キッチンの配置には複数のパターンがあり、「家の間取り」「キッチンの広さ」「自分たちの使い勝手の良しあし」など、いくつかの条件からふさわしい配置が導き出されます。

この記事では、主なレイアウト候補になる

  • I 型
  • L型
  • U型(コの字型)
  • アイランド型
  • ペニンシュラ型
  • Ⅱ型(セパレート型)

の6種類のキッチンの配置について、その特徴や注意点を、注文住宅の実例とともにご紹介します。


代表的な6つのキッチンレイアウト

キッチンの使いやすさは、人それぞれ。例えば、パンやお菓子づくりが趣味だったり、大勢で集まることが多かったりする家には広い調理台が必要ですし、食品を多くストックする家ではキッチン収納に面積を割くことになります。

また調理道具の収納場所や容量、動線計画なども、キッチンを使う人の習慣や持ち物の量などによって異なります。

キッチンのレイアウトは主に6パターンがよく見られますが、いずれにしても「自分や家族の使い方に合わせて調理台・シンク・コンロを上手に配置すること」が、使いやすいキッチンづくりのコツです。


基本的に壁付けで、
コンロ・調理台・シンクが一列に並ぶ
「I 型キッチン」

「I型キッチン」とは一般に、壁付けでコンロ・調理台・シンクを横一列に並べた、昔からよくあるタイプのキッチンです。最近は場合によって、対面式キッチンでコンロ・調理台・シンクが横並びのタイプを指すこともあります。

調理の際には横に移動しながら作業するので、複数人で料理をすると動線がかぶりやすいというデメリットがあります。

壁付けで省スペースなI型キッチン
壁付けで省スペースなI型キッチン
コンパクトなI型の壁付けキッチンとは別に、背面に設えたカウンターがあり使い勝手がいい
背面にカウンターを設けて、さらに使い勝手良く工夫
最近は、対面式でもシンク・作業台・コンロが一列に並んでいるタイプを「I型キッチン」と呼ぶケースも
最近は、対面式でもシンク・作業台・コンロが一列に並んでいるタイプを「I型キッチン」と呼ぶケースも


作業スペースが広く取れて、動線もコンパクト
「L型キッチン」

例えば、正面には調理台・シンク、側面の壁にはコンロといった形で、L字で分けて配置するキッチンで、対面式と壁付けのメリットを併せ持ったタイプです。2つのキャビネットがあるのでI型より収納量が増えますが、コーナー部分があるので、使いにくいデッドスペースが出てしまうデメリットもあります。

パイン材を用いて造作したL字型のキッチン。冷蔵庫はリビングからは見えないように壁に収納している
パイン材を用いて造作したL型のキッチン。冷蔵庫はリビングからは見えないように壁に収納している
家電や食品の収納などは、奥(写真右)の空間にまとめ、L字型のキッチンはいつでもスッキリ
家電や食品の収納などは奥(写真右)の空間にまとめ、キッチンはいつでもスッキリ
ダイニングを広く使えるよう、キッチンをL型の壁付けに。家電は黒で統一し、造作収納の取っ手は真鍮製を採用
ダイニングを広く使えるよう、キッチンをL型の壁付けに。家電は黒で統一し、造作収納の取っ手は真鍮製を採用
壁付けのL型キッチンに、同じデザインのアイランド型の作業台を組み合わせた例
壁付けのL型キッチンに、同じデザインのアイランド型のカウンターを組み合わせた例。収納が増え、配膳のときにも便利


コックピットような作業性の良さ
「U型(コの字型)キッチン」

調理台・シンク・コンロをコの字に合わせてそれぞれに配置したキッチンです。その場で方向を変えるだけで違う作業ができるので、調理効率が高くなります。L型よりも作業スペースや収納が増えますが、もちろんそれに合った広さが必要です。また、3辺が塞がれるので、どうしても圧迫感が出てしまいます。

4人の子どもがいるこのお宅は、大きなコの字カウンターを設えた造作キッチンが住まいの中心
4人の子どもがいるこのお宅は、大きなU型のカウンターを設えた造作キッチンが住まいの中心
コンパクトながらも使いやすいよう、収納やコンロの位置などをこだわったオーダーメイドのコの字型キッチン
コンパクトながらも使いやすいよう、収納やコンロの位置などをこだわったオーダーメイドのU型キッチン
カウンター下をゴミ箱置き場にして、スペースを使い勝手良く有効利用
カウンター下をゴミ箱置き場にして、スペースを使い勝手良く有効利用


回遊動線が機能的な対面式
「アイランド型キッチン」

キッチンの四方が壁とつながっていない、島(アイランド)のように配置されているタイプのキッチン。対面式キッチンの中でも存在感が大きく、まるでキッチンが主役のようなLDKが実現できます。両サイドから出入りができるので開放的で、他の家族も料理に参加しやすくなります。

2階LDKの中央に位置する造作アイランドキッチン。左手の動線は1階、右手の動線は個室につながっている
2階LDKの中央に位置する造作アイランドキッチン。左手の動線は1階、右手の動線は個室につながっている
コンロ(IH)とシンクを対角に配置した正方形のアイランドキッチンは、オーダーメイドしたもの
コンロ(IH)とシンクを対角に配置した正方形のアイランドキッチンは、オーダーメイドしたもの
二世帯共用の造作のアイランドキッチンは2人で並んでも作業しやすい広さ。来客が多く、壁面はすべて隠せる収納に
二世帯共用の造作のアイランドキッチンは2人で並んでも作業しやすい広さ。来客が多いため、壁面はすべて隠せる収納に


スペースを効率良く使える対面式
「ペニンシュラ型キッチン」

アイランド型と似ていますが、左右のどちらかが壁にくっついているキッチンをいいます。そのためアイランド型よりスペースを効率よく使うことができるので、採用されることが多いタイプです。コンロと換気扇を壁側に設置できるので、油ハネやニオイの拡散の軽減にもなります。

パイン材で造作したキッチンは、腰壁は引き戸仕様の収納になっている。壁面にはタイルを設えた
パイン材で造作したキッチンは、腰壁は引き戸仕様の収納になっている。壁面にはタイルを設えた
玄関からすぐつながるオープンなキッチン、背面の広いカウンターが使いやすい
玄関からすぐつながるオープンなキッチン、背面の広いカウンターが使いやすい
壁面の奥に冷蔵庫と物を収納し見える空間は常にきれいに保てるようにしたキッチン
壁面の奥に冷蔵庫と物を収納し見える空間は常にきれいに保てるようにしたキッチン


作業台の横幅をコンパクトにできる
「Ⅱ型(セパレート型)キッチン」

アイランドに調理台・シンク、壁側にコンロを配置したキッチンで、L型同様、対面式と壁付けのメリットを併せ持ったタイプです。コンロが離れている分、調理のためのスペースがほかのタイプよりも広く取れます。家族・友人などみんなでわいわいキッチンを囲んで調理することが多い家庭に向いているキッチンです。

カウンター一体型のⅡ型(セパレート型)キッチン。作業台が広く取れ、作業動線もコンパクトでスムーズ
カウンター一体型のⅡ型(セパレート型)キッチン。作業台が広く取れ、作業動線もコンパクトでスムーズ
コンロは4つ口で、レンジフードもこだわって選んだセパレート型のオーダーキッチンに、ダイニングテーブルも造作。複数の友人とも食事を囲めるような大きさとした
コンロは4つ口で、レンジフードもこだわって選んだセパレート型のオーダーキッチン。複数の友人とも食卓を囲める大きさに造作した
壁面のコンロ部は奥さんこだわりのレンガ壁とし、ダイニングを兼ねるアイランド部はステンレス仕様に
壁面のコンロ部は奥さんこだわりのレンガ壁とし、ダイニングを兼ねるアイランド部はステンレス仕様に


このように、大きく分けると6パターンのキッチンレイアウトですが、実際には、例えば「Ⅱ型(セパレート型)で、シンク側がアイランド型」や「システムキッチンは、I 型だけどカウンターを含むとキッチン全体はU型」など、さまざまな形が考えられます。予算や広さ、間取りやライフスタイルとさまざまな角度から、ご自宅にぴったりなキッチンレイアウトを見出してくださいね。

(文/Replan編集部)