横殴りの日射を防ぐには

このやっかいな西日を防ぐには、どうすればよいのでしょう。日射遮蔽でよく用いられる庇は、太陽高度が高い南窓には有効ですが、低い角度から入る西日にはあまり効果がありません。ガラスを日射遮蔽型にするのも効果的ですが、後付けできるもっと手軽な方法を考えてみましょう。

ガラスは太陽の光は通しますが、一度吸収した熱の放射は通さない、一方通行の性質を持っています。これがガラスの「温室効果」の原因です。つまり、ガラスの内側に熱を入れてしまってはダメ。ガラスの外側で遮蔽することが肝心です(図8)。ベストなのはドイツなどでポピュラーな外ブラインドですが、高価でメンテナンスも必要で、強風時の安全性にも不安があるなど導入のハードルは低くありません。

図8 遮蔽部材は外付けがベスト!
図8 遮蔽部材は外付けがベスト!
内ブラインドのように日射を一度入れてしまう遮蔽方式よりも、すだれのようにガラス外で日射を防ぐ方法の方が効果は大きくなります

昔からある「すだれ」は、簡便で安価であり、採光やプライバシーの観点からもバランスが取れていてお勧めです。毎年交換するものと割り切れば、耐久性も問題になりません。DIYショップなどでガラスの外側で防ぐ遮蔽部材を優先して選んでください。

涼しい温熱環境のためには?

夏の不満の第一である「西日」対策の次は、「上部の熱のこもり」を解決することにしましょう。ただこの問題は少しやっかいなので、その前にそもそも涼しい環境とは何かを先に考えてみることにしましょう。

すでにこの連載のvol.008でお話ししたように、人間は代謝で発生する熱を常に放熱しなければ、オーバーヒートをして死んでしまいます。室内では、周りの空気との熱のやりとりである「対流」と、周辺物との遠赤外線によるやりとりである「放射」の2ルートが重要になります。この2ルートによる放熱が適切に行える環境が「涼しい環境」というわけです。

このうち、空気とのやりとりである「対流」は理解しやすいと思います。エアコンをつけて吹き出し温度を下げるとか、通風や扇風機で空気を動かすなどといった工夫は、すべてこの対流による放熱量を増やすためなのです。

しかし、この実感しやすい対流ばかりを考えていては、快適な涼しさは手に入りません。ここではもう1つのルートである、「放射」による放熱を考えてみましょう。

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