区切る斜めにかかる階段と並ぶキッチン

造作キッチンのアイデア事例5
モールテックス仕上げの造作作業台があるキッチン

ゆとりの広さのダイニング・キッチンが特徴的なお住まい。中でも存在感を放つのが、モールテックス仕上げの造作作業台です。台の下はキッチンとダイニングの両側で使い分けができる収納スペース。キッチン側には、ゴミ箱や掃除道具など、よく使うけれど見せたくないものをスッキリと収めることができます。

パントリーを備えたキッチンとダイニングの間に設置されたモールテックス仕上げの造作作業台。ダイニングテーブルも、アイアンの脚とタモ集成材を用いた造作仕様
掃除がしやすく、ゆったり作業ができるという理由で、あえて壁付けキッチンを選択。コンロ下には、奥さん念願のガスオーブンを組み込んだ。「設備や収納が充実したキッチンは使い勝手が良く、お料理が楽しくなりました」と奥さん

造作キッチンのアイデア事例6
2つのシンクとパントリーで使い勝手の良さを追求

「二人で一緒に料理が楽しめる広々とした空間」という希望を叶えた造作キッチン。壁付けキッチンに加え、シンク付きの作業台を設けました。タイルのワークトップやレンジフード、造作収納はすべてホワイトで統一。キッチンに隣接したパントリーは、造作棚のほか、低温状態を保つ食品庫も完備しています。

壁付けとアイランドを組み合わせた、ゆったり設計のキッチンは、奥さんお気に入り。照明も奥さんのセレクト
大容量のパントリーのおかげで、キッチンの表は常にスッキリと保つことができる


配置や形状、幅などはもちろん、調理のスタイルやデザインの好みに合わせて天板やシンクの大きさ、面材などを決め、持っている道具の量や大きさを考えてぴったりの収納を設えることで、理想的なキッチンスペースが実現できます。細かく決めることが多いということは、その分使いやすさが向上するということ。こだわりを詰めれば詰めるほど、最適な形が叶えられるのが造作キッチンの魅力です。

(文/Replan編集部)


アイデア1〜3で紹介した事例は、Replan北海道 vol.134の巻頭特集に掲載されています。この3事例についてもっと知りたいという方は、ぜひ雑誌をご覧ください!

Replan北海道 vol.134
2021年9月28日(火)発売

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