Replanの取材先で出会う、一見するとちょっと驚くようなイケメン(!)な外観の家も、実はただ奇をてらったというわけではなく、ちゃんとした意味があってそのかたちが生まれている、と以前の記事でお伝えしましたが、今回はその続き。「家づくりって自由なんだ!」と実感させてくれるいくつかの例をご紹介しましょう。


Case1:箱の集合体

まるで縦長のコンテナが立ち並んでいるかのような白い建物。これも立派な住宅です。

縦長のコンテナが立ち並んでいるかのような白い建物

周りが駐車場に囲まれた立地のため、いちばんに求められたのはプライベート空間の確保でした。だからといって内に閉じすぎることなく開放的な空間をつくり出そうと、水まわりや寝室など、プライベートを重視する空間にだけボックス状の形を与えた結果生まれたデザインです。

箱を組み合わせてできた隙間が奥行きをつくり出し、視覚的な広がりをもたらしました。またその隙間は、はっきりとした用途を持たない自由なスペースとして、暮らしに彩りを添えています。


Case2:玄関のない家

リノベーションで生まれ変わった、福島県会津盆地の集落の入り口に位置するこの家。なんと玄関がありません!

玄関がない家

理由は、農業を生業とする村人が減るにつれ、少なくなった村人同士の交流を取り戻すきっかけになるよう計画されたからです。この村では互いの家を訪問する際に居間から声をかけるのが常。そこで設けられたのが、この印象的な大開口部なのです。

奥には土間つきの居間があり、農作業をしながら道行く人と交流ができます。シックな印象の外壁は、もともとの家の外壁の上に木板を張って仕上げています。見かけは今風に、でもそこで営まれる暮らしは、昔ながらの人のつながりを大切に。この場所にふさわしい外観のデザインです。


Case3:反転する「塀」

塀が特徴的な家

通常は、敷地境界に沿って立てる塀ですが、こちらは敷地を十字に貫くように家の中心に塀を配しているのが特徴。写真の黒い壁がその塀です。

敷地形状はごく普通の長方形ですが、すでに周囲に街路樹や垣根などの植栽がしっかりと整備されている点に目を付けた設計者は、この周辺環境を家の中からの景色として取り込める可能性を見出し、このようなかたちに設計したといいます。

塀によって、家の中から見える範囲を限定することで、かえって外の植栽の存在感とプライベート感を際立たせる。家の中と外のつながりを意識した結果生まれた、この土地の周辺環境の魅力を最大限に引き出す外観です。


Case4:パースが効いた、シャープな輪郭

一見すると平屋に見えますが、実は傾斜を利用した地階を持つ2層構造となっています。黒いガルバリウム鋼板と道南スギをまとい、手前の鋭く切り取られたようなアプローチ兼デッキスペースが、この家のシャープな印象をより一層際立たせています。

パースが効いたシャープな家

ここは、眼下に札幌の街景が広がるエリア。近隣住宅のみなさんが楽しんでいた眺望を損なわないよう建物の高さを抑えるなどの配慮がなされている一方で、この面の反対側には、美しい景色を取り込む大きな窓をレイアウトするなどして、開放感に満ちあふれた空間を実現しています。


どれも「家」という言葉から一般的にイメージされる姿とは違っていると思いますが、紛れもなく「家」であり、しかも住まい手の望む暮らし方に一番沿ったかたちにつくられている、とても理にかなった住まいです。予算や、暮らし方へのこだわりの強さ、労力のかけ方など、人それぞれではありますが、当たり前をちょっと違う角度から見てみると、新しい発見があるかもしれません。

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(文/Replan編集部)