こんにちは。編集部のNマキです。6/18(土)より、3年ぶりの旭川デザインウィークが始まりました。久しぶりの開催ということで、さっそく初日に、リプランスタッフ4名でいくつかの会場を回ってきましたので、その様子を編集部ログ特別版としてお伝えします!


ODA COLLECTION
@東川町複合交流施設せんとぴゅあⅠ・Ⅱ

まず向かったのは、東川町の複合施設「せんとぴゅあ」。目的は、リプランにエッセイを寄稿いただいている織田憲嗣さんによる、世界に誇る家具コレクション展です。今回は、イタリア・北欧・アメリカの3つのエリアのミッドセンチュリー家具が、3会場で同時に堪能できます。

1961年に建設された東川小学校を改修した「せんとぴゅあⅠ」にあるギャラリーでは、ポップな中にも洗練された造形美が感じられる「イタリアンミッドセンチュリー展」。

壁を隔てて隣のギャラリーは「スカンジナヴィアンミッドセンチュリー展」で、一番なじみ深い印象の北欧デザインのチェアがずらりと並んでいます。中には世界に一つしか残っていないという貴重なチェアも…。

「ずっと見てられる」と後ろ髪を引かれながら、「せんとぴゅあⅡ」へ移動。図書館や展示スペース、ショップなどがある建物の一角で、展開されていたのが「アメリカンミッドセンチュリー展」。一緒に行ったスタッフのTくんとWくんによると、アメリカンミッドセンチュリー家具には「男のロマンが詰まってる!」のだそうで、男子たちはずいぶんとテンション高く見入っていました(笑)。

ちなみに、3つの国・地域のミッドセンチュリー家具が同時に見られるのは、7/3(日)まで。旭川デザインウィーク終了後もしばらく開催されています。

デザイン創造都市旭川シンポジウム 基調講演
@旭川大雪クリスタルホール 音楽堂

ランチを挟んで向かったのは、旭川デザインウィークのオープニングで開催されたシンポジウム。グラフィックデザイナーの佐藤 卓さんによる「地域とデザイン」と題した基調講演を拝聴しました。

佐藤さんがこれまでに手がけた「ほしいも学校(茨城)」や「真穴みかん(愛媛)」など実際の地域おこしプロジェクトを例に、その中での思考や商品化のプロセスなどをお話くださいましたが、数々の取り組みの前提として語られた「デザインは目的ではなく、人や物事との間を適切につなぐもの」という佐藤さんの言葉が、とてもくっきりと心に刻まれました。

EXHIBITION見学会
@藤本壮介監修 緑の森どうぶつ病院 豊岡病院

旭川デザインウィークでは、各所でイベントマップが配られていて、これを見ると、期間中にどこでどんなことが開催されているのかがよく分かります。

こちらでも見れます▼
https://adwhokkaido.com/wp/wp-content/uploads/2022/06/eventmap2022.pdf

「緑の森どうぶつ病院」さんも、このマップを見たTくんの提案で急遽向かい、見学させてもらいました。

建築家の藤本壮介さんが監修したというこの建物。一見すると、いわゆる動物病院ぽくありません…。マップには「自然と一番近い動物病院」と説明書きがありましたが、その理由は中に入ってみて納得。

床は土(もう少ししたら芝生を敷いて緑になる予定)で、見上げると空が広がります。これは来院した動物のストレスを少しでも減らせれば、という発想から生まれたそうで、飼い主さんの腕に抱かれて身を固くしていたペットのみなさんが、土や芝生の上でくつろぐ様子を見せることも。冬は薪ストーブで暖を取っています。

床が土や芝生なので、おしっこをするのも問題なし。置いてある木酢液のスプレーをかければ、臭いは気にならないそうです。室内だけど屋外でもある不思議な待ち合い空間の通路には、マリーゴールドなどの草花も植えられていました。

さらにはこのように建物の両サイドに「ねこ、専用」と「いぬ、専用」の小部屋があります。他の動物がいると興奮してしまったり、体調が悪くて他の人や動物を気にせずに横になっていたいなど、個々のケースに対応できるようつくられたそうです。

ただ温室のようなつくりのため、晴れていると冬でも暑くなりすぎることも。そこは電動のロールスクリーンや窓の開閉で、工夫しながら対処しているとのこと。試行錯誤するプロセスを含め、他にないコンセプトの建物を楽しんでいらっしゃるようでした。

公開は、旭川デザインウィーク期間で、病院が休診時間の13時〜15時の2時間のみなので、気になる方はスケジュールを確認のうえ、訪問してみてくださいね。

「生き続けるモダニズム建築」展
@中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館ステーションギャラリー

緑の森どうぶつ病院を出て次に向かったのは、JR旭川駅。この駅の一角にあるステーションギャラリーで、日本建築家協会(JIA)主催の企画展が開催されています。

モダニズム建築は、今の家づくりや建築の直接的なルーツとも言えるもので、私たちの身近にある建物にも、その思想やエッセンスの宿っているものが意外と残っています。家具やインテリアは基本的には、建築空間があってこその存在。私たちが暮らす住宅の源流や、今見ると新鮮に感じる先人たちの思考や発想に触れてみる良い機会になりそうです。

また、新庁舎建設に伴い、解体が検討されている旭川市庁舎の利活用や、それを含むまちづくりへの提案に関する展示も行われています。

ASAHIKAWA CHAIRS HISTORY
椅子で紐解く、旭川デザインの20年。

@旭川デザインセンター

そして最後に訪れたのは、旭川デザインセンターです。ここの1階では、9/25(日)まで、旭川デザインの20年の歴史を、椅子を通して振り返る展示が行われています。

展示されている椅子はすべて、旭川の家具メーカーや工房でつくられたもので、自由に触ったり座ったりできます。見た目に似ていても、座ってみると座面の感触や身体の収まり、座り心地が個々に違うことに、改めて驚きます。お気に入りの一脚を探すだけで、あっという間に時間が過ぎちゃいますね。

旭川デザインセンターは、旭川で家具をつくる企業のショールームでもあり、各メーカーの家具をまとめて見ることができるのも魅力。数年ぶりに足を運びましたが、より住まいをリアルにイメージしやすいよう、展示の仕方を工夫したブースが増えたように感じました。


旭川デザインウィークは、6/26(日)まで。22(水)〜26(日)は、特別に一般開放していて見学できる家具工房もあります。旭川市、東川町、東神楽町、当麻町、美瑛町と広域にわたってさまざまな場所やお店でイベントやサービスが企画されているので、ぜひ旭川デザインウィークの特設サイトイベントマップを確認して、年に一度のこの機会を楽しんでみてはいかがでしょうか?