これまでにも、玄関については「玄関ポーチ」や「2way玄関」の記事で、さまざまな角度から家づくりを考える際のポイントをご紹介してきましたが、玄関は家の顔であるとともに、さまざまな機能を持たせられる場所で、工夫次第で暮らしやすさが変わります。そこで今回はこれまでに取材したなかから、ライフスタイルに合わせた工夫やアイデアをとり入れた玄関の実例をご紹介していきましょう。

ガレージ直結の玄関

玄関を出るとすぐガレージ、というつくりは、雨や雪の日でも安心して荷物を運べると家づくりのセンパイたちからも好評です。玄関ドアを開けるとすぐガレージ、というケースのほか、下のようにガレージにつながるドアを別に設けるプランもよく見ます。敷地や間取りの条件に合わせて検討したいですね。

玄関土間をL字型にすることで、動線をスムーズに
玄関土間をL字型にすることで、動線をスムーズに
上がり框を2方向に分けた2way玄関
上がり框を2方向に分けた2way玄関
写真右手が玄関、まっすぐ行くと物置を通ってガレージにつながる
写真右手が玄関、まっすぐ行くと物置を通ってガレージにつながる

すぐ横に「手洗い場」がある玄関

最近ときどき目にするのが、玄関のすぐ横に「手洗い場」を配置した間取りです。帰ってきてすぐに手洗い・うがいができて便利ですし、可愛いタイルやクロスを使った洗面台はインテリアとしても魅力的です。

テラコッタの床とアールの出入り口が目を引く玄関
そのすぐ隣にシンプルな手洗いスペース。ドット柄のアクセントウォールが可愛らしさを演出
小さな手洗い器でも、タイルで存在感アップ
壁をタイルで仕上げてアクセントウォールにすれば、インテリアとして空間によく映える
壁をタイルで仕上げてアクセントウォールにすれば、インテリアとして空間によく映える

リノベしたマンションの玄関

マンションのリノベーションを機に、狭かった玄関を広くつくり直すケースも多く見られます。使用頻度の低い玄関の隣の部屋を、玄関まわりの収納にあてがうというパターンが多いようです。例えばこちらは、あまり使っていなかった洋室の半分ほどを玄関と一体化。シューズのほか、趣味のキャンプグッズもたっぷり収納できます。

コの字型に棚を造り付け、スペースを有効利用
コの字型に棚を造り付け、スペースを有効利用

また別のお住まいでは、玄関の隣にあった部屋の3/4ほどを土間収納に変更。シューズやキャンプグッズのほか、季節の道具なども収納できる大容量で、玄関まわりはいつでもきれいに片付いた状態を保てます。

玄関に入って右手のほうに大容量の玄関収納を

壁を板張りで仕上げた木質感あふれる玄関は、いつもスッキリと片付いている

出入り口が2ヵ所。農家ならではの玄関

全国的に農業を営んでいるご家族も多いですが、最近建てられた農家さんの家に多く見られるのが、出入り口を2ヵ所設けた間取りです。ひとつは普段家族が出入りしたり、来客時に応対する玄関。もう一つは、汚れた作業着や長靴でも気兼ねなく出入りでき、作業で身に付けるものや使う道具などを置いておける裏玄関です。生活スタイルに合わせた住まいが暮らしやすさを改善する好例といえるでしょう。

壁面を利用してシューズクローゼットを造り付けた表玄関
裏玄関(勝手口)には農作業の装備などがすっきり片付く収納を完備。タイル張りの土間は掃除もしやすい
間口が広くゆとりのある表玄関。引き戸の向こうにリビング
屋内での作業もできるよう広い土間スペースにした裏玄関。流し台があって洗濯もできる

間取りや広さの制限などはあるかもしれませんが、特にオーダーメードで建てた家の玄関は、家によって本当にさまざまです。今の暮らしで不便を感じているのはどんなところかを考えて、自分たちの暮らしに合った玄関まわりの工夫を実践してみてくださいね。

(文/Replan編集部)