北側斜線を守っていても1階には日が当たらない

他は全く同条件、建物の方位だけを南向きと南西向きに変えた両ケースについて、冬1月と夏7月の日当たりを分析してみます。東京の結果を図5に示します。建物壁面への日射量積算と、各窓から室内に入る取得日射熱を示しました。

図5 建物の日当たりをチェックしよう
建物が南に正対していれば、昼の南中時における太陽高度が高いため、夏の日射遮蔽と冬の日射取得が容易になります。建物が西にふれると太陽高度が低くなり、夏の日射が増え冬の日射が減少してしまいます。

なお、南側の隣棟は前述の北側斜線をクリアしていて「合法」なので、隣棟が落とす日影はガマンしないといけません。いずれの場合にも、1階の窓にはほとんど日が当たっておらず、北側斜線規定の限界を感じさせます。2階に当たる日射を吹き抜けで1階まで取り入れるなど、設計上の工夫が重要になりそうです。

南正対は夏も冬も絶対有利

2階の窓への日当たりを中心にして、まず夏7月を見てみましょう。南に正対していれば南中時に太陽高度が高いため、2階の窓も庇でしっかり防げています。南西向きでは南中時に太陽高度が高くなるため、軒をかいくぐって日が2階窓に当たってしまっています。窓からの取得日射熱も、南向き526.1MJから南西向き734.6MJに4割以上増加しており、冷房負荷の増大に繋がってしまうのです。

また冬1月を見ると、南向きなら南中時に太陽高度が高く2階の窓に日が十分当たっていますが、南西向きでは影がかなりかかっています。日射熱取得も南向き813.4MJから南西向き556.5MJに3割以上ダウンしてしまいました。

このように方位が変わるだけで、夏と冬の日射は大きく変化します。建物をしっかり南に向けるのは、夏も冬も快適に過ごすための大基本なのです。

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