伝統と家族の歴史を未来へつなぐ47坪3人家族の平屋

公開日:2026.7.13 最終更新日時:2026.7.13

Replanが取材した、北海道・東北の素敵な住まいづくりの話をご紹介します。
有限会社 清水畑建設/盛岡市・Kさん宅 夫婦〇〇代、子ども1人

台湾から移住して盛岡で建てた
15年間描き続けた理想の家

台湾出身のKさんと岩手県宮古市出身の奥さんが出会ったのは、大阪府の日本語学校。結婚、妊娠、出産を台湾で経験したご夫妻が、子育ての環境にいいと選んだのが盛岡市でした。「実家がある台湾の都市部は排気ガスが多く、自然も遠い。盛岡は都市と自然が近く、日本は教育制度も整っているので、子育てがしやすそうだと思いました」とKさん。大学時代を盛岡で過ごした奥さんにとってもなじみのある街でした。

天井は県産スギ材。長さが約2mあるダイニングテーブルの天板は、岩手県森林組合連合会まで行って実物を見ながら選んだセンノキ材3枚を合わせた。三連ペンダントライトの木製シェードは岩手県西和賀町の木工所「waranoue」の作品

移住前に住宅付きの土地を購入。日本での生活を開始しました。台湾では機械エンジニアをしていたKさんは建築も好きで、独身だった15年前から理想の家を考えていました。「間取り図をCADでつくったり、3DCGで再現したりしていました」。移住後は日本の建築基準法や伝統的な住宅を調べながら、新築に向けて理想の家のプランを練り直しました。

古民家をイメージした大きな屋根が特徴のKさん宅。玄関ポーチにはスロープをつくった。約1.8mの深い軒があるので、鍵を開ける間に雪や雨に濡れる心配がない
約3帖の玄関土間は歩行器や車いすが入っても余裕の広さ。土間から床までは段差12cmで、カツラ材の上がり框を設置し、段差をさらに小さくしている。格子戸の奥は手洗い場のある家族用の玄関。さらに奥にはウォークスルーの納戸がある

スーパーに行く道の途中にある清水畑建設の事務所を見て素敵だなと思っていたご夫妻。他にも気になっていた工務店を2社選び、Kさんは3社に自分のプランを渡し、図面にしてもらいました。「清水畑建設さんは私の意図を尊重した図面をつくってくれました。感覚を理解してもらえたと感じ、依頼先に決めました」。

家族団らんの場所になっているリビング。黒い格子状の温水パネルヒーターは暖房でありながら、空間にスタイリッシュな印象を与える。パネルに合わせてライティングレールも黒にした。薪ストーブは補助暖房として使用し、室内をすぐに暖めたいときや炎を見たいときに点けているそう

日本の伝統美と家族の歴史を
未来へ受け継ぐ平屋の住まい

Kさんご夫妻の「古民家風」という希望を叶えた、47坪の大きな切妻屋根がかかる平屋。県産スギ材の板塀や盛岡産花崗岩の石垣、岩手山からの吹きおろしを防ぐ防風林が一体となり、武家屋敷を彷彿とさせるたたずまいを見せます。日本の伝統様式と現代の生活を調和させた住まいです。

8畳の和室には床の間と押し入れをつくり、伝統的な客間とした。LDKとつながる2方向は壁やドアではなく、障子にし開閉を容易にした。普段は開けておけばLDKの一部として利用でき、両親や友人が遊びに来たときは閉じて個室としても使える。将来的には介護室としての利用も考えている

玄関を開けると、格子状の温水パネルヒーターの奥に、最高4.2mの勾配天井が広がる約30帖のLDKとライブラリーの大空間が出迎えます。床は県産ナラ、梁と柱は県産アカマツ、壁は漆喰。ダイニングにはセンノキのオリジナルテーブルが据えられました。

住まいのシンボルともいえる本棚があるライブラリー。デスクはKさんが祖母から受け継いだもので、現在は奥さんが愛用している。木目や傷でぼこぼこしていた天板を清水畑建設がメンテナンスし、表面を滑らかに仕上げた

ライブラリーには、勾配天井に合わせ縦6~7段、横8列に並ぶ天井高の造作本棚を配置。1マス45cmの正方形で、Kさんがデザインしました。その前に置かれたデスクはKさんの祖母から受け継いだ品で、現在は奥さんが愛用しています。

キッチンはアイランド型で周囲を自由に行き来できる。大きな収納家具はあえて置かず、腰高ほどの棚や机を使用。吊り戸棚がないので圧迫感がなく開放的
奥さんの祖父が大切にしていた繊細な組子細工の欄間。2枚あったものをご両親と奥さんで受け継いだ。前後をガラスで覆っているのでホコリを被らない。現代では忘れられつつある技術

アイランドキッチンの梁の上には、奥さんの祖父が大切にしていた実家の組子細工の欄間を飾りました。吊り戸棚をなくした開放的な空間のアクセントとなっています。日本の伝統と家族の歴史を現代の生活に合わせてアレンジし、未来へ受け継ぐ住まいです。

10帖の寝室は、防風林を借景にしている。「四季を感じます。夕方の木もれ陽もきれいです」とKさん
約5帖のランドリースペース兼洗面室。カウンターでは乾燥した洗濯物を畳んだり、アイロンをかけたりできる。洗濯物の下洗いができるようにボウルが深いスロップシンクを設け、外でも洗濯物を干せるように勝手口がある
約2帖のパントリー。奥にあるのは同じく約2帖の納戸。納戸は外気を取り込んでいるので、野菜の保管に便利。パントリーと納戸はテラスドアで仕切られている

清水畑建設さんは台湾人の私に日本の住宅について丁寧に説明してくれました。高温多湿な台湾では、建材はレンガやコンクリートが主流。木材に詳しくない私に「木は木材になっても生きていて変化するもの。竣工後に木材の乾燥が進んで、縮んだり割れたりしても問題ない」と教えてくれました。気密や断熱など住宅の性能が「快適な暮らし」に関係していることも初めて知りました。実際に住み始めると説明どおりの快適さで、清水畑建設で建ててよかったと思っています。(Kさん談)

会社情報
有限会社 清水畑建設
私たちは地場に根差した小さな工務店です。岩手県の木をふんだんに使いながら、健康で快適な暮らしを実現する家づくりをしています。
対応エリア
盛岡市、八幡平市、滝沢市

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