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Q 外壁のひび割れ

質問者/長野県・スギサマ
記事No.12058/カテゴリ:家の外まわり

お世話になります。当方、長野県に在住しています。約9年程前に新築し、外壁は大壁工法?(無地のサイディングの上からリシン吹付)としてもらいましたが、築半年程で外壁に縦、横に数メートルに及ぶひび割れが発生しました。その際、ひび割れに上から新たに塗料を上塗りする形で修繕してもらいましたが、数ヵ月もすると上塗りした箇所が再度ひび割れ、再度上塗りしてもらいましたが、またもやひび割れということを繰り返し、その後修繕してもらえず現在に至っています。工務店の話ではサイディングがあるので雨漏れの心配はないとのことです。

そこで質問なのですが、

1)工務店の基本的な保証期間は2年間なのですが、築2年以内に発生したひび割れについて未だ解決されていないという解釈で、工務店に再度の修繕の責任を問えるでしょうか?

2)雨漏れの心配はないとの話ですが、外壁のひび割れであることは事実なので、品確法における瑕疵担保責任の「雨水の侵入を防止する部分」に該当するとの理解で工務店の責任を問えるでしょうか?

工務店との話し合いで解決したいと思いますが、仮に工務店が修繕を拒否した場合、質問のような法的責任を問える根拠があるのなら、本格的に弁護士等を通じた示談の持ちかけも検討しています。以上、ご教授いただければと思います。

A:回答者/(株)福地建装/HQ住宅研究所 ファース本部 福地 脩悦

写真で見る限り、乾湿窯業系(サイディング)の大平板を使用しているようです。このような素材を外壁に使用した場合の仕上げ方法は様々です。本来は、エキスパンション方式で、サイディングの突合せに目地を付け、収縮吸収する方法が適切であったかと思われます。弾性リシンで仕上げたようですが、突合せ部分の浮き上がりを吸収できていないようです。

雨漏り事象に対する瑕疵担保履行法は、雨漏り事象が発生した場合に、施工者や設計者の責任を負うことを法的に義務化しております。本件は、見た目の課題は大きいものの、雨漏り事象となっていない場合に法的な責任を負わすことは難しいと思われます。

対応策は、突合せ部分の目地を掘り込み、収縮吸収できるようにする方法があります。施工業者の法的な責任を問うことは無理にしても、道義的な責任で対応していただくよう、上手に交渉していただくことが賢明と思われます。仮設足場が必要になりますので、相当の費用も掛かります。築9年、契約の際に図面や仕様書が提示されているはずなので、施主も一定の費用負担を負う覚悟も必要かもしれません。

質問者より

早速、ご丁寧なご回答ありがとうございます。雨漏れは発生しておりませんので、工務店に法的な責任を問う方向で考えることはやめたいと思います。幸いにも、不信感はあるものの工務店とは一応良好な関係を維持しておりますので、何とか修繕してもらえるよう粘り強く交渉していきたいと思います。

a:回答者/医王山

写真を拝見しますと、サイディングのジョイントのようですね。当然、熱膨張で割れます。この壁面にジョイント部コーキング目地等がないのも影響があります。入り方が規則的ですね。リシンを外壁に使用するのは、おすすめしません、あまり見かけません…透水性があり防水性がないからです。外壁には、一般的に防水性があるクラックに追随する微弾性吹き付けタイルを使用する場合が多いです。工務店の言われるように、サイディングは自身は防水性がありますが、パネルジョイントは別です。

>築半年程で外壁に縦、横に数メートルに及ぶひび割れが発生しました。

全ての材料は、熱膨張します。目地などを設けるのが一般的です。

>その際、ひび割れに上から新たに塗料を上塗りする形で修繕してもらいました…繰り返し、…

材質の特性から入ります。元の材料でクラックに追随しないリシンですから再発します。色も合い補修跡が目立たないので、中々…でも9年も経っていてジョイント部に基材の剥離が一部見られます。

>築2年以内に発生したひび割れについて未だ解決されていないという解釈で・・・修繕の責任を問えるでしょうか?

難しいです。アフターサービスは2年までです。AS対象外のクラックの様に見えます。(不動産協会戸建住宅アフターサービス規準が基になっています。外壁の亀裂・破損2年まで、幅3ミリ以下の亀裂は除きます)街中で多くの壁、材料で割れているところを見かけます。

>品確法における瑕疵担保責任の「雨水の侵入を防止する部分」に該当するとの理解で工務店の責任を問えるでしょうか?

室内に漏水していれば、問えますが…たぶん室内までは漏水していないと、10年までです。

>約9年程前に新築し、…

一般的にリフォームの推奨は10年以上から再塗装です。表面に露出のコーキングは5年からです。

>工務店との話し合いで解決したいと思いますが、仮に工務店が修繕を拒否した場合、質問のような法的責任を問える根拠が…本格的に弁護士等を通じた示談の持ちかけも検討しています。

法的責任は…何を根拠に? 今の情報ではないと思います。品確法で言う漏水は10年です。元々リシンは防水性能がなく、クラックに追随しなく、顔料を混ぜた砂状材の吹き付けです。最近では弾性リシン(主にアクリル系)の防水性のある材料があります。

中々言いにくいことで、失礼ですが、室内漏水が無ければ将来に向けてコーキング目地を設け、外壁塗装を検討されたらいかがですか? 参考になれば…

質問者より

ご丁寧なご回答ありがとうございます。ちなみに、吹き付け材、施工方法、ひび割れ後の修繕方法等は全て工務店で判断してやってもらっていました。ご回答中に「目地等を入れて施工するのが一般的」とのことでしたが、率直に言って施工してもらった工務店は基本的な技術力というか知識は持ち合わせていないと判断するのが妥当でしょうか? 何度も恐縮ですが、率直なご感想を教えていただければと思います。

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