注文住宅でよく採用される空間の一つが「ロフト」と「小屋裏収納」。小屋裏(屋根と天井の間の空間)に生まれたデッドスペースを有効活用するための手法として、リプランの取材先でもよく見られます。ただ、このスペースには、法的な制限や小屋裏だからこその注意点もあります。そこで今回は、インテリアコーディネーターの本間純子さんに、ロフトと小屋裏収納に関する基礎知識を教えていただきましょう。


「ロフト」と「小屋裏収納」の違いとは?

まず始めにロフトと小屋裏収納の違いを整理しておきましょう。住宅において一般的に「ロフト」は、天井の高い部屋を部分的に二層に分けた際の上部空間を指します。諸条件をクリアすれば固定式の階段を設けることができます。

天井の高い平屋の一角に配した寝室。その上部にロフトを設けた例

「小屋裏収納」は主に、屋根と天井の間のスペースで、個室のようなつくりになっている空間を指します。「グルニエ」とも呼ばれますね。小屋裏収納は、固定式の階段の設置はNG。基本的に取り外しができる、または折りたたみ式のはしごを掛けて上り下りする必要があります。

広い小屋裏空間を生かした小屋裏収納。使用頻度の低い持ち物をたっぷり収納できる

建築基準法では、ロフトも小屋裏収納も「小屋裏物置」

映画や物語に登場する「屋根裏部屋」は、秘密の匂いがする木箱や古いトランクが置かれていたり、街を一望できるドーマー窓が付いていたり、私たちをワクワクドキドキの世界へ誘ってくれます。そんな魅力的な空間が家にあったら…楽しいですね!ロフトや小屋裏収納は、そんな屋根裏部屋を彷彿しますが、設置にはいくつかの法的なルールがあります。

住宅は、建築基準法に則って建てられます。この法律上はロフトも小屋裏収納も「小屋裏物置」と定義づけられていて、基本的に「収納スペース」という位置づけです。それは「物を収納するための場所で、居室としては使えない余剰空間」であることを意味し、「食事をしたり、寝室にしたりすることはできない」と規定されています。

「ロフトを寝室代わりに…」というアイデアを耳にすることもありますが、これは厳密にはルール違反ということに。ロフトは天井に近くて、特に高性能住宅では一年を通して暑くなりやすいので、そもそも寝るのには向かない空間です…。

「ロフト」や「小屋裏収納」と見なされるには、面積や高さなどに関する以下の条件を満たす必要があります。

【広さ】
・床面積は、設置する階の床面積の1/2未満
・床から天井までの高さは1.4m以下
(ロフトはそれに加え、直下の天井高が2.1m以下)
【窓】
・窓の大きさは、小屋裏物置の床面積の1/20以下
・人が出入りできる窓の設置は不可
・バルコニーとの接続も不可

ロフト・小屋裏収納のメリットとは?

「小屋裏物置」は法廷床面積(建築基準法での建物の面積)に算入されないため、固定資産税の対象面積に含まれません。そのため、節税しながら広い収納スペースを確保する方法としてとても魅力的です。

「高さ1.4m以下」の制限があるため、大人はまっすぐには立てませんが、椅子に腰掛けたり床に座ったりする分には、むしろこもり感があって集中力が増しそうですし、物思いにふけるには最適かもしれません。

「ロフト+はしご」のセットは秘密基地の目印のようなもの。子どもたちは無条件に大好きな空間になりますね。小学生くらいまでの子どもにとっては不自由しない高さなので、子ども室の天井を高くしてロフトを設ける例もよく見られます。限りある面積を有効利用できるのが、ロフトや小屋裏収納の最大のメリットと言えるでしょう。

ロフト・小屋裏収納の注意点と、設計時のポイント

●設計時に知っておきたい注意点

節税や空間の有効利用という大きなメリットはありますが、その一方で制限や注意点もあります。先にも触れたように、「小屋裏物置」はその名のとおり「収納」という位置づけです。そのため、空間の寸法や窓の仕様以外にも、以下を考慮する必要があります。

  • 床はフローリングの施工が可能。ただし居住地によっては、畳やカーペットなどは施工不可の場合がある
  • 収納棚やデスクなどの造作はNG。組み立て式家具や置き家具で対応
  • 電源コンセントは1ヵ所設置可能。電話やテレビ、インターネットのコンセント、エアコンは取り付け不可
カーペット敷きのロフト

●昇降用の階段・はしごの注意点

昇降用の階段は、小屋裏物置の面積に含まれます。物を持って上り下りすることも多いので緩やかな傾斜にしたいところですが、固定階段の設置には条件がありますので、家づくりの際に設計士に相談してください。

一般的には、可動式や収納式のはしごが多く利用されています。荷物は片手で持てる程度、もしくは2人体制で出し入れすることが前提となります。できれば安全対策として、上階からも下階からも手が届く位置に棚を設け、仮置き場にすると安心で便利です。

また、荷物にフックを付け、はしごに引っ掛けながら上り下りすると、両手の自由度が高く安全を保ちやすいです。いずれにしても、荷物は「重すぎない」「大きすぎない」のが事故やケガを防ぐポイントです。

立て掛け式のロフトのはしご
小屋裏収納への扉と一体化した折りたたみ式はしご

●照明器具選びの注意点

ロフトや小屋裏収納は天井が低いため、LDKなどの居室よりも照明器具が近くて大きく見えます。また器具が出っ張っていると身体をぶつけやすくなりますので、形状や取り付け位置に注意しましょう。

勾配天井と壁の入り隅から、天井面を舐めるように光を走らせる間接照明は、空間全体を明るくするのに効果的です。スポットライトをつける場合は、できるだけ小さなサイズを選び、低い位置から壁や天井を照らすと、邪魔にならずに明るさを確保できます。ダウンライトはまぶしさを軽減してくれるカバー付きがおすすめです。

ロフトはワクワク感のある便利な空間ですが、熱がこもりやすいので、空気が循環しやすいようにしっかりと検討する必要があります。スペースを無駄にしないためには、上り下りのしやすさも重要です。建築のルールを守りつつ、理想の使い方ができる空間に近づけたいですね。