「Q1.0住宅のプロトタイプデザイン」(1/3)

建築家の設計する家

最近、建築家の設計した家を、住宅雑誌でよく見るようになりました。さすがにデザインはハウスメーカーや工務店の建てた家と比べるとひと味違った新鮮さを持つものも多いですが、時には奇抜さを狙ったとしか思えない首をかしげたくなるようなものもあります。

各地の建築家協会の若手建築家も、住宅設計の施主獲得を目指していろいろな活動を展開しています。しかし、家を建てようとする一般の人にとっては、まだまだ敷居が高いのが現状で、坪単価の高い高級な家が多く、高い設計料も必要、施主側の思いをどれだけ受け止めてくれるか不安を感じるなど、庶民にとっては高嶺の花なのです。

私は、高断熱住宅を建て始めた頃から、住宅を建てようとする人たちに「住宅設計を得意とする設計事務所に依頼することは、結局は安く付くことになる。熱性能はとても大事だが、プランを練るのに十分時間をかけ予算をきちんと伝えて良い家をつくることを目指しましょう」と言ってきました。

それでも中々踏み切れないもので、室蘭で知り合った設計のとても上手な設計家に、地元の高断熱の技法をマスターしたホームビルダーを紹介し、基本設計と仕上げのデザインの押さえだけをすることで設計料を安くすることを提案、以来30年、百棟以上の住宅がつくられました。

住宅はどれもとても好評でビルダーと設計家は大成功を収めています。これまで新住協内部の第5回の住宅コンペでいつも優秀賞をさらってきました。設計家の彼も高齢になりそろそろ引退かもしれません。

設計事務所の設計での問題は、高断熱住宅に対する冷淡な態度にあります。こうした事務所には設計を頼まないほうが良いでしょう。いくらデザインが良くても、日々の暮らしの温熱環境が不十分な家では結局不幸に暮らすことになるからです。そもそも高断熱工法の開発によって、デザインの自由度がとても高くなり、吹き抜けのある開放的な家、大きな開口部を持つ外部に開かれた家、力任せの床暖房などがなくても快適に住める家を建てることができるのです。

こうした技術上の情報を無視して、あるいは勉強もせずに自分のデザインだけを展開する建築家と称する人たちが、今でもあまりにも多いのが現状です。