気流止めのない住宅と設置した住宅
~その性能を比べる

一般に1980年の省エネ基準住宅や1992年の新省エネ基準住宅は、気流止めがないため、外壁の断熱材がほとんど効いていないにもかかわらず、効いているとして日本の住宅の省エネ性能を議論しています。私はこの壁内の冷気流による断熱性能低下を実際に測定してみました。壁内の空隙の大きさなどで変わるのですが、良くて半分以下、1/10という壁もありました。

この結果をQPEXの計算に反映するために、外壁の断熱性能を実際に施工されている断熱材の厚さを1/5にして、気密性能を換気回数で1.5回/hと設定するとよいということがわかりました。1980年代に北海道立寒地建築研究所の、札幌、旭川で行われた大規模な灯油消費量調査(年間)で、セントラルヒーティングの住宅の調査結果が5000~7000リットルということとも大体合うようです。

表1に、計算のモデルを示します。1は、床・壁・天井に10㎏50㎜厚のグラスウールが施工され、窓はアルミサッシにシングルガラスという構成です。北海道ではほとんどの住宅が2重窓ですが、東北地方にはこのような住宅はとても多いのです。2は窓が2重窓になった住宅で、3はさらに断熱が床・壁・天井100㎜になった住宅です。北海道では1980年代になって16㎏のグラスウールが使われはじめ、壁100㎜、床・天井200㎜という構成で、窓がPVCサッシにペアガラスという構成が一般的になりました。これがモデル4です。北海道~東北の既存住宅は大体これらの4つのモデルのどれかに近い構成だと考えられます。

表1 図2・3の断熱仕様
表1 図2・3の断熱仕様

これらのモデルで、気流止めが施工されていない住宅をA、これに気流止めを設置するだけの断熱改修を行った住宅をBとして、住宅全体を20℃に全室暖房した場合の灯油消費量の計算結果を示すのが図2、その熱損失係数を部位別に示したのが図3です。このように大きな熱損失の住宅で全室暖房をしている人はなく、部分間欠暖房で、寒さを我慢して節約しているのが実態です。ここでは住宅の性能差を見るため全室暖房と仮定しています。

図2 暖房灯油消費量(年間)の変化(札幌)
図2 暖房灯油消費量(年間)の変化(札幌)
図3 気流止め設置による断熱改修での熱損失係数の変化(120㎡モデルプランの計算・L0〜L3は札幌を想定)
図3 気流止め設置による断熱改修での熱損失係数の変化(120㎡モデルプランの計算・L0〜L3は札幌を想定)

気流止め設置によって、熱損失係数、灯油消費量ともに大幅に小さくなっていることがおわかりでしょう。詳しく見るとAのモデルに気流止めを設置すると、外壁の断熱材の性能が5倍になり、気密性能が高くなるため、換気の熱損失が0.5回/hと1/3になります。これにより、灯油消費量がほぼ半分になっています。4Bのモデルは、省エネ基準住宅に近い性能になります。