「札幌演劇シーズン2025」で、『HONOR 〜守り続けた痛みと共に〜』を観劇した感想

公開日:2025.9.22 最終更新日時:2025.9.22

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こんにちは。あんなに暑かったのに、急に寒くなり秋を満喫する前に冬がこないか心配なWEB事業部のAです。

突然ですが皆さんは「札幌演劇シーズン」というイベントをご存知でしょうか。2012年からほぼ毎年行われている演劇の祭典で、札幌市内の劇場で約1ヵ月間毎日様々な公演を楽しめるイベントとなっています。詳しくは公式サイトを見てみてください。

上演される作品の条件としては「再演」であること。なにが上演されるのかはその年によって変わるのですが、今年は私が好きなTEAM NACS(大泉洋、安田顕らが所属している演劇ユニット)の「HONOR〜守り続けた痛みと共に〜」という2007年の作品が18年ぶりに上演されるということで、見に行ってきました。

札幌演劇シーズンのチラシ。演劇には映画とはまた違う生の良さがあると感じました
HONORのポスター。所持している2007年TEAM NACS版のDVD(手前)とともに

脚本・演出はNACSのリーダー森崎博之が担当。演者は2007年版はNACSの5人でしたが、今回は中心人物「五作」(演:鈴井貴之)以外の4人は全員20代の若手俳優に変わっています。

作品のストーリーは、北海道の架空の小さな村“恵織村”(えおりむら)を舞台に、戦前から現在まで約80年の物語が紡がれていきます。昔行われていた、神木とよばれる大きな白樺の木に祈りを捧げる祭りを巡って、五作という老人と、それぞれ立場の異なる村人4人との、ときに温かく、ときに激しい交流から時が進み、五作が倒れたという知らせを受け久しぶりにふるさとで再会した4⼈は祭りを復活させようとします。

簡単に言えば「郷愁ファンタジー」といいますか。光や音楽を巧みに使った自然描写や人々の会話に引き込まれるような演出が見事でふるさとを強く感じられるのですが、単に田舎の良さを語ったり「懐かしい…」と浸るだけではなく、今の農村や過疎地域が抱える人口減少問題や働き口の少なさ、人間関係の問題なども出てくるので色々考えさせられます。

でも最後まで素晴らしいエンターテイメントで、役者さんたちの真っ直ぐなお芝居と、笑いあり感動ありのストーリー。特にラストシーンの演奏はとてもかっこよく、本当に見れて良かったなと思いました。終わった後は田舎やそこに住む人達に様々な思いを馳せ会場を後にしました。私は初演時はまだ作品を知らなかったので、まさか18年越しに生で見ることができるとは思わず感動もひとしおでした。

上演は残念ながら終わってしまいましたが、もしよければオンデマンド配信が9/26金〜10/5日まであるので見てみてください。きっと大切な思いに出会えると思います。

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