戸建のエネルギー消費は集合の2倍

すでに見てきたとおり、戸建と集合のエネルギー消費には大きな違いがあります。全国平均の用途合計でみると、戸建41.4GJに対して集合は23.7GJとほぼ半分になっています。戸建の平均世帯人数が2.90人に対して集合は1.96人となっていて確かに人数の違いはあるのですが、エネルギー消費の差はさらに大きいのです。

大きな戸建では暖房・照明が増える

この戸建と集合で大きな差を生んでいる原因は、第一に「暖房」、次に「照明・家電」です。図3に、面積別で全国平均のエネルギー消費の内訳を示しました。

図3 面積が広くなると暖房のエネルギー消費が増える
図3 面積が広くなると暖房のエネルギー消費が増える
戸建・集合別に、全国平均のエネルギー消費量を床面積別に示しました。元データの中から、戸建・集合において現実的な床面積の範囲だけ取り出しています。同じ床面積においても、戸建は集合住宅よりも暖房が増エネになりがちです。断熱・気密の徹底による熱負荷低減と、高効率な暖房設備をしっかり選択しておく必要があります。

戸建での暖房エネルギーの大きさがやはり目につきますね。たとえば75〜100㎡未満の同じ床面積で比較しても、集合は6.2GJに対して戸建は9.9GJと5割以上大きくなっています。外気に面する面積が大きい戸建住宅は、もともと熱ロスが大きいので暖房が増エネになりがちです。

照明や家電も、床面積が増えると必要な機器の数が増えることから、増エネになります。床面積の広い大きな家にあこがれるのは理解できますが、暖房や照明・家電の増エネには注意が必要です。

大きな家を建ててしまうと、1人暮らしになっても暖房や照明のエネルギー消費は大きいままになるリスクがあります。戸建を建てる時はライフステージや家族人数の変化も考えて、断熱・気密性能や高効率設備などの省エネに関することを、大きな家では特に注意したほうがよさそうです。また、ライフステージや家族人数の変化に応じて空間を柔軟につなげたり間仕切りしたりできるよう、あらかじめプランニングを考えておくことをおすすめします。

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