エネルギーを賢く使うことが大事になってきたこの時代。リプランでは、ガス・電気・石油の各社に、それぞれのエネルギーの今とこれから、そして燃費のいい暮らしを支える最新設備についてお聞きしました。今回は、「ほくでんサービス」の鎌田 茂さんに電気のことについてお話しいただきます。


昨今の電気エネルギー情勢はどのような状況でしょうか

鎌田さん
 
現在、ほくでんが供給している電気の多くが、石油や石炭、液化天然ガス(LNG)などを用いる火力発電によって供給されており、世界的な燃料価格の高騰、円安の進行などに伴った燃料調達コストの上昇によって厳しい収支状況が続いています。このため、燃料の安定的な調達や電力設備の保全にしっかりと対応することで、電力の安定供給を継続していくために、2023年6月1日からの電気料金の値上げを国に申請している状況です。

脱炭素社会に向けての動きについてお話しください

鎌田さん
 
国は2050年の脱炭素社会(カーボンニュートラル)の実現を目指して、石炭などの化石燃料を使わずに電気をつくる「電源の脱炭素化」と、脱炭素化された電気で住宅などのエネルギーを賄う「電化」を推進しています。

ほくでんでは、その目標の達成に向けて、風力・地熱・太陽光・バイオマスなどの再生可能エネルギー発電の導入拡大などにより、化石燃料に依存しない「電源の脱炭素化」に取り組んでいます。また住宅分野においては、家庭からCO2を排出しない「電化」の推進に向けて、オール電化の新しいカタチである「スマート電化」の普及拡大に取り組んでいます。

2023年運用開始予定の森バイナリー発電所(地熱発電)
2023年運用開始予定の森バイナリー発電所(地熱発電)

燃費のいい暮らしのためのアドバイスをお願いします

鎌田さん
 

世界規模の環境、エネルギーへの問題意識の高まりによって、北海道の住宅性能はめざましく向上しました。高断熱・高気密の住まいにぴったりなのが、前述の「スマート電化」です。

暖冷房と給湯に、1の電気エネルギーから2以上の熱エネルギーを生み出すヒートポンプシステムを活用しており、例えば給湯機の「エコキュート」は、従来の電気温水器に比べて、電気使用量を60%以上削減。燃焼機器ではないので、納戸やクローゼットの中などにも設置できます。また、「寒冷地向けあったかエアコン」は北海道の冬でも主暖房として使えるパワフルなエアコンで、お部屋を素早く暖めることができます。スマート電化で省エネ性と快適性を両立した暮らしが実現できます。

スマート電化の住まい
スマート電化の住まい

最近は北海道でもエアコンをつける家が増えたように感じます

鎌田さん
 

積雪寒冷地である北海道では、暖房が家庭で使用するエネルギーの多くを占めています。近年はヒートポンプを採用した省エネ性の高い寒冷地向けあったかエアコンが普及。北海道ではかつて高級品といわれていたエアコンですが、今では冷房だけでなく暖房も任せられる暮らしに身近な設備になりました。

壁や天井に設置できるため、床面を有効活用できることも大きな魅力です。フィルターに付いたほこりなどを自動で外に排出してくれる機種もあり、お手入れの負担も少ないです。技術開発の進化によって省エネ性が向上、プラスαの機能を備えた機器も登場したことで、新築の暖房機器としてエアコンの需要も高まっています。

エコキュート
エコキュート
寒冷地向けエアコン
寒冷地向けあったかエアコン

スマート電化の家は、太陽光発電との相性がよさそうですね

鎌田さん
 

ZEH住宅の普及とともに、太陽光パネルや蓄電池を採用した創エネの住まいも増えています。住宅のエネルギーをすべて電気で賄うスマート電化なら、太陽光で発電した電気を最大限に活用することが可能。ほくでんでは、太陽光発電の一般家庭への普及をさらに進めるため、戸建て住宅を新築されるお客様向けに、太陽光発電設備を初期費用ゼロ円で設置できるサービス「ふらっとソーラー」をご提供しています。

毎月のサービス料金に故障時のメンテナンス費用も含まれており、10年後には設備を無償で譲渡。オプションで蓄電池の設置も可能です。この「ふらっとソーラー」が、スマート電化機器との相性の良い太陽光発電や蓄電池の積極的な活用の手助けになればと思っております。

太陽光発電と蓄電池を備えた住まい
太陽光発電と蓄電池を備えた住まい

もしもの時のことについてお話しください

鎌田さん
 

オール電化は災害時の停電が心配だという声もありますが、過去の大規模災害時において、電気はいち早く復旧しています。

断水時はエコキュートのタンク内の水やお湯を生活用水として使用でき、370Lのタンク容量なら2Lのペットボトル185本分にもなるので、スマート電化は防災面でもメリットがあるといえます。加えて、太陽光発電や蓄電池を備えているとさらに安心。昼間に太陽光で発電した電気をためておけるので、災害時でも昼夜を問わず、電気を使うことができます。スマート電化と太陽光発電・蓄電池の組み合わせは、もしもの時の備えとしてもおすすめです。


▼こちらも併せてご覧ください
・住まいのエネルギー【都市ガス編】
・住まいのエネルギー【LPガス編】
・住まいのエネルギー【石油編】

3月28日(火)発売の最新号「Replan北海道vol.140」の巻頭特集は「燃費のいい暮らし」。暮らしのエネルギーが気になる今だからこそ、自分と家族が求める「燃費」のことを知って、家づくりを一歩先に進めてみませんか?

Replan北海道 vol.140
2023年3月28日(火)発売

北海道内の主な書店やコンビニのほか、
Replanの販売ページamazonFujisan
オンラインでもご購入いただけます。