大きな災害が起こる度に備えの重要さが語られ、特に、東日本大震災以降は防災に対する意識も高まり、災害時に取るべき行動についても広く情報が浸透してきました。

一方で、防災グッズをしっかり揃えられれば安心ですが、置いておくスペースやメンテナンスなど、いつ来るかわからない災害のためにどこまでやったらいいの?と思っている方も多いのではないでしょうか。

そこで、普段も楽しく使えていざという時の備えになるのが、アウトドアグッズです。実際、昨年の北海道胆振東部地震では、道内のほぼ全域で停電となりましたが、キャンプ道具を使いながら数日をしのいだという人も多くいました。夏にキャンプへでかける家族が多い北海道らしいエピソードかもしれませんが、これからの季節の楽しみの準備と、防災を一度にできるとなれば、少し前向きに備えを始められるのではないでしょうか。

楽しいキャンプの準備が防災にもつながる

アウトドアグッズは、持ち歩いて屋外で使うことが想定されているため、コンパクトで軽量、そして丈夫なものが多く、条件が悪い場所でも使うことができます。今回は、そんなアウトドアグッズの中から、緊急時に重要性が高そうなもの且つ取り入れやすそうなものをご紹介してみます。

●ランタンやヘッドランプ

停電時も安心で、役に立つ。最小限のオフグリッドとは?」でもお伝えしたように、災害時に最も多くの人が困ることのひとつとして「電気が止まる」が挙げられます。停電時に明かりがないことで、足元が見えなくて危険だったり、暗がりの中で不安が増したりします。枕元にひとつ置いて寝ると安心かもしれません。

◯LEDランタン
電池で点くタイプのLEDランタンは、価格もお手頃で種類もたくさん発売されているので、使いやすいかたちやサイズを選んで、ひとつは持っておくことをおすすめします。テーブルや床などに置いて使えて、光の拡散性も高いので、家族で集まる場所のメインの照明に向いています。ソーラーで発電できるものや、ラジオ付きのものなど、機能もさまざまです。乾電池で使えるものなのか、充電式のものなのかなど、仕様についてはきちんと確認して備えることを忘れないようにしましょう。
写真のランタンは、テーブルの上に置くこともでき、シェードを付けてフックで引っ掛ければ、普通の室内照明のように使えます。テントの中でも部屋の中でも違和感なく使えるので、災害時の不安も少し和らぎそうですね。

◯ガスランタン
冬場の停電時などは、ガスランタンがあると暖も取れて安心です。扱いには十分注意が必要ですが、操作も比較的簡単でガスの調整で明るさを変えることもできるので、様々な場所で使うことができます。

◯ヘッドランプ
作業時の手元を照らしたり、暗い中を歩いたりするときに、額に装着できて両手が空くヘッドランプが活躍します。釣りや登山などのアウトドアシーンを想定してつくられているため、防水性が高いものも多く発売されています。サイズや明るさの切り替えの有無、デザインなどを吟味して、お気に入りを見つけてみましょう。コンパクトなので、通勤のカバンの中に入れておくと安心かもしれません。

●小さいバーナーとコッヘルセット

電気を使っている給湯器やガスコンロは、熱源がガスや灯油でも停電すると使うことができなくなります。少しお湯を沸かしたり、簡単な調理ができると、災害時の快適性はグンとあがりますよね。

折りたたみ式のコンパクトなバーナー(右)と小さなお鍋×2、フタ兼フライパン×2のコッヘルセット(左)

ガス式のシングルバーナーと、小さいコッヘルセットがあれば、お湯を沸かしてカップラーメンを食べたり、食材を調理することができます。手や顔を洗うのにちょっとお湯がほしいな、というときにも最適。キャンプの際には、湖畔でゆっくりコーヒーをいれて…というようなシーンで大活躍します。

キャンプの時はホットケーキを焼いたりするのに使えます

コッヘルセットは重ねてコンパクトに収納できるので、場所も取らず持ち運びも簡単です。普段は非常用の持ち出しバッグに入れておいて、アウトドアを楽しむ際には取り出して使う、というふうにすれば、いざという時も慌てずにすみます。

重ねて収納(コッヘルの直径15センチ)
コンパクトで持ち運びにも便利

アウトドア派でない人にも扱いやすくて手に入れやすい、これらのアウトドアグッズ。「キャンプまではしないよ」という人も、夏の夕涼みにベランダで過ごす時や、今流行りのチェアリングに持っていくなど、グッズを持つことで楽しみが増えるかもしれません。この機会に楽しみながらの備え、はじめてみませんか?

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(文/Replan編集部)