失敗しない!リビングの壁紙リフォームのコツや注意点とは?
目次
- リビングの壁紙を張り替えるメリットとは?
- 1 部屋の印象が変わって、気分転換になる
- 2 経年の汚れや傷をリセットできる
- 張り替え前に知っておきたい! リビング壁紙リフォームの5つの注意点
- 注意点1|リビングの明るさ・広さに合った色・柄を選ぶ
- ■「心地よさ」と「手持ちの家具・インテリア」との相性がポイント
- ■色柄選びの失敗例「色が思ったのと違う!」
- ■「白」は無難だけれど、間違いなし
- 注意点2|家具や照明とのバランスを考える
- ■コーディネートの失敗例「カーテンや家具と壁紙が合わない!」
- ■インテリアコーディネートのコツ
- 注意点3|「機能性壁紙」の選択肢もチェック
- 注意点4|壁の下地の状態を確認してもらっておく
- ■壁にカビやヒビがあると、追加工事になることも
- ■リフォーム向きの壁紙が「厚い」理由とは?
- 注意点5|リフォームのタイミングと工期を考慮する
- ■まとめて済ませると効率的なことも
- ■家族の生活動線への影響、事前準備、荷物の移動は?
- ■施工日数の目安は?
- ■照明器具の交換も必要?
- 私が考える、リフォーム成功の心得とは?
- 工事会社に事前チェックを依頼
- 成功の秘訣は「冷静に、時間をかけて壁紙を選ぶ」こと
クロス仕上げの壁や天井は、長く住んでいると次第に薄汚れたり、色あせてきたり、部分的に剥がれたりシミができたりして、部屋の印象や雰囲気に影響してきます。そこで今回は、特に家族が過ごす時間の長い「リビング」の壁紙リフォームのコツや注意点について、インテリアコーディネーターの本間純子さんに教えていただきます。
リビングの壁紙を張り替えるメリットとは?
リビングの壁紙リフォームはそれなりに手間ではありますが、その労力・お金をかけるだけのメリットがあります。
1 部屋の印象が変わって、気分転換になる
壁や天井は、部屋の中で大きな面積を占めているため、リビング全体の印象に強い影響を与えます。新築から長くたった部屋の壁紙ほど、全体に汚れが付着し、色も日光や照明で焼けて変化しているもの。
例えば白い壁紙に張り替えると、部屋がずいぶん明るく見え、空気までがスッキリしたように感じます。もとの壁紙とは違う色や柄を選んだり、アクセントウォールにしたりすれば、新築のように部屋のイメージがガラッと変わって、気分も雰囲気も一新できます。
2 経年の汚れや傷をリセットできる
長年壁にかけっぱなしだった額絵を外したときに、日焼け跡がくっきりして壁紙の変色にショックを受けたことはありませんか?
壁紙は経年とともに黄ばみや黒ずみ、めくれやシミなどが目立ってきます。特にリビングは家族が長く過ごす場所なので、タバコのヤニ・油汚れ・手垢・日焼けなどの影響を受けやすいです。壁紙の亀裂や傷み、変色などは施工後10年くらいから目立ち始めます。壁紙の施工後10〜15年を目安に張り替えると清潔感が保てます。
張り替え前に知っておきたい!
リビング壁紙リフォームの5つの注意点
注意点1|リビングの明るさ・広さに合った色・柄を選ぶ
■「心地よさ」と「手持ちの家具・インテリア」との相性がポイント
リビングは毎日家族の誰かしらがいて、くつろいで過ごす場所です。そんな空間の壁紙なので、無意識であっても目にする時間が長く、色やテクスチャーからの心理的影響が大きいので「心地よさ」を基準に選ぶことが重要です。
また、面積が広い壁や天井は、リビングのインテリアイメージのベースになる要素。「手持ちの家具やインテリアとの相性」も重視したいところです。
■色柄選びの失敗例「色が思ったのと違う!」
壁紙の色選びで最もよくあるのは「思ったような色じゃなかった!」という失敗。その原因は「面積効果」。これは「面積が小さいほど色が暗くおとなしく見える」現象で、小さなサンプルでちょうどいいと思った色は、広い面積になると想定以上に明るく派手な色に見えます。
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壁紙の色デザイン選びのポイントは?「面積効果」や「対比効果」に注意
リビング以外の部屋にも言えることですが、「見本帳の小さなサンプルで壁紙を決める」のはとても危険です。また柄物の場合は「サンプルチップがたまたま無地の部位だった」というケースもよくあります。壁紙選びでは、必ずA4程度のサンプルで確認しましょう。

■「白」は無難だけれど、間違いなし
日本では特に、リビングの壁紙に「白系の色」を選びがちですが、家具やカーテン、額絵、観葉植物などの背景としての役割を考えると、無難で失敗の少ない選択です。アイボリーやベージュを含む白系の壁は、日本人の黒い髪や肌の色をきれいに見せる効果があるようにも感じられます。
「無難すぎて面白みがない」と感じる人は、表面にエンボス加工が施されているなど、凹凸の陰影で表情が変化する白系の壁紙を選ぶと、失敗が少ないかもしれません。
ちなみに、床→壁→天井の順に色の明度を高くしていくと、天井が高く見えて、広くて明るい安定感がある空間になりますよ。
注意点2|家具や照明とのバランスを考える
■コーディネートの失敗例「カーテンや家具と壁紙が合わない!」
リフォームだと、カーテンや家具はそのままで、壁・天井だけ張り替えるケースが多くあります。その場合、お手持ちの家具やカーテンの色・デザインを無視して壁紙を選ぶと、チグハグな取り合わせになりがちなので要注意です。
失敗しないためには特に、空間に占める面積の広い「ソファ」や「カーテン」との色や質感との相性を気にして壁紙をチョイスすることがポイントです。
■インテリアコーディネートのコツ
壁紙の素材感(テクスチャー)選び
色に目が行きがちな壁紙ですが、住宅の場合は壁との距離が近いため、視覚的に素材感の影響を大きく受けます。よく使われるビニールクロスは、細かな凹凸があったり、塗り壁風だったりと商品で質感が異なり、受ける印象もさまざま。「やわらかい」「スタイリッシュ」「和風」など、手持ちの家具やカーテンと似たイメージの壁紙を組み合わせると、しっくりきます。
ぶれないイメージを持って貫く
自分の目指すイメージからズレたものを取り入れることが、「統一感がない」「オシャレに見えない」という悩みのもとです。たくさんの壁紙サンプルを眺めていると、ついつい浮気しそうになりますが、ブレないイメージを持ち続けること。それが納得のリビングリフォームにつながります。
好きなものにこだわり続けるのもよい方法です。「好き」には「好みのスケール」があって、そのスケールで測れないものは、選ばれません。自分自身のスケールを知ることが、インテリアコーディネートの成功への近道です。
注意点3|「機能性壁紙」の選択肢もチェック
今は、防汚・消臭・抗菌などが期待できる「機能性壁紙」の種類も増えています。
主な機能の種類 | 働き |
防汚 | 汚れが付きにくく、汚れを落としやすい。ペットや小さいお子さんのいる家庭では重宝 |
消臭 | 臭いのもとを吸着・分解して、気になる臭いを軽減。即効性はないが、ゆるやかにリビングの空気環境を改善してくれる |
抗菌 | 菌やアレルゲンを吸着して不活性化。免疫力が低いなど体が弱い方やアレルギー体質の方向きの選択肢 |
なお、防汚機能のある壁紙やキズがつきにくい壁紙は、表面にフィルムを貼っている製品が多く、ツルツルした感触で若干硬さがあります。
表面を強化した壁紙は、施工後に壁紙の継ぎ目が開きやすい傾向があります。特にリビングは壁面積が広いので目立ちます。それを踏まえてリフォーム会社と相談しながら壁紙を選ぶと、こういった施工上のトラブルは回避できやすいです。
注意点4|壁の下地の状態を確認してもらっておく
■壁にカビやヒビがあると、追加工事になることも
壁紙の張り替え時期が来た住宅では、「壁や天井が膨らんでいる」「シミのような模様が広がっている」などの現象が見られることがよくあります。
壁の下地がゆがんでいたり、カビやヒビで傷んでいたりすると工事範囲が広がり、作業内容も必要な材料も増えます。自身でチェックするのはもちろん、リフォーム会社にも状況を確認してもらって見積もりを依頼すると、追加工事やそれによる予定外の工事費のアップを防ぎやすくなります。
■リフォーム向きの壁紙が「厚い」理由とは?
下地と関連して知っておきたいのが、「リフォーム向きの壁紙は厚い」という点。これには理由があります。
壁・天井の下地材は、時間経過とともにボード同士に段差ができたり、ボード自体がゆがんだりすることがあります。またリフォームでは、いざ壁紙をはがそうとしても裏紙が下地材にくっついたまま残ってしまうこともあります。
既存の下地材を利用する場合、基本的にその表面はフラットではありません。壁紙が薄いと、下地材表面のわずかな凹凸まで拾ってしまい、仕上がりに影響します。パテなどで調整しますが、それでも限界があります。
リフォーム向きの壁紙は厚いのは、それが理由です。「塩化ビニル層」が厚いリフォーム向きの壁紙を選べば、下地の凹凸が表面に響くことなく美しく仕上がります。
壁紙の各メーカーは「リフォーム用の壁紙見本帳」を用意しています。既存の下地材を生かしてリフォームする場合は、間違えて新築向きの壁紙から選ばないよう注意が必要です。
注意点5|リフォームのタイミングと工期を考慮する
■まとめて済ませると効率的なことも
リビングだけでなく、隣り合うダイニング・キッチンや玄関ホールまで壁紙リフォームをまとめて済ませると、時間・労力・費用の面で効率的なこともあります。リビングだけの場合と、工期や費用がどのくらい違うかをあらかじめリフォーム会社に確認して検討するといいでしょう。
リフォームとはいえ、部屋が自由に使えなかったり、人が何人も出入りしたりする状況は、かなりストレスがたまって疲れます。ご自身のスケジュールと工期を正しく把握し、ゆとりを持って進めることが重要です。
■家族の生活動線への影響、事前準備、荷物の移動は?
いざ工事をするとなると、家具や荷物の移動が必要になります。これがリフォームで最も面倒で大変な作業です。何をどこにどう移動しておけばいいか、事前にリフォーム会社と打ち合わせておきましょう。
リビングボードやキャビネットの中のものはすべて出して、できるだけ空にしておきます。そのほかの家具などは、可能ならご自身で移動したり、カバーなどをかけておいた方が安心です。
一般的にカーテン、カーテンレール、ふさかけ、照明器具、スイッチプレート、コンセントプレートはすべて職人が外して壁紙を張り替えます。パネルヒーターやエアコンはそのままで工事ができます。
ただしエアコンの買い替えを予定している方は、エアコンの脱着のタイミングを合わせれば、工事や業者の出入りの重複を避けることができます。費用や仕上がりにも影響するので、しっかりと段取りをしておきたいところです。
■施工日数の目安は?
壁紙リフォームの工事は、リビングだけでしたら通常1〜2日で終了します。下地の状態が悪くて調整に時間がかかると、工期が長引くことがあります。
壁紙は、床や隣の部屋にホコリなどが流れないように養生をしてから剥がします。ホコリがかなり舞うので、工事終了までは室内には入らないようにしましょう。
■照明器具の交換も必要?
照明まで取り替えてリビングの模様替えをするなら、天井の壁紙を張り替えるタイミングで照明器具も交換すると効率的です。
また「蛍光灯」の照明機器をお使いの方にとっても良いタイミング。国内主要メーカーは、2027年9月末をもって蛍光灯の生産を終了します。2027年末で輸入も禁止されますので、少し先の将来に備えて省エネ性に優れるLED照明に交換しておくと、月々の電気代も後々の手間も減らせます。
私が考える、リフォーム成功の心得とは?
工事会社に事前チェックを依頼
軽微な工事であるリフォームでも、スムーズに安心して進めるためには事前の準備が大切です。たとえシンプルな間取りのリビングでも、リフォームを依頼する工事会社の人に来てもらって、現状や工事までの段取りなどを確認をしておきましょう。
成功の秘訣は「冷静に、時間をかけて壁紙を選ぶ」こと
私が担当するお客様でもそうですが、たくさんの種類の中からお気に入りを見つける「壁紙選び」は楽しく、ついついテンションが上がりがち。気持ちが盛り上がっていると、他の候補は目に入りません。でもしばらく時間をおいて冷静になって改めてみると、「やっぱり違うかも」と思い始めます。
家づくりでは「冷静さ」と「考える時間」の2つがとても重要です。特に壁紙は工事に着手したら変更できず、仕上がりに不満を持ちやすいので、気持ちが舞い上がった状態で判断するのはとても危険。気持ちを落ち着かせて、冷静な目で見て、周囲のアドバイスも考慮しながら選ぶことが、成功の秘訣です。
「インテリア選びは急がない」がポイントですね。
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