リビングは家のメイン空間。広さやダイニング・キッチンとのつながり、収納スペースなど考えることがたくさんありますが、ほとんどのご家庭にある「テレビ」についても、検討しておくべきことがいくつかあります。そこで今回は、インテリアコーディネーターの本間純子さんに、「リビングのテレビ」に関わるあれこれについてお話いただきます。


多くの場合、リビングの家具レイアウトはテレビの位置を決めるところから始まります。ブラウン管テレビの時代は部屋の入隅が定位置でしたが、薄型テレビが普及すると、壁面のほうが収まりが良くなりました。壁掛けタイプの一般化や画面サイズの大型化も近年の特徴です。

そして今やテレビの役割は、番組の視聴だけではありません。映画鑑賞やテレビゲームはもちろん、NetflixやAmazon Primeなどインターネットの動画配信サービスと接続させるなど、とても多機能です。さまざまな使い方を踏まえ、テレビと快適に付き合っていくために押さえておきたいポイントを見ていきましょう。

見やすさを決めるポイント1
◎視聴距離

テレビ画面が最もきれいに見える距離のことを「視聴距離」といいます。一般的に、フルHDテレビ(ハイビジョン)の適切な視聴距離は、画面の高さの3倍といわれています。例えば、テレビのサイズが55インチの場合、高さは68.5㎝ですから約200㎝が適切な視聴距離になります。

一方、最近増えつつある4Kテレビは、近づいてもきれいに見えるので「視聴距離」は画面の高さの1.5倍で計算します。55インチの場合は約100㎝、65インチでは約120㎝と、フルHDテレビよりも「視聴距離」はだいぶ近くなります。映画やスポーツなどは迫力があって楽しめますが、番組によってはもう少し離れた方が見やすいですし、ソファとテレビが近すぎてリビングの家具の配置としては少々不自然な印象になってしまいます。

55インチサイズのフルHD(ハイビジョン)と4Kの視聴距離。画面が大きいほど、離れて見ることになる
55インチサイズのフルHD(ハイビジョン)と4Kの視聴距離。画面が大きいほど、離れて見ることになる

基本的にテレビのサイズは「部屋の広さ」と「テレビの視聴距離」の2つを基準に、家族がコミュニケーションしやすい家具レイアウトを踏まえて検討したいところです。

見やすさを決めるポイント2
◎画面の高さ

「視聴距離」に加えて「画面の高さ」も、テレビの見やすさに影響します。テレビ画面の中心が視線の高さより低い方が見やすく感じられて、目の疲労も軽減されるといわれています。

置き型の場合は「テレビボードの高さ」、壁掛け型の場合は「壁面の取り付けの高さ」にご注意を。ソファの座面の高さやテレビのサイズなどとの兼ね合いで適切な高さが変わりますので、あらかじめ設計担当者に相談するとよいでしょう。

ちょうど良いテレビの高さは、ソファの座面の高さやテレビのサイズなどによって変わる
ちょうど良いテレビの高さは、ソファの座面の高さやテレビのサイズなどによって変わる

見やすさを決めるポイント3
◎コントラストを軽減する照明

私たちはテレビを観るときに、背面の壁やその周辺も一緒に見ています。最近のテレビ画面は非常に明るいので、室内やテレビの背面が暗いと明暗のコントラストが強すぎて、気づかないうちに目が疲れてしまいます。

家づくりの際には、テレビの背面を建築化照明で明るくするとテレビが見やすく、インテリアとしても素敵です。建築化照明が難しい場合は、専用の照明器具をテレビの後ろに置く方法もあります。またスタンドライトを置くだけでも見やすさが変わりますので、お試しください。

スポットライトでテレビの背面をふわっと明るく
テレビの背面に置くタイプの照明器具
テレビの背面に置くタイプの照明器具
(写真提供/パナソニック(株))

見やすさを決めるポイント4
◎テレビ背面の壁の色と素材

家具調テレビが主流だったり、リビングボードにテレビを組み入れるデザインが流行した時代もありました。家庭のだんらんの必需品と認識されながらも、ブラウン管のテレビはどこか空間に調和せず、異質な感じがしたのかもしれません。でも、今はテレビの機能美をインテリアの一部として活かせるように感じます。テレビ画面のフレームが細くなり、背面の壁の色彩や素材とのバランスが取りやすくなりました。

ただ、テレビ背面の壁について注意したいことが2つあります。1つは、テレビ画面の邪魔になるような鮮やかな色彩を避けること。色は鮮やかなほど目に飛び込みやすい性質があります。壁はおとなしい色調にして、鮮やかな色彩はテレビに譲りましょう。

インテリアとしても映える最近のテレビ。背面の壁は落ち着いた色にするとテレビが見やすい
インテリアとしても映える最近のテレビ。背面の壁は落ち着いた色にするとテレビが見やすい

もう1つは、コントラストを軽減するための照明との組み合わせについてですが、照明との相性を考慮すると、壁の色は濃くないほうが効果的です。テレビの背面は、タイルや塗り壁、木材など表面に凹凸があると照明による陰影が効果的に浮き上がって、趣のあるアクセントウォールになります。色が濃くて暗いと影がわかりにくくて期待する照明の効果が得られません。空間全体のインテリア性はもちろん、テレビをドレスアップしてくれる相性の良い壁面素材を見つけたいところです。

素材の質感を生かしたモルタル仕上げの壁
素材の質感を生かしたモルタル仕上げの壁
テレビの背面を照らす間接照明が、壁の素材感や凹凸を引き立てる
間接照明に照らされた壁が趣きのあるアクセントウォールに
木やタイル等を用いてインテリア性のある壁面に

多機能コンセントなどを活用。
配線計画は見た目も含め、万全に

リビングのテレビについては「見やすさ」以外にも考えておくことがあります。その1つはコンセントなどの配線まわりの設計。テレビに限ったことではありませんが、電気配線は壁の中を通るため、竣工後のやり直しは容易ではありません。不都合があってもガマンして暮らさなければならず、せっかく完成したピカピカのお住まいに、不満の種が埋め込まれてしまうのは悲しいことです。

そうならないために、どんな風に暮らすかを想像して家族で話し合い、メモに残しましょう。そのメモがコンセントやスイッチの位置を決めるときに活躍します。テレビ用のコンセントとしては、複雑化する今の通信環境に対応した多機能な製品も発売されています。必要な配線をスマートにつなぎたいですね。

さまざまな用途に対応する多機能コンセント(画像提供/パナソニック(株))

「スピーカー」を上手に使えば
LDKのどこでもテレビを楽しめる

かつて、テレビのスピーカーはテレビの前面に付いていましたが、フレームが細くなってからは、底や背面に移動しました。テレビの買い換え後に音声が聞こえにくくなったとしたら、それはスピーカーの位置の影響が大です。

リビングでソファや床に座ってテレビを見る分には、テレビ内蔵のスピーカーで十分楽しめますが、キッチンやダイニングにいると、リビングのテレビの音声は聞こえにくくなります。そんなときに便利なのが、テレビ用のワイヤレススピーカー。小型スピーカーならキッチンの片隅に置きやすく、洗い物をしながらでも離れたテレビの音がはっきり聞こえます。

また最近は、新築やリノベーションの際に電気工事をして、テレビの音や音楽が聞こえるスピーカーをLDKの天井に組み込むケースも。スピーカー内蔵の照明器具なども発売されていて、需要が高まっています。天井から降るようなテレビの音はクリアで聞き取りやすく、なかなかの新感覚ですよ。

テレビやダイニング・キッチンの天井にスピーカーを組み込んだお住まい。費用はかかったが、満足度は高いそう
テレビやダイニング・キッチンの天井にスピーカーを組み込んだお住まい。費用はかかったが、満足度は高いそう

家づくりの際には、こんな新しい技術もとり入れながら、広さやご家族の用途に合った設計をして、テレビのある生活を満喫してくださいね。