キッチン作業台の理想の高さは?身長別の目安と選び方のポイント
Replanが教える家づくりに必要な基本、あれこれ。
目次
- なぜ、キッチンの「高さ」が重要なのか?
- キッチンの高さを決める基本の計算式は、信じてもいい?
- 計算式はあくまで目安。自分の使いやすさをしっかりと探る
- ストレスが少ない「使いやすいキッチンの高さ」とは?
- 1. 理想的な姿勢とは
- 2. 作業別・注意したいポイント
- キッチンの高さを選ぶ際の、重要チェックポイントとは?
- ①「今使っているキッチン」を基準にチェック
- ②ショールームで正しく確認
- ■「靴を脱いで」確認する
- ■すべてのスペースで動作を試す
- 理想の高さに近づける「微調整テクニック」とは?
- ■「身長が高い方」に合わせたほうが、調整しやすい
- ■高い →「スリッパ」や「キッチンマット」で調整
- ■低い →「まな板の厚み」で調整
- ■「シンクマット」で負担軽減
- まとめ:1〜2㎝の妥協が「毎日のストレス」に変わる
多くの人にとって、家づくりで楽しいことの一つがキッチン選び。どんなレイアウトで、どんな色や素材を使って……と考えることがたくさんありますが、先々までの使い勝手の面では、作業台の「高さ」がとても重要です。そこで今回はインテリアコーディネーターの本間純子さんに「身長に合わせたキッチンの理想の高さ」について教えていただきます。

なぜ、キッチンの「高さ」が重要なのか?
キッチンの作業動線には、洗う(シンク)、加熱する(コンロ)、配膳(カウンター・食器棚)という横方向の動きと、吊り戸棚(ウォールキャビネット)やカウンター下収納(フロアキャビネット)を使うときの縦方向の動きがあります。
横方向の動きは、間取りや面積に影響されますが、縦方向の動きは「キッチンを使う人の身長」によって決まり、その基準は「キッチンカウンターの高さ」です。

キッチンカウンターが低いと、腰に負担がかかって作業がしにくいですし、高すぎると常に腕が上がってしまって、肩や腕が無駄に疲れてしまいます。いずれの場合も作業効率が低下しますし、健康にも良くありません。
キッチンの高さを決める基本の計算式は、信じてもいい?
インテリアコーディネーターのテキストには、「キッチンカウンターの高さの目安は『身長÷2+5㎝』の計算式で求められます」と書かれています。これに日本人女性の平均身長157㎝を当てはめると、
157÷2+5=83.5㎝
となります。
キッチンメーカーのシステムキッチンの多くは、80㎝・85㎝・90㎝の選択肢をそろえていますが、素直に計算式の結果に一番近い高さ「85㎝」を選んでいいのでしょうか?
ちなみにキッチンの高さ80㎝・85㎝・90㎝に対応する身長を計算すると、以下がベストな組み合わせとなるようです。
| システムキッチンの高さ | 計算式から導き出された適正身長 |
| 80㎝ | 150㎝ |
| 85㎝ | 160㎝ |
| 90㎝ | 170㎝ |
この計算式をもとにした場合、身長155㎝の人は、80㎝と85㎝のどちらの高さを選べばいいのでしょうか。私個人としては、5㎝の身長差を同じに考えるのは少し無理があるように思えます。
計算式はあくまで目安。自分の使いやすさをしっかりと探る

例えば、身長162㎝の私の友人にとって適正なキッチンの高さは、計算式に基づくと「86㎝」です。しかし計算上で最も近い「85㎝」では低く感じると言います。
私は身長150㎝で、高さ80㎝のキッチンを使っています。食材を切ったり、料理を盛りつけたりする作業は問題ありませんが、野菜や鍋を洗うシンクでの作業は腰が辛く感じます。こういった周囲の話や自身の経験から、計算式から導き出された高さが必ずしも使いやすいわけではないと考えます。

キッチンメーカーによっては、高さ80㎝・85㎝・90㎝の標準仕様のほかに、82.5㎝や87.5㎝ に高さ調整ができるスペーサーを用意していたり、1㎝刻みで高さ設定ができる商品をそろえているメーカーもあります。また造作のキッチンであれば、1㎝単位で高さを指定することができます。まずは、自身にとって使いやすい高さを探ることが必要です。
ストレスが少ない「使いやすいキッチンの高さ」とは?
1. 理想的な姿勢とは
キッチンの理想的な高さとは、
真っすぐに立った状態で、無理なく自然に作業ができる高さ
です。背筋を伸ばしたまま、肘を軽く曲げてスムーズに手が届く状態が、体への負担が最も少ない姿勢といえます。

2. 作業別・注意したいポイント
ただし作業の種類によって、「使いやすさ」の体感は以下のように異なります。
| 作業内容 | 理想の姿勢と注意点 |
| 切る・混ぜる・盛る | 背筋が伸びた自然な姿勢で行いたい基本作業 |
| 洗う(シンク) | 姿勢が崩れやすく、腰に最も負担がかかる。低すぎるとそのつらさが増す |
| 焼く・炒める(コンロ) | 五徳(ガスコンロの場合)の分だけ高さがプラス。高すぎると深い鍋ほど中が見えにくく、腕を上げ続けるため肩に負担がかかる |


キッチンの高さを選ぶ際の、重要チェックポイントとは?
①「今使っているキッチン」を基準にチェック
新しいキッチンの検討を始めたら、まずは「今使っているキッチン」をチェックしましょう。特に高さは今の使いやすさ・使いにくさが基準となります。
今のキッチンで「高い」または「低い」と感じるポイントはありませんか?以下の項目をチェックしてみましょう。
| 「今のキッチン」チェックポイント | ||
| □ | 足元の環境 | 普段スリッパを履くかどうか、使っているキッチンマットの厚み |
| □ | まな板の厚み | 愛用するまな板の厚みは?(1〜3㎝で作業性が大きく変わる) |
| □ | 作業スタイル | 魚をシンクの中でさばくか?その際にまな板を二重にするなどの習慣はあるか |
| □ | よく使う調理器具の高さ | よく使うフライパンや深型鍋のふちの高さはどのくらいか? |
| □ | 身体のサイン | 調理中や洗い物の後、腰・肩・腕に「つらい」「痛い」と感じることは?無理なく作業ができているかどうか |
なんとなくの使いにくさも、実は「数㎝の高さのズレ」が原因かもしれません。今のキッチンの
- 天板の高さ
- シンクの深さ
- 五徳の高さ(ガスコンロの場合)
を実際に測っておきましょう。
②ショールームで正しく確認

ショールームでは、展示品のキッチンの前にただ立ってなんとなく見るのではなく、以下のポイントに注目して実践することが大切です。
■「靴を脱いで」確認する
靴を履いたままだと数㎝高くなってしまいます。備え付けのスリッパに履き替えるか、普段使っているスリッパを持参して立って高さを確認しましょう。
■すべてのスペースで動作を試す

「シンク」では、洗い物をする姿勢になって腰に負担がないかを確認。「作業スペース」では、まな板(ショールームにある場合はそれを使用)を置いて切る動作をし、「コンロ」のところでは、鍋を置いて中をのぞいたり、かき混ぜたりする動作をしてみましょう。IHかガスコンロか決めかねている方は、両方を比較して高さ感覚の違いを確認しておくと安心です。
こういったことをショールームで行うのを少し恥ずかしく感じる方もいるかもしれません(!)が、家ができてから後悔しないために、ぜひ実践してほしいところです。
理想の高さに近づける「微調整テクニック」とは?
■「身長が高い方」に合わせたほうが、調整しやすい
キッチンカウンターの高さは合っていても、「シンクが深い」、「コンロの五徳が高い」など、すべてが及第点に至らないことがあります。
また、キッチンは夫婦や親子など、複数人で使う場合もあります。キッチンを使う家族間で身長差がある場合、キッチンは一般的には「高い方の身長」に合わせて設計したほうが調整しやすいです。では、身長が低い人はどうしたらいいのか?そんな時の「高さの微調整テクニック」をご紹介しますので参考にしてください。

■高い →「スリッパ」や「キッチンマット」で調整
「スリッパ」や「キッチンマット」で調整するのが、最も手軽で効果的な方法です。身長が高い方の使い勝手に合わせたキッチンでは、低い方が厚底のスリッパや室内履きを履くことで調整するといいでしょう。
また「身長に合わせたはずなのに、なんだか少し使いにくい…」という場合、1㎝厚ほどのキッチンマットを敷くだけでも、腰への負担が驚くほど軽減されることがあります。
■低い →「まな板の厚み」で調整
「キッチンが低くて腰がつらい」と感じる場合は、厚みのあるまな板(3㎝程度)を選ぶことで、包丁を使う際の手元の位置を高くできます。
■「シンクマット」で負担軽減
シンクマットには高さ調節機能はありませんが、鍋などを洗う際の滑り止めの役割を果たします。余計な力を入れずに作業できるため、腕や肩の疲労軽減につながります。

まとめ:1〜2㎝の妥協が「毎日のストレス」に変わる
キッチンの高さ選びで最も大切なのは、計算式よりも「実際の体感」です。計算式はあくまで目安。腕の長さや姿勢、使う調理器具によって最適な高さは人それぞれです。日常の動きを振り返って自分軸での使い勝手の良しあしを探り、身長に加え、肘の高さやコンロの種類(ガスかIHか)、現在の不満点を総合的に判断することが大切です。
また「キッチンの高さは、身長が高い方に合わせたほうが使いやすい」とはいえ、夫婦間や家族間で身長差が大きいと、誰かに負担がかかります。キッチンに立つは主に誰なのか?、キッチン仕事の役割分担は?など、ご家庭の実態をしっかりとふまえて検討することが必要です。
キッチンは毎日使うものです。1〜2㎝の高さの違いがストレスフリーの近道になることがあります。妥協することなく、ショールームも活用しながら、自分に合ったキッチンを選んでくださいね。

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