前回の記事「特徴を知って選びたい。家づくりで使う「木」の基本」では、インテリアコーディネーターの本間純子さんに、住宅で使われる「木」と、家づくりにおける木材の選び方のポイントについて教えていただきました。今回はその続きで、空間をより豊かに演出する木材の「表面加工」と「塗装」について解説いただきましょう。


木材の「表面加工」

木材は製材した後、鉋(かんな)や鑢(やすり)で表面を滑らかにして仕上げるのが一般的ですが、表面にあえて凹凸をつけて、表情豊かに仕上げたり、木の個性を引き出したりすることがあります。ここでは、家の内装や家具によく用いられる3つの表面加工をご紹介します。

●うづくり(浮造り)

「うづくり(浮造り)」は、板表面の早材(柔らかな部分)を磨いて凹ませ、晩材(硬い部分)を浮き上がらせる手法です。板に厚みがある無垢材ならではのテクニックですが、機械で合板に加工することもあります。床材やテーブル、カウンターの天板などに施されている例をよく見ます。「木」らしさを強調したい場合に用いると効果的です。

表面をうづくり加工したオーク材フローリング。ほどよい凹凸感が、素足に心地よいそう
表面をうづくり加工したオーク材フローリング。ほどよい凹凸感が、素足に心地よい

●なぐり(名栗)

製材した角材や板材の表面を、大工道具である釿(ちょうな)ではつって仕上げた加工のことを「なぐり(名栗)」と呼びます。釿の刃の形によってはつり跡が異なり、表情の違いとなります。刃先がカーブした釿ではつると六角形が重なった連続模様となり、これは「亀甲なぐり」と呼ばれます。和風住宅で好んで使われる表面加工です。

●ラフソーン

ラフソーンは木を鋸(のこぎり)で引いたときにできる凹凸(鋸目/のこめ)を仕上げとして残した加工です。「室内で靴を履かない日本の住宅に床材で使うのは不向き」と言われ、店舗などで好んで使われるケースが多かったですが、「フローリングの足裏に感じるザラザラ感が新鮮」と、最近注目されています。壁装材に用いると、視覚的にラフな感じが、ビンテージ感のあるナチュラルなインテリアイメージを強調します。

木目を生かす「塗装」

木を表面を保護せずに素地のまま使うと、埃や手垢が付着しやすいうえ、傷も付きやすく、食べこぼしなどの汚れもすぐに染みついてしまいます。それを防ぎ、木の耐久性と美しさを保つために必要なのが「塗装」です。塗装には、数多くの選択肢がありますが、ここでは「木の素材感を保ち、木目を生かす塗装」をいくつか紹介します。

ちなみに「木目を生かす塗装」選びで重要なポイントは3つ。

  • 塗膜の強度
  • 仕上がりの風合い
  • メンテナンスの方法

この3つの中の何を特に優先するかによって、適した塗装が変わります。

●ウレタン塗装

ウレタン樹脂で、木材の表面に強い塗膜をつくるため、水や汚れが染み込みにくく、傷にも強くて耐久性が高い塗装です。テーブルやカウンターの天板、チェア、フローリングなど、家づくりの木製品全般でよく使われます。塗膜の強度やメンテナンスの手軽さを最優先するなら、ウレタン塗装が最適です。

艶ありから艶消しまで仕上げの調整は可能ですが、塗膜に厚みがあってつるっとした印象になるため、木の素材感を生かすのが難しい塗装です。また熱に弱いので、熱々の飲み物を入れたマグカップやケトルを直に置かないよう注意しましょう。白い輪ジミが残ってしまいます。

ウレタン塗装のチェア
熱々のマグカップなど直に置かないよう注意

●オイルフィニッシュ

亜麻仁油やエゴマ油など、空気中で徐々に酸化して固まる「乾性油」を木地に染み込ませることで、木の素材感を保ちながら表面を保護する塗料です。色のトーンも選べます。オイルフィニッシュ仕上げは素地の状態よりも木目がはっきりして、少し色味が濃くなったように見えます。

オイルフィニッシュは、ウレタン塗装と違って塗膜をつくらないため、傷や汚れには強くなく、耐水性もありません。ただ、少々の傷や汚れであれば、表面を紙やすりなどで削って、再度塗装し直して修復できます。「少し手間がかかっても、木の本来の風合いを生かしたい」という方におすすめの塗装です。

●ワックス塗装

蜜蝋やカルナバ蝋など、自然素材由来のワックス(蝋)で、木材の表面に撥水性を持たせ、汚れを防ぐ目的で使われます。オイルフィニッシュのような浸透性はなく、主には表面を保護する役割をします。艶が出ますが塗膜が厚くないので、木の質感をそのまま活かせるのも魅力です。オイルフィニッシュの上にワックスを施すことも可能。生活の中でワックスは剥がれていってしまうので、定期的な塗り直しが必要です。

注意したいのは、塗装後に「思っていたのと違う…」と感じるケースがあること。木目がはっきり見えたり、色が暗く感じたりするなど、樹種と塗装の種類・色の組み合わせによって仕上がりの雰囲気が変わりますので、必ず「できるだけ大きなサイズの塗り板見本」を家づくりのパートナーに依頼して、確認してくださいね。