先日の記事「実例写真で解説。代表的な6つのキッチンレイアウトの種類と特徴」では、主に6パターンあるキッチンレイアウトの種類と特徴について紹介しましたが、今回のテーマは、キッチンの「天板(ワークトップ)」。

実は素材の種類が複数あり、素材によってキッチンの印象も使い勝手も異なります。調理のスタイルや空間デザインに合わせてベストな素材を選ぶことが大切です。


キッチンの天板(ワークトップ)とは?

キッチンの「天板(ワークトップ)」とは、簡単に言うと「調理や下ごしらえなどの作業を行うカウンター面」のこと。耐水性や耐熱性、強度や刃物による傷の付きにくさ、汚れにくさ、メンテナンス性など、さまざまな機能が要求されるキッチンの部材です。また、オープンなキッチンの住宅ではインテリアの一部にもなるため、デザイン性も重要です。

ステンレスのワークトップが空間にソリッドな印象をもたらす
ステンレスのワークトップが空間にソリッドな印象をもたらす

機能もデザインもさまざま
天板(ワークトップ)の素材の種類と特徴

熱・傷に強くて美しい「セラミック」

焼き物ならではの美しい風合いが魅力なセラミックは、その格別な意匠性が人気。熱・キズ・汚れに強く、手入れもしやすいという優れた機能性も併せ持っています。

セラミックは、高温のフライパンや鍋を天板に直に置いても大丈夫。調味料や水物などをこぼしても汚れが染み込まないので、気分的にも調理が楽に行えます。

落ち着いた色と質感のセラミックは、シックな雰囲気を演出できる
キッチンをはじめ、空間全体をブラックで統一した大人な雰囲気。正方形に近い広いワークトップは、物を移動させる動線が短くなりより使いやすい
キッチンをはじめ、空間全体をブラックで統一した大人な雰囲気。正方形に近い広いセラミックのワークトップは、物を移動させる動線が短くて使いやすい

色バリエーションが豊富な「人工(人造)大理石」

白色をはじめ、バリエーション豊かな色や柄から選ぶことができる樹脂製の素材です。やわらかで優しい質感が他の素材にはない大きな魅力。シンクまで人工大理石で一体成形できると、デザイン性がさらに高まります。

耐水性・耐久性に優れていますが、樹脂でつくられているため耐熱温度が低く、なるべく高温に熱せられた鍋やフライパンを直に置くのは避け、ふきんや鍋敷きを使うようにしましょう。

白のキッチンに憧れ、ワークトップはもちろんシンクも人造大理石で白く
白のキッチンに憧れ、キッチンの天板はもちろんシンクも人造大理石で白く
白の人工大理石ワークトップと造作収納など、ナチュラルな色合いでまとめられたキッチンスペース
白の人工大理石の天板と造作収納など、ナチュラルな色合いでまとめられたキッチンスペース
白を基調とした空間にマッチする清潔感のある白のワークトップ
白を基調とした空間にマッチする清潔感のある白の天板

定番で根強い人気の「ステンレス」

飲食店の厨房などでよく使われるステンレスのキッチンは、耐水性・耐熱性・耐久性・清掃性とオールマイティな機能性。コストの面でも魅力的な素材です。またどんなテイストの空間にも合わせやすい色と素材感も、人気の理由のひとつでしょう。

ただ、細かい傷が付きやすい素材ではあります。表面の仕上げ方法には「エンボス」「ヘアライン」「鏡面」などいくつか種類がありますが、傷が気になる方は、特に鏡面仕上げは避けたほうがよさそうです。

ダイナミックな梁が印象的な古民家にも、ステンレスのキッチンはしっくりとなじむ
ダイナミックな梁が印象的な古民家にも、ステンレスのキッチンはしっくりとなじむ
オールステンレスのキッチンは、収納もすべて見えるように、物の探しやすさを追求した
オールステンレスのキッチンは、収納もすべて見えるように、物の探しやすさを追求した

業務用のオールステンレスキッチン機能性抜群
業務用のオールステンレスキッチンは機能性抜群
カウンター付きキッチンは、特注のアイアンフレームにシナベニアやステンレスシンクや天板を組み合わせた造作仕様のカウンター付きキッチン
カウンター付きキッチンは、特注のアイアンフレームにシナベニアやステンレスシンクや天板を組み合わせた造作仕様のカウンター付きキッチン

風合いや経年変化が魅力の「木」

造作のキッチンの場合は、「木」を天板として用いることもできます。木を生かしたリビング・ダイニングとコーディネートしやすく、優しい風合いや時間とともに味わいを深める経年変化が魅力です。

木は、キッチンの天板に使われるステンレスなどの他の素材と比べると水や汚れに弱いため、こまめに拭き上げるなど、手入れの面では注意が必要です。

水や汚れ対策として、天板の表面をウレタン塗装で仕上げた場合、熱々の鍋やフライパンをそのまま置くと塗装が溶けて白く痕が残るので、必ず鍋敷きなどを利用して塗膜を保護しましょう。

ワークトップを木で仕上げたⅡ型(セパレート型)の造作キッチン
キッチンの天板を木で仕上げたⅡ型(セパレート型)の造作キッチン。水や汚れに強いウレタン塗装で仕上げると手入れしやすい
大きな窓からの光が気持ちいいU型のキッチン
欅の一枚板を用いたキッチンの天板。十数年を経て、味わい深く育っている

キッチンに可愛らしさをプラスする「タイル」

欧米の住宅でよく見られる、天板がタイル張りのキッチン。タイルは種類が無限にあり、組み合わせによってオリジナリティーあふれるデザインに仕上げることができます。

素材がタイルなので、耐水性・耐熱性・耐久性の面も安心。ただ、目地は黒ずんできやすいので、こまめなお手入れが不可欠。また目地によって凹凸ができるので、平滑な面がほしいときは、別途平らな台を用意するなど工夫が必要です。

白で揃えたタイルと陶器のシンクの調和が美しい造作キッチン。デザインをはじめ、取手・照明機器など細かい部分までこだわった
白で揃えたタイルと陶器のシンクの調和が美しい造作キッチン。デザインをはじめ、取手・照明機器など細かい部分までこだわった
壁付けのI型キッチンに、2つ目のシンクを備え便利に使えるアイランドを組み合わせたキッチン。隣接して、収納量たっぷりのパントリーを設置した
I型キッチンに、2つ目のシンクを備え便利に使えるアイランドを組み合わせたキッチン。アイランドの方のみ天板をタイル仕上げに
大判と白タイルと縁のモザイクタイル、コンロ壁面のタイル。3種類のタイルが調和するかわいらしいデザイン
大判の白タイルと縁のモザイクタイル、コンロ壁面のタイル。3種類のタイルが調和するかわいらしいデザイン

このほか、人工では味わえない質感が目を引く「天然石」の天板も。輸入品が多いので、運搬や施工にかかる費用が高額になることも多く、汚れやすさや硬さなど使用上のデメリットもほかの素材より目立ちますが、高級感のあるデザイン性が何よりの魅力です。


9月28日(火)に発売した最新号「Replan北海道vol.134」では、それぞれの家族の暮らしに寄り添ったオリジナリティあふれる「いまどき」のキッチンや、使いやすいキッチン収納のポイントについてご紹介していますので、そちらもぜひご覧ください!

(文/Replan編集部)

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2021年9月28日(火)発売

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