ソファは、多くの日本の家庭で使われているリビングの家具。身近な一方で、デザインはもちろん、サイズや配置をどうするのが正解か、悩ましい存在でもあります。そこで今回はインテリアコーディネーターの本間純子さんにソファ選びで知っておきたいサイズの基本と、配置のポイントを教えていただきましょう。

暮らしにおける「リビング」とは?

リビングは、家族が集い、住まいの中心となる空間です。食後のお茶でおしゃべりを楽しんだり、テレビや映画を見たり、友人を招いてパーティーをしたり、誰かがなんとなく居るのもリビングの姿です。

「茶の間」の雰囲気を持ちつつ、客間(応接間)の働きもする、多機能な空間。その中心ともなるソファの配置から、過ごしやすいリビングを考えます。

目安にすべきソファのサイズとは?

配置の前にまずはソファのサイズについて。ソファは、デザインによってサイズ感がかなり異なります。そのためここでは目安として一般的な寸法をお伝えします。

ソファの部位の名称
ソファの部位の名称
  • 3人掛け W2100 ✕ D950 ✕ H800(㎜)
  • 2人掛け W1600 ✕ D950 ✕ H800(㎜)
  • 1人掛け W1000 ✕ D950 ✕ H800(㎜)
    ※上記すべて共通:座面までの高さ(SH)400㎜、肘掛けの高さ 550㎜ 

  • スツール W900 ✕ D900 ✕ H400(㎜)

ソファの配置で後悔しないためには、「プランニングの段階で実際に使うソファのサイズが分かっている」のが理想です。設計時に決めるのが難しい場合は、上記の寸法を目安にソファの配置を検討しましょう。

\押さえておきたい、ひとことメモ/

ソファはベッドと違い、搬入後に組み立てるものはほとんどありません。一部のクッションを除き、完成品がそのまま搬入されます。特に3人掛けソファは大きいので、建物への搬入経路の寸法と可動域に注意が必要です。

<要チェックポイント>
□ 廊下の幅
□ 室内ドアの開口寸法
□ まわり込む廊下のコーナーの寸法
□ 階段寸法や形状(2階リビングの場合)
□ 階段が使えない場合の搬入方法(2階リビングの場合)

うちにふさわしいサイズは?
サイズごとのソファの特徴と注意点

意外に大きくてびっくり!?
家族でゆったり3人掛けソファ

3人掛けソファ(3シーター)は、シングルベッドとほぼ同じ大きさです。思いの外大きくて驚くことがあります。3人掛けソファ(3シーター)には、座面が3つに分かれているものと、座面が大きく2つに分かれているものがあります。

座面が2つに分かれている3人掛けは見た目にスッキリして美しい一方で、3人で座った場合に真ん中の人の掛け心地はあまり良くありません…。3人で座ることが多いご家庭は、座面が3つに分かれている3人掛けがおすすめです。

「ソファで仮眠をする」という方も、身体が伸ばせて寝心地が良い3人掛けが使いやすいです。最近は正面を向いたまま足を伸ばせるカウチソファも人気ですね。

最近は、オットマンの機能が一体化したカウチソファも人気
最近は、オットマンの機能が一体化したカウチソファも人気

注意ポイントはとにかく「サイズ感」。背もたれの高さやクッションの膨らみ具合によってはボリューム感があって、思った以上にリビングの広い範囲を占めますので、空間とのバランスに注意しましょう。

1〜2人で座るのにぴったりな
2人掛けソファ

幅が1600㎝前後の2人掛けソファ(2シーター)は、座面が二分されているものと、一体型のものがあります。中には大きめサイズのものもありますが、やはり3人で座ろうとすると窮屈です。家族構成や、リビングの広さ、団らんのときの過ごし方やくつろぎ方をイメージしてソファを選びましょう。

スペースに余裕があれば、2人や3人掛けのソファを2台置く、または1人掛けを組み合わせるなどの選択肢もあります。

2.5シーターともいえそうな幅広の2人掛けソファ。3人座れないこともないが、窮屈さを感じそう
2.5シーターともいえそうな幅広の2人掛けソファ。3人座れないこともないが、やはり窮屈さを感じそう
スペースに余裕があれば、複数人掛けのソファをL字型に置くのも手
スペースに余裕があれば、2人や3人掛けのソファをL字型に置くのも手

2〜3人掛けと組み合わせて使いたい
1人掛けソファとスツール

座り方の自由度が少ない1人掛けソファ。一般住宅で使われるときには、家族全員がソファに座れるようにと、2〜3人掛けソファと組み合わせて置かれるケースが多いです。

その点は、背や肘掛けのないスツールも同じ。1人掛けソファの代わりや、オットマン(足乗せ台)として使えます。スツールは大きさも形もさまざまで、意外に使い勝手の良い家具です。長時間、腰掛けるのには向いていませんが、どの方向からも座れるうえに多様な使い方ができて重宝します。

リビングのソファ、レイアウト3案

①テレビが見やすい「3人掛けソファ」レイアウト【8帖と10帖の比較】

テレビが最も見やすいのは、やはり正面。ソファはテレビモニターと平行に並ぶように配置します。ゆったりとくつろぎ、時には寝そべって観ることを考えると、3人掛けソファがほしいところです。

▼「リビングのテレビの見やすさ」については、ぜひこちらの記事をご覧ください
前もって確認!「リビングのテレビ」の見やすさを決めるポイント

ここでは、8帖または10帖のリビングで、テレビが見やすいように3人掛けソファを置いたレイアウト例を紹介します。ちなみにテレビのサイズが55インチ(ハイビジョン)の場合、テレビとソファの適正な視聴距離は2mです。(実際はもう少し距離を取って配置するケースが多いですが…)

吹き抜けがあったり、隣の部屋とのつながりが感じられたりするとさほど狭く感じない場合もありますが、一般に「8帖のリビングに3人掛けソファ」はかなり窮屈です(下図①)。
 
最近はLDKを一体化した間取りが多いので、四方を壁に囲われた8帖のリビングは少ないですが、コンパクトな住宅では、リビングに割ける面積が実質8帖程度というケースも少なくないでしょう。ソファのサイズやボリューム感によっては、かなり圧迫感が出るので注意が必要です。
図① 8帖のリビングに3人掛けソファとスツールを置いた図。余剰のスペースはかなり狭い
図① 8帖のリビングに3人掛けソファとスツールを置いた図。余剰のスペースはかなり狭い

この場合、テレビとソファを窓側に寄せると十分な広さの通路を確保でき、楽な姿勢でテレビが見ることができます(図②)。コンパクトなリビングの場合は、壁や窓側に寄せやすい間取りにできると快適性がアップしそうです。

図② テレビ台とソファを窓側へ寄せることで、通路の広さを確保
図② テレビ台とソファを窓側へ寄せることで、通路の広さを確保

リビングの広さが10帖あると、だいぶゆとりが出ます(図③)。ソファとの間に距離があるので、扉があっても干渉せず動線もスムーズです。窓からも適度な距離を保てます。物を持っての移動もストレスなく行えますね。

10帖あるとだいぶ空間に余裕ができる
図③ 10帖あるとだいぶ空間に余裕ができる

②話が弾む!L型レイアウト

L字型レイアウトは、「話が弾みやすい」配置です。相手の存在が見えていますが、不思議と見られている感じがあまりしません。お互いに目線を外しやすいので、リラックスした雰囲気がつくれます。

ソファ同士が近すぎるとお互いの足がぶつかることがありますので、少し離して位置を決めます。そのためにも、10帖以上の広さがあるのが理想的です。

10帖あると、3人掛けソファと一人掛けソファやスツールをL字型に配置しても使い勝手に差し支えない
10帖あると、3人掛けソファと一人掛けソファやスツールをL字型に配置しても使い勝手に差し支えない
話が弾みやすいL字型のレイアウト
話が弾みやすいL字型のレイアウト

③フォーカルポイントは「窓の外」。窓に向くレイアウト

「借景が美しい」「シンボルツリーに来る野鳥が楽しみ」「自慢の花壇を眺めたい」…。窓からの風景をフォーカルポイントにしたリビングのある家もあります。テレビよりも、窓越しに見える四季の変化を最優先に受け入れるソファのレイアウトです。

【窓の外全体を見る場合】
ソファは窓に平行に。ベストポジションを探しながら位置を決めます。

窓の外に広がる森の風景と眺望を楽しめるリビングとソファのレイアウト
窓の外に広がる森の風景と眺望を楽しめるリビングとソファのレイアウト

【窓の中心よりサイドに見たい景色がある場合】
ソファを窓側に寄せてレイアウトすると、窓の外の見たいものが見えやすくなります。

できれば避けたい
リビングのソファのレイアウト2例

①テレビ前の空間が通路を兼ねる

テレビが見やすいようにソファを配置した際に起こりがちなのが、「テレビとソファの間が通路を兼ねる」レイアウト。トイレや水まわり、階段など、隣や上下階の部屋へ行くためにテレビ前を通過する間取りは、特に家族が多いとストレスのもとになりやすいので、できるだけ避けたいところです。

②ドアに背を向けて座る

ソファに座ると、室内扉に背を向けることになる。これも避けたいレイアウトです。人にとって背中は無防備なので、ソファに腰掛けた人がとても不安な気持ちになります。

ソファは物理的にも経済的にも大きな買い物です。デザインだけでなく、ご家庭での使い方やリビングでの収まり、サイズ感など、できるだけ住宅の設計段階からさまざまな方向から検討し、しっかりと考えて後悔のない決断をしたいところです。