既存の建物に手を加えてつくるリノベーションでは、優先順位のつけ方を間違えてお金のかけどころを誤ったり、下調べが不十分だったりすることが、大きな失敗や後悔の引き金になります。そこで今回は、先人たちの後悔・失敗エピソードと対策をご紹介。新たな住まいで気持ちよく暮らせるためのポイントを知って、上手にリノベを進めましょう!


寒さ対策で、失敗!

  • コストダウンのために玄関とLDKの間のドアを付けなかったら、玄関からの冷気がが思った以上に入ってきて、結局追加工事になってしまった。
  • LDKや水まわりは窓の断熱を強化したものの、コストの点から「寝るだけだし」と寝室を既存のサッシのままにしたら、せっかくリノベしたのに寒くて朝がツラい。窓にはお金をかけるべきだった。
  • 間仕切り壁をなくして広いLDKに間取りを変えたのに、暖房計画を見直さなかった。そのために暖房効率が悪くなって、光熱費が上がってしまった。

家の中の心地よさは、温熱環境がかなり大きく関わっています。そのため、暑さや寒さへの対策を怠ることは、大きな後悔のもとになります。夏の暑さや冬の寒さは、住まい手の快適度を下げてしまうため、断熱改修工事はとても重要。月々の冷暖房費にも関係していて、住宅性能を向上させるリノベーションを重視した住まいではよく「光熱費がとても安くなった」という声が聞かれます。工事にお金がかかったとしても、長い目で見ると無駄にはならないので、ぜひ優先させたいですね。

下調べ不足で後悔!

  • 木造在来工法なのか、軽量鉄骨造なのか、躯体の構造を事前に確認せずに物件を購入。いざ設計に入ったら、構造的に思い描いていたプランでのリノベができないことがわかった。
  • 屋根の工事で雨漏りが、水まわり工事でシロアリ被害が発覚。次々に想定外のダメージが見つかって、計画を見直さざるを得なくなった。
工事を始めてみないと、本当の状態が分からないということは、リノベでは往々にしてあります。ただし、経験豊かな技術者であれば、建物の現地調査時にその様子から予測がつけられることも多くあります。その意味では、リフォームやリノベーション工事の経験が豊富な設計・施工業者に依頼することが、後々後悔しないためにはとても重要です。
 
なお「ホームインスペクション」という住宅の状態や性能をプロの目で客観的にチェックしてもらう住宅診断もあります。ほとんどが有料ですが、住宅の状態に自信が持てなかったり、心配で後から想定外のことが起きるのをできる限り避けたいとお考えだったりする人は、保険的な意味合いで「ホームインスペクション」を活用するのもひとつの手です。

使い勝手で失敗!

  • 壁付けのキッチンを憧れだった対面キッチンに変えたら、作業スペースが狭くなって動線が悪くなり、使いにくくなってしまった。
  • リノベで造作した勉強カウンターの天板の高さが、前の家で使っていた椅子と合わなかった。
  • 雰囲気がいいと間接照明を勧められて付けたものの、全体的に部屋が暗くて自分の好きな感じと違うし、本なども読みづらい。
  • 無垢フローリングに憧れて張り替えたけれど、表面のちょっとした傷が気になって、かえって暮らしにくくなってしまった。

家づくりはなかなか完成のイメージがつかみにくいもの。図面があっても、見慣れていない人にとっては難解ですよね。そこでおすすめしたいのは、寸法の計測です。特に棚や造作カウンターなど使い勝手が大切な部分については、できる限り高さや幅をメジャーで測って実際のサイズ感を把握し、現状と比べてみましょう。ちょっと面倒かもしれませんが「想像と違う!」というミスを避けるには効果的です。

また「間接照明」や「無垢フローリング」など、これまで使ったことのないものを勧められたり憧れたりして採用するケースもあるでしょうが、家づくりにおけるメリット・デメリットの捉え方は人それぞれです。「自分たち家族にとってふさわしいのか?」をしっかりと吟味して、実際の部屋での過ごし方やご家族のライフスタイルに沿った計画を立てたいところです。


せっかくリノベーションするんだから、と思うと実現したいことがどんどん出てくると思います。そのいろいろを整理して、自分たちが望む暮らしと照らし合わせ、ぜひ満足のいく選択でリノベーションを成功させてくださいね。

(文/Replan編集部)

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