「省エネ基準住宅からQ1.0住宅を目指すにはどこを攻めるか?」(1/4)

省エネ基準 見なし仕様住宅

住宅が省エネ基準に適合しているかどうかは、その住宅のUA値や他にもいくつかの数値を計算して、その値が基準に適合しているかどうかで審査機関が判断します。この計算は、ルールが細かく決められていてなかなか面倒です。そこで計算しなくてもいい方法として、住宅各部の断熱材の厚さや、開口部の仕様を決めてこれに適合する方法も定められています。これを見なし仕様と呼んでいます。  

いわば、省エネ基準適合住宅の標準的な構成です。省エネ基準地域区分で、1~2地域は表1、3地域は表2がその仕様です。これを、一部2階建ての120㎡のモデルプランに当てはめて、そのQ値を計算してグラフにしたものが図1です。

UA値の計算には、換気の熱損失を含まず、住宅の暖房エネルギーとの相関が必ずしも良くないので、ここではあえてQ値を計算しました。UA値を計算してみると、基準値より若干小さくなっていますが、ほんの少し大きい地域もあります。それでも当然省エネ基準適合と見なされます。

表1 見なし仕様住宅の各部の断熱仕様と性能諸元(1~2地域)
表2 見なし仕様住宅の各部の断熱仕様と性能諸元(3地域)
図1 省エネ基準見なし仕様住宅の熱損失係数内訳

図1で、1~2地域と3地域を比べると、開口部と換気は同じで、床・壁・天井など躯体の断熱材の厚さが3地域の方が少し薄く、熱損失が少し大きくなっています。4地域、5~7地域では、この躯体の熱損失がさらに少し増えており、特に開口部が大幅に増えています。開口部のサッシ枠やガラス、玄関戸などはこの20年で大幅に性能が向上し、価格も下がっていますから、この部分の断熱性能を上げることは、住宅の性能向上の有力な手段になります。

特に4地域以南ではその効果も大きくなります。1~2地域および3地域では、躯体の断熱材から逃げる熱、開口部から逃げる熱、そして換気による熱損失がほぼ同じくらいで、3地域では躯体の熱損失がやや大きくなっています。したがってこれらをまんべんなく減らす必要がありますが、それにかかる費用は部位によって異なります。  

また、この換気の熱損失は、隙間風ということではなく、十分に気密化された住宅の室内の空気を清浄に保つための必要な換気です。意外に大きなものです。  

このように各部位の性能向上を、それにかかるコストを考えながら、また性能向上による快適性の改善効果などを見極めながら、上手に省エネ性能の高い住宅を実現することが重要なのです。