戸建の窓は結構改善。集合はこれから?

窓の重要性が認識されるに従い、低断熱と批判されることが多かった日本の窓も急速に改善されてきています。

図5はガラスの種類について、戸建新築と集合新築のシェアの推移を示しました。最新統計の2017年において、戸建ではLow-E複層が8割以上のシェアを占めるまでになり、高断熱ガラスが広く普及したことがわかります。

図5 戸建新築と集合新築のガラス種類

一方で、集合ではLow-E複層は依然4割程度にとどまり、普通複層が4割、単板が2割も残っており、かなり問題といえます。

図6にフレームの種類について、戸建新築と集合新築のシェアの推移を示しました。日本の低断熱窓の「象徴」であったアルミフレームが、2017年には3割弱と激減し、アルミ樹脂複合が5割以上に達しています。従来は寒冷地専用だった樹脂フレームも2割と大幅に増加しています。

図6 戸建新築と集合新築の窓フレーム種類

一方で、集合ではアルミフレームが依然6割を占めており、先のガラスとあわせ、高断熱窓の普及はまだまだこれから、といえます。集合住宅は気密性が高く、リビングの湿気が個室などの暖房室に流れ込みやすいため、低断熱窓では結露を起こすリスクが高くなります。集合住宅だから窓は低断熱でよい、という考えの見直しが必要です。

断熱リフォーム、まずは内窓追加から

窓の断熱性が急速に向上する中、戸建新築ではUw値が2を切る高断熱窓を選ぶことは必須といえます。一方で、既存住宅では、依然としてUw6.5の単板アルミ窓が膨大に残っているのも事実です。近年において、こうした既存住宅の窓改修についてさまざまな手法が開発され、1〜2日程度の短期間で家に住んだまま、窓サッシの交換や内窓の追加が可能になっています(図7)。

図7 内窓のありなしでこんなに違う室内快適性

内窓を追加するやり方は、窓を開けるのが少し面倒になりますが、断熱効果が大きく防音にも効果的なので、断熱リフォームとしては一番おすすめです。

今回は日本の低断熱を象徴していた窓について、断熱化の基本と効果、そして最新のシェア動向を見てきました。戸建新築ではLow-Eペアガラス+樹脂フレームが普通になってきていますが、集合住宅は依然低レベルなので要注意です。断熱リフォームはまず内窓を検討してください。

窓については、他にも開き方や設置方法、日射の取得や遮蔽など、住宅性能の根幹に関わるさまざまな要素があります。この連載の中で、窓の他の要因にも触れていくことにしましょう。


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※次回のテーマは<職住近接は地球にも人生にも優しい>です。

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