平屋最大の弱点は「冬の日当たり」

平屋でも断熱が重要なことを確認しましたが、平屋で一番問題になるのは、「冬の日当たり」です。連載24回目「日当たりを考えた敷地と建物」でも詳しくお話ししましたが、住宅地にかけられている「北側斜線規定」では1階部分の日当たりを確保することは極めて困難です。特に南側に大きな建物がある敷地に建つ平屋では、冬の日当たりはまず期待できません(図4)。

<b>図4 南に2階建ての隣棟がある敷地では、冬に平屋の日当たりは期待できない</b><br>冬の太陽高度は低いので、南に背の高い建物があれば、平屋にはまず日が当たりません。住宅地には日影を規制するための北側斜線などがありますが、2階建ての2階に日当たりを確保するのがせいぜいで、1階の日当たり確保にはまったく不十分です。
図4 南に2階建ての隣棟がある敷地では、冬に平屋の日当たりは期待できない
冬の太陽高度は低いので、南に背の高い建物があれば、平屋にはまず日が当たりません。住宅地には日影を規制するための北側斜線などがありますが、2階建ての2階に日当たりを確保するのがせいぜいで、1階の日当たり確保にはまったく不十分です。

北側斜線ギリギリに家が建っている場合、図5に示すように冬場は一日中、北側に南隣棟の影がかかります(図5-2枚目)。2階建てでは2階の窓は日当たりが確保できますが(図5-1枚目)、平屋では一日中影に覆われてしまいます(図5-4枚目)。特にこのプラン(図2)では影がかかるところにLDKがあるので、冬場ずっと暗い影の中で暮らすことになってしまいます。これではせっかくの平屋暮らしも台無しですね。 

<b>図5 規制ギリギリの南隣棟の影にはご用心</b><br>北側斜線規制ギリギリに南隣棟を配置した場合、冬に影が敷地に広く広がります。2階建ての2階の日当たりは確保できますが、平屋では厳しくなります。<br>計算:インテグラル社 ホームズ君省エネ診断パッシブ設計オプション3D太陽熱確認(地域:東京)
図5 規制ギリギリの南隣棟の影にはご用心
北側斜線規制ギリギリに南隣棟を配置した場合、冬に影が敷地に広く広がります。2階建ての2階の日当たりは確保できますが、平屋では厳しくなります。
計算:インテグラル社 ホームズ君省エネ診断パッシブ設計オプション3D太陽熱確認(地域:東京)

 <b>図5 規制ギリギリの南隣棟の影にはご用心</b><br />北側斜線規制ギリギリに南隣棟を配置した場合、冬に影が敷地に広く広がります。2階建ての2階の日当たりは確保できますが、平屋では厳しくなります。<br /> 計算:インテグラル社 ホームズ君省エネ診断パッシブ設計オプション3D太陽熱確認(地域:東京)
図5 規制ギリギリの南隣棟の影にはご用心
北側斜線規制ギリギリに南隣棟を配置した場合、冬に影が敷地に広く広がります。2階建ての2階の日当たりは確保できますが、平屋では厳しくなります。
計算:インテグラル社 ホームズ君省エネ診断パッシブ設計オプション3D太陽熱確認(地域:東京)

暖房熱負荷の低減にも日当たりは大事

接道や公園などで南が開けた敷地であれば、当然ながら日当たりは最高です(図5-3枚目)。日当たりが良ければ窓からの日射熱取得も増えますので、暖房熱負荷も大きく減らすことが可能です。断熱はHEAT20 G2レベルで、南隣棟がない平屋の熱収支の計算結果を図3(4段目)に示しました。窓からの日射熱取得は、南隣棟ありで1.4MWhであったものが南隣棟なしでは3.1MWhまで増加しています。熱の収入が増えるので熱の赤字であり、暖房熱負荷は1.3MWhまで少なくなり、エアコン暖房費も3.2万円まで減少できています。日当たりの恩恵は絶大ですね。

なお、図3のシミュレーションでは、熱負荷が大きく削減されている割に、エアコンの暖房費が減っていない印象があるかもしれません。これはシミュレーション上で、エアコンが低負荷運転における効率低下を考慮しているためです。暖房負荷が減ったなりに暖房費を減らすには、エアコンの設計改善が必要なのですが、今後の連載で取り上げたいと思います。

敷地の向き不向きをよく確認して、後悔のない平屋ライフを

今回は、後悔しない平屋ライフ実現のために、その特徴を検討してみました。平屋は窓の面積は少ないものの天井・床の面積は大きいため、建築物省エネ法ギリギリの断熱ではなく、余裕をもった断熱がオススメになります。また、なにより南が開けた日当たりの良い敷地かどうかが肝心です。南に大きな隣棟がある敷地にもかかわらず平屋にこだわりすぎてしまい、冬の暮らしが暗くて寒いのでは本末転倒です。平屋では2階建て以上に敷地選びが肝心なのです。

長く住める平屋の良さを活かすためにも、冬の暖かさを確保することはとても大事です。敷地や建物性能をよく考えて、ステキな平屋ライフを実現しましょう!


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