【厳選9実例】「スキップフロア」の間取り集とよくあるQ&A
Replanが教える家づくりで参考にしたいアイデアの数々。
目次
- #01|効率的な「収納」を生む、スキップフロアの中2階
- #02|さまざまな高さから、森の景色を楽しむ暮らし
- #03|不規則な形の居場所が、スキップフロアでつながる住まい
- #04|床・天井の高さのギャップが生む心地よさ
- #05|高台の狭小変形地に立つ、6層のスキップフロアの家
- #06|空間の広がりを感じさせる、LDKのスキップフロア
- #07|凍結深度まで掘って下げた、ダウンフロアが生む暮らしの楽しみ
- #08|らせん階段で公私の空間をつないだL字型の平屋
- #09|敷地の高低差を生かした、緑の風景になじむ家
- スキップフロアのQ&A
- Q1 スキップフロアが向いているのはどんな住宅ですか?
- Q2 老後の生活や、日々の掃除が大変ではないでしょうか?
- Q3 スキップフロアでつながる空間は、視線や音が気になりませんか?
「スキップフロア」とは、その名のとおり「跳ねる」ように、床面に段差を設けてリズミカルな空間をつくる設計手法のことです。
今回は室内を立体的に使えるスキップフロアを巧みに取り入れて、敷地や間取りの制約を魅力に変えた個性あふれる実例を、これまでにリプランが取材した住宅の中から厳選してご紹介します。Q&Aもぜひ家づくりの参考にしてくださいね。
#01|効率的な「収納」を生む、スキップフロアの中2階
帯広市・Oさん宅 / 夫婦40代、子ども1人
延床面積:145.11㎡(約43坪)※ガレージ含む

Oさん宅はLDKの一角に、鉄骨のスケルトン階段のスキップフロアでつながる中2階が組み込まれています。
ミニライブラリーのような中2階は、たくさんの本やCDを見やすくまとめて収納するため設けられたもの。その下は、シックなリビングになじむ洋風の仏壇を収める場所としました。中2階の床下も物置として利用でき、収納の悩みを効率良く解決しています。



設計・施工 Einbuild(株) <Replan北海道 vol.140>
#02|さまざまな高さから、森の景色を楽しむ暮らし
札幌市・Fさん宅 / 夫婦30代、子ども1人
延床面積:99.50㎡(約30坪)

自然豊かな場所に立つFさんの住まい。グランドレベルにある土間を起点に、リビング、ダイニング・キッチン、中2階、2階ホールが、スケルトン階段を絡めながらスキップフロアで軽やかにつながることで、窓の外に広がる森の風景が変化を持って楽しめます。中2階には、客間としても使える小部屋を配置。限られたスペースを有効利用しています。



設計 富谷洋介建築設計 施工 新栄工建(株) <Replan北海道 vol.148>
#03|不規則な形の居場所が、スキップフロアでつながる住まい
青森県五所川原市・Nさん宅 / 夫婦30代
延床面積:90.63㎡(約27坪)※ガレージを除く

特徴的な外観が目を引くNさんご夫妻の住まいは、小さな空間をスキップフロアで連続させることで、家族それぞれの居場所をつくり出しています。
フロアの高低差が生むのは視覚的な変化と奥行き感、そしてお互いの気配を感じながらも自分の時間を楽しめる距離感です。これから新たな家族を迎えるにふさわしい、実際のスケールを超えた心地よさが広がっています。



設計 (同)ゲンジアーキ 施工 (有)川村建築 <Replan青森2026>
#04|床・天井の高さのギャップが生む心地よさ
札幌市・Iさん宅 / 夫婦40代、子ども1人
延床面積:75.25㎡(約22坪)

森が広がる傾斜地に立つIさんご一家の新居は、広さが約22坪のコンパクトな家。天井が高い玄関から小階段を上ると、目の前には吹き抜けのリビングと、大きな窓越しの緑豊かな風景が広がります。
一方でそのすぐ隣のダイニング・キッチンは床レベルを一段下げて、天井も低めに設計。その高さのコントラストが、団らんの空間にふさわしい心地よさをもたらしています。



設計 (株)照井康穂建築設計事務所 施工 (株)リノア <Replan北海道 vol.145>
#05|高台の狭小変形地に立つ、6層のスキップフロアの家
福島県いわき市・Aさん宅 / 夫婦40代、子ども2人
延床面積:120.37㎡(約36坪)

高台にある大きな高低差のある狭小地。その土地を読み解いて設計されたのが、いくつもの小階段をパズルのように組み込んだ、6層のスキップフロアで構成された住まいです。
小階段が各フロアをつなぐ空間は、まるでエッシャーのリトグラフ「上昇と下降」のよう。機能的でありながらアートのような造形美が、Aさんご家族の日常に特別感を添えています。



設計 (有)ハコプラスデザイン 施工 (株)作山工務所 <Replan福島2025>
#06|空間の広がりを感じさせる、LDKのスキップフロア
札幌市・Rさん宅 / 本人40代
延床面積:67.08㎡(約20坪)

広さ約20坪のコンパクトな住宅が立っているのは、最大4mの高低差がある変形地。生活の中心となるLDKに、開放感と機能性を持たせるために一役買っているのが、ダイニング・キッチンとリビングを緩やかにゾーニングするスキップフロアです。空間のメリハリを生むとともに、高さのある段差は友人たちが集ったときのベンチ代わりにもなっています。



設計 ヨネタエミ建築スタジオ 施工 池端住宅建設(株) <Replan北海道 vol.137>
#07|凍結深度まで掘って下げた、ダウンフロアが生む暮らしの楽しみ
札幌市・Kさん宅 / 夫婦30・40代、子ども1人
延床面積:69.66㎡(約21坪)

Kさん宅は、玄関から玄関ホール、テラスまでは基礎の天端の高さで、緩やかなステップを下りた先にあるダイニング・リビングなどの居室は凍結深度の深さまで掘ったダウンフロアです。シンプルな正方形の中にスキップフロアを組み込むことで、天井高の違いによる景色の変化や、グランドレベルで眺める庭の草花など、暮らしの楽しみを生み出しています。



設計 (株)アカサカシンイチロウアトリエ 施工 (株)Shibata <Replan北海道 vol.143>
#08|らせん階段で公私の空間をつないだL字型の平屋
宮城県仙台市・Hさん宅 / 夫婦40代、子ども1人、猫2匹
延床面積:80.60㎡(約24坪)

丘陵地の高台に立つHさんの住まいは、スキップフロアで階層が展開していくL字型の平屋。玄関のあるプライベートエリアかららせん状の階段を上ると、市街地を一望できるパブリックエリアが広がります。
階段はそのままリビングの一部であるロフトまで連なり、段差の一部はソファとして使えるよう造作。縦方向の空間を無駄なく住空間に取り込んでいます。


設計 Ginga architects 施工 (株)絆建築 <Replan宮城2025>
#09|敷地の高低差を生かした、緑の風景になじむ家
札幌市・Fさん宅 / 夫婦50代・40代
延床面積:244.95㎡(約74坪)

Fさん宅は、RC造の地下と木造1階の混構造。傾斜地を生かした設計で、地下の玄関からスキップフロアの小階段を上って居住空間へ至る間取りです。
原生林の風景が美しい広いリビングの一角には、スキップフロアでつながるワークスペースを配置。リモートワークが多いFさんは、夏は緑、冬は雪や薪ストーブの炎を眺めながら気持ちよく仕事をしているそうです。



設計 SUDO設計 施工 SUDOホーム(須藤建設) <Replan北海道 vol.145>
スキップフロアのQ&A
スキップフロアでよくある疑問にお答えします。
Q1 スキップフロアが向いているのはどんな住宅ですか?
主に次の3つのケースで非常に有効です。
1つ目は敷地が「狭小地」や「変形地」のケース。壁を減らして視線を斜めに通すことで、実際の面積以上の開放感が得られます。
2つ目は敷地が「傾斜地」のケース。土地の高低差をスキップフロアを取り入れながらそのまま生かすことで、造成費用を抑えつつ、その土地ならではのユニークな景色を楽しめます。
そして3つ目は「家族の時間を大切にしつつ、個々の居場所もほしい」というケース。LDKとスタディコーナー、子どもの遊び場などを段差で仕切ることで、気配を感じながらも各々が自分のことに集中しやすい空間をつくることができます。

Q2 老後の生活や、日々の掃除が大変ではないでしょうか?
小階段や段差が増えるスキップフロアは、バリアフリーの観点からは確かにデメリットといえるかもしれません。対策としては、1階にLDK・水まわり・寝室を集約して、1階だけで日常生活が完結するような間取りにしておき、スキップフロアでつながる中層階や上層階を子ども部屋や趣味のスペースとするなどの工夫が有効です。
掃除については、最近では段差を乗り越えられるロボット掃除機も増えていますが、各フロアにコンセントを配置し、軽量で取り回しが良いコードレス掃除機を活用しやすい設計にしておくと日々の掃除の負担を軽減できるでしょう。

Q3 スキップフロアでつながる空間は、視線や音が気になりませんか?
スキップフロアでつながる空間の魅力は、壁がなくても目線の高さや方向が変わることで、心理的な境界が生まれ空間をゾーニングできることです。
ただし、音は遮るものがなければ家中を伝わります。吹き抜けがあると家全体に音が響きます。ですので例えば「スキップフロアで設けた中2階のスペースを、仕事や勉強で集中するために使いたい」という場合は、壁に吸音パネルを張ったり、部分的に壁をつくって「半個室」のような設えにしたりするのがおすすめ。
プランニングの段階で設計者にイメージしている使い方や防ぎたい状況を丁寧に伝えて、密に話し合うことが大切です。

スキップフロアは、上手に取り入れると住まいや暮らしに心地よさと利便性をもたらします。特に狭小地や傾斜地といった、いわゆる「変形地」だとその魅力がより発揮しやすいので、敷地条件をふまえて検討してみてはいかがでしょうか。
(文 Replan編集部)
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