1~2地域のQ1.0住宅実現手法2~開口部と換気の熱損失低減による効果

開口部は、見なし仕様でPVCサッシ+Low-Eペアガラスで、結構高い性能なので性能向上効果は限定的ですが、近年はArLow-E16㎜ペアガラスの採用で15%もの削減効果が期待できます。したがって、これは必須条件です。

さらに性能を上げるためには、ArLow-E16㎜トリプルガラスの採用が考えられますが、意外にもその削減効果は18.1%と、約3%向上するだけです。これは、ガラスを通しての熱損失がかなり減るのですが、同時にガラスの枚数が増えLow-E膜も増えてガラスを通して入る日射が20%も減ってしまうからです。トリプルガラスのサッシは価格も高いのですが、これによりガラス面の温度が1~2℃上昇し、快適性が向上する効果もあり、やはり予算を考えながら十分検討する必要がありそうです。大きな窓に断熱ブラインドを設置するという手法も十分検討する必要があります。  

また、図の中で55と58は、一部のメーカーが採用し始めた新しいLow-E膜を持つガラスを使った、ペアガラスとトリプルガラスです。断熱性能は変わらず日射をよく通します。このガラスの採用でワンランク性能が向上することがわかります。やがてはこのガラスが各社標準的に採用されると思われます。  

玄関戸は、性能の高いドアが価格もそれほど高くなく選択できますから、寒くなりがちな玄関の改善に、必ず採用したいところです。  

全体7項目のうち最も削減効果の高いのが換気です。第3種換気で換気量を減らすことがコストもかからず手軽ですが、いろいろな条件で換気量を減らすことができない場合もあります。この場合、熱交換換気を採用します。

図の72~74はパナソニックのカセット型の熱交換換気2台を1階と2階に設置した場合です。換気量を減らさずに72では25.5%も削減します。おすすめは73の換気回数0.41回/hの28.4%です。工事コストも第3種換気に比べて10数万円のアップで済みますし、これを外してはローコストにQ1.0住宅をつくることができません。定期的にフィルターの掃除が必要になることが欠点ですが、最近は掃除の間隔を長く取り、作業も容易にできるような改善が進んできました。

3地域のQ1.0住宅実現手法

図3 見なし仕様住宅の各部の断熱性能を向上させたときの暖房エネルギー削減率(青森)

図3は、図2と同じように3地域の青森で計算した削減率を表します。  

3地域は、省エネ基準のUA値が大きくなり、躯体と開口部の熱損失量が増えます。したがって換気を含むQ値も大きくなり、全体の熱損失量が増えますから、換気や開口部による削減率は、相対的に1~2地域よりも少し小さくなります。  

それに対して、もともとの躯体の断熱材の厚さが1~2地域より薄く、躯体の熱損失量が大きいため、躯体の断熱材の厚さを増やすと効果が大きくなります。3地域は、躯体の断熱材の厚さを増やすことが一番目に必要となり、換気・開口部についてはその次といえそうです。いずれにせよ、各項目の性能向上手法の取捨選択については1~2地域とあまり変わりません。  

図2・3のグラフの削減率の数値は、足し算ができます。省エネ基準住宅に比べて、暖房エネルギーを半分にしたければ、7つの部位の断熱性能を、削減率を足し合わせて大体50%以上になるように項目を選べばいいようです。厳密に足し算が成立するというわけではなく、QPEXで計算すると若干足りなくなりますから、少し多めになるように仕様を決めます。これにかかる工事コストなどを検討しながら、最適の構成を考えることがQ1.0住宅を上手に組み立てる方法なのです。