「戸建て住宅の浴室リフォーム」でよくあるトラブルとその対策とは?
目次
- ■「見積もり・契約段階」のトラブル
- 見積もりが不透明で追加費用が発生!
- 浴室リフォームで追加費用が発生しやすい理由は?
- 対策①|追加費用の発生をあらかじめ想定しておく
- 対策②|新築工事をした会社にリフォーム工事を依頼する
- 対策③|複数社に見積もりをして違いを確認
- ■「工事内容の認識の違い」によるトラブル
- 対策①|「予習」をしてから改修工事に着手する
- 対策②|工事会社任せにしすぎない
- 対策③|書面の中の不明な単語を曖昧なままにしない
- 対策④|工事を急ぎすぎない
- ■「工事進行中」のトラブル
- 既存設備の撤去時に、隠れた不具合が発覚
- 対策①|冷静に状況を確認し、最善の方法を検討してもらう
- 対策②|必ず共通認識を確認しメモを取っておく
- ■「設備選び」に関するトラブル
- できあがったら、イメージと違って後悔
- 対策①|できるだけショールームで実物を確認
- 対策②|ボトルラックやミラーなどは市販品でも対応可
- 意外と使い勝手が悪くて後悔
- 対策|自分たちの暮らしの実態や、5年先・10年先を見据えて選択
家は長く住んでいると、どうしても傷みや不具合が出てきます。特に水まわりは、常に湿気が滞りやすく、早めに修理や交換が必要になります。
そこで今回は、特にリフォームする人が多く、暮らしの快適性や健康にも直結する「浴室リフォーム」について、よくあるトラブルとその対策を含め、インテリアコーディネーターの本間純子さんに教えていただきます。
■「見積もり・契約段階」のトラブル
見積もりが不透明で追加費用が発生!
「浴室リフォームを頼んだら、追加費用が請求された!」という経験を持つ方が世間にはそれなりにいらっしゃるでしょう。中には悪質な業者のケースもあると思いますが、基本的に浴室リフォームは、追加工事=追加費用が発生しやすいです。
浴室リフォームで追加費用が発生しやすい理由は?
浴室は家の中でも特に湿気がたまりやすく、古い家ほど浴室まわりの木材が腐っていたり、シロアリ被害にあっていたりします。ただこれは、壁の内側や床下などで発生していて、ほとんどの場合、壁などを壊して確認しないと実際の様子は分かりません。
また昔建てた家にありがちですが、大工さんが建てた家で図面どおりに工事がされていないとか、以前に一部改修工事をしていて最新の図面が残されていないといったケースもあります。
工事前に目視で確認できる範囲に限界があるため、業者は「おそらくこうだろう」という想定で見積もりを出すことになる。それが「追加工事による追加費用」が発生しやすい主な理由です。
対策①|追加費用の発生をあらかじめ想定しておく
その都度、状況を説明しながら工事を進めますが、追加工事や追加費用が発生したときは、説明を受けた日時と工事内容、概算の金額をメモしておくと、後日、大きな請求金額が来てびっくり!を避けることができます。
対策②|新築工事をした会社にリフォーム工事を依頼する
できることなら、新築を依頼した会社にリフォーム工事を依頼すると安心です。図面が残っていて建物の細部を熟知していますから、実態に基づいた見積もりをしてくれます。メンテナンス部門があると相談しやすく、理想的ですね。
対策③|複数社に見積もりをして違いを確認
新たに工事店を探す場合は、実績や評価を確認し、必要な工事内容を丁寧に説明してくれる会社を見つけたいですね。契約を急いだり、値引きに話がいきがちな場合は要注意です。
リフォームは、金額が高ければ良いわけでも、安いから悪いわけでもありませんが、「安い」にはそれなりの理由があります。複数社に見積もりを依頼して、見積もりの仕方や、工事の進め方の違いを知ったうえで工事を依頼しましょう。
■「工事内容の認識の違い」によるトラブル
「工事内容の認識が違った」ということが原因で発生するトラブルもあります。浴室リフォーム工事のやりとりの中では、聞き慣れない建築の専門用語がいろいろと出てきます。その言葉が分からないままスルーしたり、間違って解釈したままになることが、トラブルにつながります。
対策①|「予習」をしてから改修工事に着手する
浴室リフォームは大がかりな工事の一つです。一度工事したら、少なくとも10年以上はそのまま使うのが一般的。金額も張りますから、納得して工事を依頼したいところです。
そのためには、お客様自身が「予習」をしておくことが大切です。インターネットで検索すれば、今の浴室の機能や形状、素材や工事方法、工期の目安などが簡単に調べられます。予備知識があるとショールームで質問をしやすいですし、工事担当者の話の内容が理解しやすく、認識違いを防ぎやすくなります。
対策②|工事会社任せにしすぎない
「予習」を進める中で、疑問や不安を書き出していくと、どのような浴室が自分の家に必要なのかが見えてきます。「いい感じにしてくれるだろう」と工事会社任せにせず、自分たちの希望をしっかり伝えることも、後々のトラブルを防ぐために重要です。
ちなみに古い浴室をリフォームする際には、多くの場合「脱衣室の壁紙の張り替え工事」が必要になります。その理由は「ドアのサイズの違い」。
在来工法の古い浴室と現在のユニットバスは「ドアのサイズと取り付け位置」が一致しないため、ユニットバスを入れるのに「脱衣室側のドア枠」をつくり直す必要があり、それに伴って「脱衣室の壁紙の張り替え工事」が発生します。ドア枠を一旦壊すとなると、当然その周囲の壁下地や壁紙も壊すことになるからです。
「え、そんな工事があるなんて聞いていない!」ということにならないよう、工事の手順や仕上げ方法については主体的に知っておきましょう。
対策③|書面の中の不明な単語を曖昧なままにしない
工事の仕様書や見積書、契約書には「これは何のことだろう?」と疑問に思う見慣れない言葉が複数見つかるはず。
こういった不明な単語はスルーせず、面倒でも丁寧に確認して納得したうえで次に進みましょう。「図面を見るのが苦手」という方は、図面と実際の浴室とを比較しながら説明すると分かりやすいです。
対策④|工事を急ぎすぎない
「リフォームをする」と決めたら、さっさと工事を済ませてしまいたくなりますが、トラブルを避けるためには、焦りは禁物です。
特に打ち合わせを進めていく中で判断に迷ったら、「考える時間をください」と言えることが大切。家族などに相談してクールダウンの期間を取ると、冷静に判断できて良い結論が出ることが多いです。くれぐれも急ぎ過ぎないよう気をつけましょう。
「浴槽が壊れた」、「壁のタイルがはがれて落ちた」、「浴槽にお湯がたまらない」など、浴室が使えない場合は緊急で修繕する必要がありますが、できれば浴室が使用不能になる前に改修工事の予定を考えておきたいところです。
■「工事進行中」のトラブル
既存設備の撤去時に、隠れた不具合が発覚
「解体工事をしたら、既存の状態が思った以上に悪かった」というのは、古い家のリフォームによくある話。特に水場である浴室は、既存設備を撤去した際に、シロアリ被害や木部の腐れ、配管の水漏れなどの隠れていた不具合が見つかることがよくあります。
対策①|冷静に状況を確認し、最善の方法を検討してもらう
腐れやカビなどによる水まわりの経年劣化は、残念ながら防ぎようがありません。ここは冷静になって工事会社に状況を説明してもらい、この先長く快適に浴室を使うために必要な対策を講じてもらいましょう。
浴室に関わる柱や梁、土台などがひどく傷んでいる場合は、大がかりな工事になることも。工事期間が長くなりますし費用もかさみますが、建物本体に関わる傷みはそのままにしておけませんので、工事会社とよく相談して工事を進める必要があります。
対策②|必ず共通認識を確認しメモを取っておく
何事も「言った・言わない」がトラブルの元。信頼できる会社であれば、工事開始後に想定外の状況が見つかったら必ず説明してくれるはずですが、口頭での約束はせず、その都度、
- 説明を受けた日時
- 追加工事の内容
- 追加費用目安
をメモしておくと、無用なトラブルや不安を防ぐことができます。そして追加工事が発生したら、必ず追加の見積もりを依頼し、合意のうえで工事を進めてもらいましょう。
■「設備選び」に関するトラブル
できあがったら、イメージと違って後悔
浴室の内装の質感や色、水栓金具、浴槽のかたち、照明など、浴室リフォームではさまざまな設備を選ぶ必要があります。今は自宅にいながらオンラインカタログで商品を確認することができますが、実物を見ずに決めると「イメージと違った」と後悔する確率が高まります。
対策①|できるだけショールームで実物を確認
家族で毎日使うものなので、面倒でもショールームに足を運んで実物を確認することが、後悔・失敗しないための最善策。
ショールームには浴室の広さに合わせた浴槽や水栓、シャワー、手すり、カウンターなどが配置された展示ブースがあって、入浴時の動作のシミュレーションができます。特に浴槽は形状によって使い勝手がかなり異なるので、遠慮なく浴槽を出入りしてみましょう。
対策②|ボトルラックやミラーなどは市販品でも対応可
最近は、浴室の壁がマグネット対応になっているものが多くあります。ボトルラックなどの棚やミラーは市販の商品が工事不要で付けられますので、使い勝手を含めゆっくりと検討したい場合は、リフォーム後にゆっくり選ぶのも手です。
意外と使い勝手が悪くて後悔
浴室リフォームでありがちな使い勝手に関する後悔の一つに「浴槽が大きすぎた」というのがあります。
小さな子がいるので一緒に入りやすいように大きめな浴槽を選んだけれど、その期間は案外短くて広さを持て余してしまう、とか、ゆったり入りたかったので浴槽を大きめにしたが、その分湯量が必要だし体が浮いてしまって落ち着けない、とか…。今の状況や憧れが先行した選択には注意が必要です。
対策|自分たちの暮らしの実態や、5年先・10年先を見据えて選択
コストを抑える意味でも「自分たちに本当に必要な機能」を吟味することが、満足度の高い浴室リフォームにつながります。
どの家でも重宝される浴室の機能 |
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ライフスタイルや各家庭の状況によって検討したほうがいい機能 |
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異業種の参入も多いリフォーム業界ですが「安心」を最優先するなら、新築時に施工した工務店や、普段からおつき合いのある工事店などに信頼感のある会社に依頼するのが一番です。
浴室は主に設備業者さんの仕事ですが、旧知の電気屋さんに相談すると、仕事仲間の設備屋さんや工務店を紹介してくれることがあります。住宅建築の世界はチームで仕事をしているので、良い仕事をする業者をお互いに知っていることが多いです。
また北海道内であれば、「北海道建築指導センター」や「北海道建築技術協会」など公共性の高い団体に工事会社を紹介してもらう方法もあります。これらの団体は、リフォーム費用の相談にも応じてくれます。飛び込みで営業に来る人に依頼するのは危険な場合もありますので、くれぐれも用心してください。
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