星ラベルを気にせず、Uw値が小さい窓を選ぼう

前述の通り、窓からの熱ロスは建物全体の中でも飛び抜けて大きいのですから、しっかりとした断熱が重要です。熱貫流率Uw値(wはwindowの略)が小さい窓を選ぶことが肝心です。

図3に、ガラス・ガス・フレーム素材を変えた場合の、Uw値と表面温度を示しました。放射・対流・伝導による熱ロスがカットされUw値が減少するに従い、室内側の表面温度が大きく上昇していることがわかりますね。

図3 「ガラス・ガス・フレーム」で素材を変えた場合のUw値と表面温度(撮影場所:YKK AP ショールーム新潟)

日本の窓選びで大きな問題なのが、断熱性を示す「星ラベル」が機能していないことです。Uwが4.65/3.49/2.33以下の区分に応じて、2つ星・3つ星・4つ星となっていますが、2.33以下はすべて4つ星になってしまいます。

最近ではUw値が1前後の高断熱窓が続々登場しているのですが、これらも4つ星として一緒くたにされてしまうので区別がつきません。5つ星とか6つ星を定義すれば良さそうなものですが、なかなか進んでいません。当面は4つ星は当たり前として、Uw値がなるべく小さい窓を選ぶしかなさそうです。

窓の高断熱化は省エネと快適性の鍵

先の靴箱モデルでも、窓をUw1.0の高断熱型にすれば、窓からの熱ロスは30W/Kに激減しますし、建物全体の熱ロスでも実に約6割減となります。高断熱窓の重要性が実感できますね。窓の高断熱化は、室内側の放射温度の改善、冷たい外気侵入の減少にもつながるので、冬の室内快適性も大幅に改善することができます(図4)。省エネと快適性向上のため、まず大事なのは窓ということを再確認しておきましょう。

図4 窓からの熱ロスを軽減すれば室内快適性も大幅に改善(撮影場所:YKK AP ショールーム新潟)

次のページ 戸建の窓は結構改善。集合はこれから?