恐怖の西日エネルギーを検証する

それでは、西日が窓から入るとどれほど温度が上昇するのでしょうか。図5に示す大学屋上の実験棟で実験してみました。この実験棟は方位を自由に変更できるため、2016年8月4日(南向)、5日(西向)で方位を変更してみました。両日とも快晴で、外気温度も最大35℃と同じような天候の日でした。

図5 クルリとまわる実験棟
図5 クルリとまわる実験棟
東京大学工学部1号館上の回転する屋上実験棟です。南に向けた場合(左:8月4日)と西に向けた場合(中:8月5日)で室内環境の比較をしてみました。建物の断熱はQ値2.16、U値0.39。開口部のガラスはクリアのペアガラスです

図6に、南向き・西向きの場合それぞれの室内のサーモ画像を示しました。南向きの場合は、昼間に窓際に若干の日射が入っていますが、それほど大きな温度上昇は見られません。西向きの場合は、午後から部屋奥まで強烈な日射が入射し、室内が高温となっていくのがよく分かります。

図6 西日の恐怖
図6 西日の恐怖
屋上実験棟の中のサーモ画像です。南向の場合は開口部からそれほど日射は入りません。一方で西向きの場合は、午後から強烈な日射が部屋奥まで入り込み、温度が急上昇していることが分かります

両日の気温の変化を示した図7をご覧ください。南向きの場合はピーク温度36.3℃、最低温度からの上昇分は5.7℃なのに対し、西向きの場合はピーク温度が42.8℃、温度上昇は10.6℃にも達します。西窓からの日射の影響の方が南窓よりもはるかに大きいことは、「日を見るように」明らかです。

図7 西向きの場合は室温急上昇!
図7 西向きの場合は室温急上昇!
屋上実験棟内部の気温の変動を示します。南向きの場合は室温は日中に穏やかに上昇しますが、西向きの場合は夕方に急上昇します。西日のエネルギーの大きさがよく分かります

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