Q1.0住宅レベル3の実現には、外壁200㎜断熱以上が必要

気候区分1~4地域での、Q1.0住宅のレベル3の標準的な仕様を、表2に示します。

表2 Q1.0住宅レベル3の断熱仕様
表2 Q1.0住宅レベル3の断熱仕様

ここで注目してほしいのが、外壁断熱が高性能GW210㎜クラスが必要となり、北海道の1地域は250㎜ぐらいの性能が必要となることです。その外壁断熱のいろいろな仕様を表3に示します。

表3 Q1.0住宅レベル1〜3を実現するために必要な外壁断熱構成
表3 Q1.0住宅レベル1〜3を実現するために必要な外壁断熱構成

標準的な高性能GWを採用した場合と、最近の更に高性能なGWを採用した場合の、外壁の熱貫流率を計算した値を表示しています。発泡プラスティック断熱材も性能に幅がありますが、ここでは代表としてやはり最近使われ始めた高性能な押出発泡ポリスチレンで計算しています。

私たちは不燃断熱材であるGWを使って、①、④、⑤の工法を採用しています。②が、最近北海道の高断熱住宅で普及し始めている工法です。しかしこの工法の採用に、私は反対です。30年ほど前に発泡断熱材の外張り工法が普及し始めた頃から、私は木材に比べるとはるかに柔らかい断熱材を木材で挟んで長い釘で留める工法の不安定さと、火災に弱い点を指摘してきました。Bの断熱材を留める長いビスが間柱から外れてしまうのです。もしこの工法を採用するならば、③の工法とすれば、熱貫流率は多少落ちますが、長いビスを使わずに釘だけで施工できます。そしてこの方が、コストも安く手早く施工できます。しかし、火災に弱いという点は残ります。

発泡断熱材はGWに比べて性能が高いので、壁厚をあまり厚くしないで、断熱性能を高めることができます。私たちは、発泡断熱材を利用しながら、④、⑤の工法を考案しました。このような構成とすると、隣の家の火災が、通気層から火が入り延焼する危険性を大幅に減らすことができると考えています。④は、GWだけだと250㎜級の断熱性能となり、⑤は300㎜級の断熱性能となります。