初心者ヒラシマさん、レモンバームの室内での育て方・楽しみ方を学ぶ

公開日：2025.6.20 最終更新日時：2025.6.20

レモンのような爽やかな香りがふわり——。その名の通り「レモンバーム」は柑橘系のすっきりとした香りが魅力のハーブです。葉を指でこすると、たちまち心がほぐれるような香りに包まれます。

「自宅で育てたレモンバームでお茶を淹れてみたいんです」と真剣な眼差しで話すのは、リプランスタッフのヒラシマさん。これまで観葉植物すら育てたことがないという彼女が「自家製ハーブティーだなんて、これはまさに“丁寧な暮らし”…！」と、密かに抱いていた夢を叶えるべく訪れたのは、「Flower Space Gravel 江別店」です。同店スタッフの齊藤美百（みゆ）さんに、レモンバームの育て方や美味しいハーブティーの楽しみ方を教えていただきました。

江別蔦屋書店の一角にある「Flower Space Gravel 江別店」。外には庭に植えたくなる多種多様な植物が並んでいる

レモンバームは半日陰がお気に入り。
水やりは土が乾いているのを確認してから

ヒラシマ　何もかもが初めてで、とても緊張しています……。一体、何から聞いていいのか……。

齊藤　私も緊張してきました（笑）。そうしたらまずは、レモンバームの特徴をお教えしますね。レモンバームは「香りを楽しむハーブ」です。生食で料理として食べることもありますが、基本的には料理や飲み物の香りづけとして使われることが多い植物です。ヒラシマさん、ぜひ葉を指でこすってみてください。

ヒラシマ　はい！（と言って指で葉をスリスリ）……わ！すごいレモンの香りがします！

齊藤　良い香りですよね！私も大好きです。リラックス効果があるし、料理にも使えるので、レモンバームはとても人気のハーブです。品薄になってしまうことも多いんですよ。

ヒラシマ　レモンバームって一年中、葉があるのですか？

齊藤　冬は「成長休眠期」といって葉の成長が止まりますが、室内で管理していれば葉が落ちてしまうことはありません。暖かい時期になると、新芽がたくさん出てきます。

ヒラシマ　私は植物を育てるのが初めてですが、室内でレモンバームを育てるコツはどんなことですか？日当たりとかも心配で……。

齊藤　レモンバームは基本的に「室内でも育てられる植物」です。一番適している環境は「明るい半日陰」の場所。直射日光が長時間当たる場所に置いてしまうと、葉が茶色く焼けてしまうことがあります。

ヒラシマ　外に置くのはむしろ避けた方がいいのでしょうか？

齊藤　生育には問題ないですが、葉焼けのリスクは避けられません。鑑賞用としても楽しむのであれば、室内がおすすめです！

ヒラシマ　ちなみに水やりはどうすれば……？

齊藤　レモンバームは「乾燥が苦手な植物」です。土を触った際に表面がしっかり乾いていたら水をあげてください。土がカラカラになるまで放っておいてしまうと、水枯れで弱ってしまいます。毎日ではなくても良いですが、土を触って確認するようにしてあげるといいですね。

ヒラシマ　水はどれくらいの量をあげれば良いのでしょうか？

齊藤　水は鉢の底から水が出るくらいまでたっぷりあげてください。土全体に水をかけることを意識して、土の中に張られた根にもしっかり水が行き渡るように。

ヒラシマ　なるほど、分かりました。あと、レモンバームに肥料は必要ですか？

齊藤　肥料は必要ですが、与え過ぎると香りが薄くなってしまう可能性があるので、少なめにしてください。ハーブ用の肥料には置くタイプとお水に混ぜる液体肥料タイプがあります。置くタイプは2ヵ月くらい置いておく程度で大丈夫です。液体肥料は2〜3週間に1回くらいが目安になります。

「蒸れ」と「乾き」に要注意！
レモンバームの上手な剪定方法と温度管理方法とは？

齊藤　日当たりへの配慮と水やりのほかに必要なのが「葉の剪定」です。

ヒラシマ　葉を……切るのですね！

齊藤　レモンバームは「蒸れ」に弱いんです。葉が込み合っていると蒸れやすいので、葉と葉が重なり合わない程度に剪定してあげてください。葉が蒸れると黒くなってきます。そういった葉を見つけたら、すぐに切り取ってくださいね。蒸れの予防には、「風通しの良い場所」に置くといいですよ。

ヒラシマ　そうなんですね……！剪定する際はどの部分を切れば良いのでしょうか？

齊藤　剪定時は、新芽の少し上の部分を切ってください。切った部分からはまた新芽が出てきて、全体的に間延びせずにこんもりと良い形に仕上がっていきますよ。また、レモンバームは花が咲きますが、花が咲くと花に栄養が取られてしまいます。香りや葉を楽しむ目的で育てるなら、葉の成長を促すためにも花は摘み取ってください。

ヒラシマ　花、摘みます！あと、これから夏に近づくにつれて、室内の温度も上がってきますが、温度管理のポイントも教えてほしいです。

齊藤　生育気温が15℃から30℃なので、夏もそこまで心配する必要はありません。ただ、蒸発量が増えていくので、土の乾きには要注意です。土の湿り具合には十分に配慮してあげてくださいね。

ヒラシマ　蒸れのことを考えると、風通しの良い窓辺などに置いた方が良いですよね。

齊藤　距離を保ちながら、扇風機を使って自然な風の流れをつくるのもおすすめです。エアコンの場合も、風を直接当てないように距離を確保してください。夏に限らず、エアコンの風は乾燥を招き、葉が傷んでしまいます。

ヒラシマ　例えば、夏は外で育てるというのはどうでしょう？

齊藤　外でも元気に育ちます。ただ、暑さや蒸れに弱いので、枝が混み合ってきたら剪定して、通気性を良くしてあげることが必要です。

ヒラシマ　耐えられる寒さはどれくらいなのでしょう？

齊藤　−5〜−7℃程度までなら寒さに耐えられます。霜が降りる屋外でも根が守られていれば、春にまた芽吹きますよ。

気になる「虫対策」の方法とは？

ヒラシマ　昔、実家の観葉植物に大量のアブラムシがいるのを見たのが衝撃的で、虫がわかないか不安なのですが……。

齊藤　虫は気になりますよね。対策ですが、ホームセンターなどで売っている「木酢液（もくさくえき）」を水で薄めて霧吹きで撒いておくと、虫除けの予防になります。1週間に一度でも効果がありますよ。また、虫も蒸れのある場所に集まってきますから、風通しの良い場所に置くのも虫対策になります。あとは、匂いの強いミントの香りも効果的。「ハッカ油」を水で薄めてスプレーする方法もありますね。