1月21日に発売したReplan東北67号の巻頭特集は、北海道版と同じく「楽しい変形敷地」。今回は、秋田・宮城・福島にある3軒のお宅を訪ねました。

一見「デメリット」に見える難しい土地条件を逆手にとって、楽しくて心地いい、自分たちらしさ全開の住まいを手に入れたご家族のお話はいずれもとても興味深くて、何をもって「デメリット」とみなすかは、やはり考え方次第だなと感じました。

表紙となったこのお宅は、敷地内にある約2.5mの高低差をそのまま生かしてプランニングされています。お施主さんが造成して土地を平らにしたくなかったのは、ここが祖父母の家のあった大切な思い出の場所だから。家づくりにあたっては「植物のある暮らしを愉しみたい」というのも大きな要望のひとつでした。設計を依頼された建築家は「これぞ!」というプランを出すまでに、夜寝ていてうなされるほど(!)悩んだそうです。

室内は、お施主さんが厳選し丹精こめて育てている植物の緑で彩られていました。ダイニング・キッチンの窓辺は温室のようなつくりになっていて、家の中からも外からも鉢植えの出し入れや水やりができます。

内外とも「時間をかけてグリーンと一体化していくようなつくり」を考えて設計されたこのお住まい。あまりにもオープンで、近所に暮らすお母さんに「こんなに見えちゃって大丈夫?!」と心配された生活道路に面した玄関ホールのガラス窓も、建築から3年を経た今は植物が生長し、ほどよくナチュラルな目隠しに。フレームのような外観とも調和しつつあります。

表紙写真の場所はコンクリート土間のテラスで、外と内の緑がつながる中間帯。外階段がこの土地ならではの高低差をつなぎ、親子が立つリビングの向こうには昔から変わらない豊かな竹林が望める。そんな、この家にまつわるストーリーを象徴するような1枚を、今回は選びました。

『Replan東北vol.67』は東北エリアの主要書店・コンビニエンスストアで発売中。ReplanWEBAmazonでもご購入いただけます。ぜひお手にとってみてくださいね。

(文/Replan編集部)