先日の記事「プランニングの際に検討すべき「ウィンドウトリートメント」とは?」では、インテリアコーディネーターの本間純子さんに、カーテンに代表される「ウィンドウトリートメント」についてお話いただきましたが、今回はその続き。安心で快適な家づくりの参考になるカーテンの選び方やお手入れ方法、施工時の注意点についてのお話です。


大柄なデザインのカーテンは
大きな窓でこそ映える

カーテンのデザインはとても種類が豊富。ショールームに行くとさまざまな商品が並んでいますが、その美しい色や柄はどれもとても魅力的です。最近は特に、大きな柄のカーテン生地が増えています。ただここで注意したいのが「デザイン」と「寸法」の組み合わせです。大きな柄の生地を選んだ場合、取り付け予定のカーテンはその柄の良さが引き立つサイズでしょうか? 縦リピート1mの柄の場合、丈が2m のカーテンでしたら、計算上2柄。丈1.5m でしたら1柄ですが、場合によっては柄が途中で切れてしまうことも…。

大柄なデザインは大きな窓でこそ、その魅力が引き立つ(写真提供/(株)フジエテキスタイル)

大きな柄のカーテンを選ぶ際には

・小さな窓より「大きな窓」用として考える
・プリーツを深く取らない「フラットカーテン」だと柄の良さが生き、見栄えがする

この2点を意識すると、インテリアとして効果的で空間に映えるウィンドウトリートメントになるでしょう。

カーテンの重さに十分耐える
木下地が入っているか要確認

皆さんはカーテンを掛け替えたときに「意外に重いな」と感じたことはありませんか?カーテン生地は、窓の約2倍の面積となり、けっこうな重量があります。このカーテンやレース、レールの重さは、すべてレールの「ブラケット」が支えています。

一般的に壁下地として用いられる石膏ボードには、残念ながらカーテン、レース、レールのすべての重さを支える力はありません。そして重量に耐えられなくなると抜け落ちてしまうことがあり危険です。

生地はサイズが大きいとかなりの重さに。その重量を支えられるしっかりとした木下地の施工が、安心の鍵に

リビングの見下ろし。外のテラスへとタイル貼りの床がつながっていく

基本的にレールのブラケットは「木下地」のあるところに取り付けますが、それが必要なところに入っていない場合もあります。家づくりの際にはカーテンレールの取り付け位置と、そこに木下地がちゃんと施工されるかを事前に確認しましょう。

また、タッセル用の房掛けも要注意です。長く使っているうちに房掛けが抜けて壁に穴が空いてしまうことがありますので、ここにも木下地を入れておくと安心です。

窓下のパネルヒーターの高さと
カーテンの丈に注意

暖房効率を考えて窓下に設置されるパネルヒーターですが、時々カーテンとのせめぎ合いが起きます。カーテンは窓の下端から15㎝~20㎝程度の下がった位置が程よい丈なので、それを加味してパネルヒーターの高さを決めます。カーテンがパネルヒーターを覆ってしまうと、暖気がガラス面を通して外へ逃げてしまいますので、寸法には注意しましょう。カーテンは、万が一パネルヒーターに触れても燃えることはありませんが、素材によっては変質して縮んでしまうことがあります。

カーテンと、窓下に設置するパネルヒーターの高さの関係に注意
カーテンと、窓下に設置するパネルヒーターの高さの関係にも注意

日光で劣化するカーテン
レースは特に消耗品?

カーテンは窓面に取り付けるため日光の影響を受けやすく、何年も使用していると裂けたりほころびたりすることがあります。レール幅を長めにしてカーテンがガラス面にかからないようにすると痛みにくくなります。また、シルク素材は日の光に特に弱いので、必ず裏地を付けましょう。そうするとボリューム感が増して、高級感もアップします。

一日中ガラス面に掛かっていることの多いレースは、カーテン以上に傷みやすく、洗濯をしたら「縄のれん」のようにボロボロになるという悲しい事件(!)が以前起きたことがありました。基本的に「レースは消耗品」と捉えたほうが良さそうです。

生地は日光で日焼けしたり、紫外線で劣化したりする。レースは消耗品と捉えたほうが良さそう
生地は日光で日焼けしたり、紫外線で劣化したりする。レースは消耗品と捉えたほうが良さそう

カーテンとレースのお手入れ方法

室内環境にさらされているカーテンはホコリをまとうのも役割なのでは?と思うことがあります。インテリアのテキストにはカーテンのお手入れ方法として「掃除機のブラシ付きのノズルでホコリを吸い込むように」と書いてありますが、それなりに技術が必要なのか、私はなかなかイメージどおりにはうまくできなくて、結局この作業は諦めました…。

普段から質問が多い「カーテンのクリーニング」についてですが、これはカーテンに付いている取り扱い絵表示に従って洗うのが原則です。ただ、カーテンは大きくて重い上に、脚立に上がっての脱着作業は結構重労働ですので、十分に気をつけて行う必要があります。

カーテンの洗濯表示記号(写真提供/(株)フジエテキスタイル)
カーテンの洗濯表示記号(写真提供/(株)フジエテキスタイル)

なかには、ドライクリーニングを依頼する際にカーテンの脱着をしてくれるクリーニング店もあります。午前中に取り外して、夕方には取り付けてくれるサービスもありますので、最寄りのクリーニング店にご相談ください。

カーテンは、見た目以上に汚れが付着していますので、定期的に洗ったほうが長持ちします。ただし、洗濯の仕方によっては縮んでしまったり、色落ちしたりすることがあります。また劣化や傷みが激しくなったら、買い替えを考えたほうがよいでしょう。

カーテンも定期的にお洗濯すると気持ち良く、長持ちする
カーテンも定期的にお洗濯すると気持ち良く、長持ちする

レースカーテンは、自宅の洗濯機で洗えるタイプが多いです。洗濯時は必ず取り扱い絵表示を確認してください。手順は以下のとおりです。

  1. フックを外す
  2. 屏風だたみにしてネットに入れ、水流を「弱」にして洗う
  3. 柔軟仕上げ剤に浸した後、サーっと脱水
  4. フックを取り付け、そのままレールに掛けて乾燥

ほとんどのレースカーテンはアイロンをかけなくても生地自体の重みでシワが伸び、きれいに仕上がります。洗濯後のレースカーテンを通して見る風景は、色が鮮やかに感じられます。その日のご褒美コーヒーは格段に美味しいですよ。

洗濯機を使ってレースを定期的に洗うだけで、部屋の印象が変わるはず

カーテンの柄と寸法の関係、レールを取り付ける場所の下地材のこと、パネルヒーターとの高さの兼ね合い、日々のお手入れ…。家づくりではカーテンに関するこれらのことを少しでも頭の隅っこに置きながら、ご家族にとってのよりよい住環境をつくってくださいね。


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