家は建てて終わりでしょうか? 答えはNOです。どんな家でも暮らしていくうちにいろいろな不具合や経年による劣化が起こるので、「メンテナンス」は住まいに必要不可欠です。

メンテナンスをせずに放っておけば、家は古びる一方です。補修が手遅れとなった箇所を直すとなると相当な費用が必要になります。でも、適正なタイミングできちんとメンテナンスをすれば、家はいい状態を保てます。余分な費用をかけずに安心して長く住むことができるのです。どちらが良いかは一目瞭然、ですね。

これから家を建てようと計画中の方にも、すでに家を建てた方にも大事な「メンテナンス」。その心得を一緒に確認していきましょう。


心得その1
どんな家でも、
メンテナンスは必要

陽当たりのいい明るいリビング、高い吹き抜け、対面キッチンで家族や友人とおしゃべりしながらの料理…。家づくりは、誰もが幸せな暮らしを思い浮かべて行うもの。その時点で、住んでから必要になるさまざまなメンテナンスについて、具体的に想像することは難しいですよね。

ですがどんな家も、「永遠に新品のまま」というわけにはいきません。たとえ「メンテナンスフリーの外壁材」と謳っていても何十年も手入れをせずに放っておけるわけではありませんし、内外装材も設備も劣化や故障はつきものです。まずは、どんな家でもメンテナンスは必要で、むしろ「定期的に手入れをするのは当たり前」と心得ましょう。

心得その2
自分たちで気にかけて、
不具合を早期発見!

生活し始めてからの不具合にはさまざまな要因があります。経年劣化、天候や自然災害、耐用年数が過ぎた機材の故障などやむを得ないものから、施工による問題、暮らし方や使用方法の誤りなど、未然に防げたはずのものまで実にさまざまです。同じ時期に建てた家でも、不具合が現れる箇所や年数は一軒一軒異なります。

また住まいで使われる建材や設備には、いつどんな不具合が出やすいのか目安となる時期はありますが、実際にいつ症状が現れるかは、意識的に見ていないとわかりません。

長年住んだ家のイメージ
長年住んで愛着が増す一方で、住まいは着実に姿を変えていきます

そこで大切なのが定期点検です。家は施工会社のものではなく、自分たちの暮らす場所。点検時期を設定している施工会社も多くありますが、施工会社に任せっきりにせず、異変に気づけるよう日々、自分たちで家のことを気にかけることが大切です。不具合に早く気づいて対処できれば、ダメージとメンテナンス費用は最小限で済みます。病気と同じ、何事も早期発見が大事ですね。

心得その3
建ててからも重要。
施主と施工者の信頼関係を大切に

施主と工務店の関係イメージ
家づくりの最中はもちろんのこと、住み始めてからも重要なつくり手との関係性

ほとんどの人にとって家は一生に一度、多くの費用をかけてつくるものです。専門知識がなければ、ちょっとのヒビでも「家に大きなダメージが発生しているのではないか」、「工事の仕方が悪かったのではないか」と不安になるのは仕方のないこと。ですがヒビはヒビでも、素材が持つ性質によってはやむを得ず発生するものもあります。

家のメンテナンスは、その家をつくった施工者に依頼するのが一番。不具合が出たからといって最初から疑ってかかるのは、双方にとって決して良いことはありません。不具合に対する不安や疑問は率直に相談し、お互いに良い関係を保ちながら家を見守っていきましょう。

心得その4
設計段階から
メンテナンスを意識する

これまでも触れたように、家を構成している建材、器材、備品などは、さまざまな要因で劣化したり、パフォーマンスが低下したりすることがあります。新築・リノベーション時には、設計段階からメンテナンスがしやすいよう意識し、備えておきたいもの。特に家が完成すると隠れて見えなくなってしまう「床下」と「天井裏」について、押さえておきたいポイントを見ていきましょう。

天井裏のメンテナンスイメージ
生活を始めると見えなくなる箇所にこそ、メンテナンスの意識は必要

【床下】
住宅寿命や住む人の健康にも大きく影響するのが床下の保守管理。床下の最大の敵は「湿気」です。床下に湿気が停滞すると、土台や床下下地にカビや木材腐朽菌が出やすくなり、シロアリなどの被害も受けやすくなります。

また、カビの胞子が居住空間に浮遊してハウスダストとなり、アトピー性皮膚炎や気管支喘息などの要因になる場合もあります。しかも床下には生活給排水などの配管が設置されています。漏水が発生していることに気付かず放置されてしまった場合、腐朽菌の繁殖を助長することも。

そこで必ず設けておくべきなのが、点検やメンテナンス用の「床下点検口」。布基礎の配置に合わせた設置が必須となります。床下は、住み手自身で定期的に点検できたほうがよいので、家具で塞いだりしないように点検口の位置を検討しましょう。

【天井裏】
天井裏に発生する不具合の代表は雨漏り。天井から水滴が落ちてきたとき、雨天時は雨漏りが原因として考えられますが、冬の晴れているときにできる水滴は、屋根面に発生した結露も原因として想定されます。

天井裏は十分に通気がなされ、外部に近い状態が理想(天井断熱の場合)。必要な時に適切なメンテナンスができるよう、天井面にも要所要所に天井裏点検口を設置しておくのが必須です。住み手も位置を把握しておきましょう。


住まいをより長くよい状態に保つために、メンテナンスはとても大切ですし必ず必要になります。修繕や機器の取り替えなどには相応の費用も発生しますので、メンテナンス費を日頃から積み立てるなどして、大事なわが家を計画的にケアしていきたいですね。

(文/Replan編集部)