友人夫妻が暮らすフィンランドのアパートを訪ねました。

公開日:2025.7.11 最終更新日時:2025.7.10

フィンランド滞在中のReplanスタッフがお届けする、北欧の暮らしや建築のこと。

先日、フィンランドに来てから知り合って、日頃からとてもお世話になっている友人夫妻の自宅に招いてもらいました。お二人は日本人のご主人とフィンランド人の奥さまという国際カップルです。

フィンランドに定住している方のお宅訪問は、今回が初めて。普段アパートの外観を眺めることはあっても、実際にお部屋に足を踏み入れる機会はなかなかないので、「どんな暮らしなんだろう??」とワクワクでした。

玄関に入ると、間仕切りを兼ねた玄関収納

住居は築1〜2年ほどという築浅のアパートの一室。間取りは1LDKで、全体の広さはおそらく60〜75㎡ほどでしょうか。玄関に入ると、間仕切りを兼ねた玄関収納。日本の集合住宅では見ないレイアウトです。

収納はスライドドアの面材が鏡になっていて、身支度のチェックに便利なのはもちろん、コンパクトな空間を広く明るく見せる効果もあります。フィンランドらしい合理的で機能的な工夫です。

収納の中はコート掛けになっていて便利

収納たっぷりで使いやすそうなキッチン

キッチンは壁付け。白で統一されたシンプルなデザインです。それなりの広さがあって、二人で立って作業するのも問題なさそう。吊戸棚は、調理台での作業のしやすさに配慮して奥行きは狭め。あまり見ない位置にオーブンレンジが置かれていますが、何気に使いやすそうです。

好きなもので満たされたリビング・ダイニング

■アートや植物が空間の心地よさをつくる

室内は、オフホワイトを基調としたシンプルな内装。ゆえにインテリアがよく映えます。友人夫妻の家は、奥さまがこれまでに少しずつ集めてきたというアートや植物が部屋の随所に飾られていて、そのどれもが空間によくなじんでいました。

前の家から引っ越す際に物をずいぶん減らしたそうですが、「好きなもの」を丁寧に選び取って残したことが感じられます。アイテムは落ち着いたグレーやグリーン、木の温もりを感じるブラウンなどが中心で、この色の統一感が空間に心地よいリズムを生み出していました。

■住まいとしての性能も十分

アパート自体の基本性能も、当然ながらしっかりとしています。暖房は、北海道ではおなじみのセントラルヒーティング。窓の下などに設置したパネルヒーターで部屋全体を暖める仕組みで、室内の温度が均一に保たれ、冬の寒さもほとんど気にならないとのこと。

特定の部屋だけが寒い、あるいは暑すぎるということもなく、家のどこにいても快適に過ごせる環境が整っています。

窓はペアガラスの二重窓で、断熱性に優れています。冬が長くて寒いフィンランド。室温が外気温に左右されにくいことは、住まいにとって重要な性能です。またこの窓は遮音性が高いのもポイント。特にリビングはすぐ外にベランダがあることで、通りを走る車の音や人の声が遮られてほとんど気にならず、快適に過ごせます。

過ごし方のバリエーションを増やす、広いベランダ

リビングの外にある広めのベランダは、テーブルとチェアを置いた素敵なアウトドアリビングになっています。気候が穏やかな時期には、ここで朝食やコーヒータイムを楽しむこともあるそう。アパートとはいえ、こうした「屋外の居場所」があるのはとても贅沢に感じられます。

ベランダは屋根があって、日中も日射しを避けながら外部空間を楽しめる

水まわりは、海外らしいホテルライクな仕様

タオルやシャワーカーテン、入り口のマットなどはオレンジとグリーンでコーディネートされた水まわり。黒いタイルの床、白い大判のタイルの壁、木仕上げの天井材の組み合わせが素敵な内装で、欧米らしいホテルライクなワンルーム仕様です。浴槽はなく、シャワーカーテンで仕切っただけのシャワーコーナーが部屋の一角に設けられています。

ペットとの暮らしも楽しめる

フィンランドは、カフェや電車、バスなど公共の場所でも基本的にペットの同伴がOKな国。賃貸住宅でもペット可のところが多く、友人夫婦も2匹のワンちゃんと暮らしています。愛犬たちがいることで、住まいがいっそう穏やかで親密な印象になっているように感じました

この子たち、可愛すぎた
この子たち、可愛すぎた

賃貸アパートで感じた「フィンランドらしさ」

友人宅を訪問して特に印象的だったのは、「部屋の内装がミニマルであること」です。それはまるでまっさらなキャンバスのよう。設計した会社側があえてそうしているのだと思いますが、「暮らし方を住人に委ねる」というフィンランドの住文化が背景にあるのだと推測します。

空間デザインに「余白」があるので、住人は自分の趣味や気分に合わせて、空間を自在にアレンジできます。北欧らしい「居心地のよさ」へのこだわりと、無理のない自然体の暮らしを大切にする文化が、このアパートを通して垣間見えた気がしました。

ムーミン柄のマグとたくさんのフィンランドのお菓子で、もてなしていただきました
ムーミン柄のマグとたくさんのフィンランドのお菓子で、もてなしていただきました

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